乳児期早期のビフィドバクテリウム母子伝播:乳児腸内から母乳への貢献が大きいことが明らかに
Early life bifidobacterial mother-infant transmission: greater contribution from the infant gut to human milk revealed by microbiomic and culture-based methods.
どんな研究?
01 — Summary生後1か月以内の母子ペア21組を調べたところ、母乳は乳児の腸内細菌全体の約64〜78%を占める一方、特定の善玉菌(ビフィドバクテリウム)については逆に乳児の腸から母親の母乳へと伝わっている可能性が示されました。授乳は細菌が双方向に交換される過程かもしれません。
要点
02 — Key points- 01母乳が乳児腸内細菌全体の64〜78%に貢献していた
- 02ビフィドバクテリウムは逆に乳児腸内(80〜84%)から母乳へ貢献していた
- 03B. breveが乳児腸内から母乳へ逆行伝播する菌株として確認された
対象が21組と非常に小規模で、結果の一般化には限界がある。細菌の伝播方向の推定には統計的手法を用いており、完全な証明ではない。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- 前向きコホート研究(培養+シーケンシング)
- エビデンス強度
- 観察研究
- 掲載誌
- mSystems
- 発表年
- 2025
- DOI
- 10.1128/msystems.00480-25
- 出典
- Europe PMC
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — Related母乳育児は、腸内細菌を通じて家庭環境による健康差をやわらげるかもしれない
カナダの出生コホート(約2,752組)とデンマークのコホートで、家庭の経済状況・母乳育児・赤ちゃんの腸内細菌と子どもの健康との関係を調べた観察研究です。母乳育児を受けた赤ちゃんは腸内細菌が安定しやすく、とくにビフィズス菌の一種が育ち、経済的に不利な家庭でも健康面の不利がやわらぐことと関連していました。
生後1年間の赤ちゃんの口腔・腸内の嫌気性微生物叢と古細菌の変化
健康な赤ちゃん30人の口腔と腸内の微生物を生後1年間追跡したところ、母乳育児の赤ちゃんは生後4〜6か月ごろに微生物叢(腸内細菌のグループ)の構成が大きく変わる明確な移行期があることがわかりました。人工乳の赤ちゃんではこの変化が生後1〜3か月に早く起こりました。また、古細菌(アーキア)も乳児の口腔・腸内に存在することが確認されましたが、安定したパターンは形成されませんでした。
生まれてからの腸の育ち —— 乳児期の腸内細菌と発達(総説)
生まれてからの数週間〜数か月の腸の発達と、腸内細菌が栄養の消化・免疫・成長、そして「腸と脳のつながり(腸脳相関)」に関わることを整理した総説です。母乳で育ち抗生物質を使っていない正期産児の腸内細菌が一つの目安とされ、食事や環境などの工夫で乳児期の腸内細菌を整える可能性が論じられています。