授乳方法が乳児の腸内環境(細菌叢と代謝産物)に与える影響:統合解析
Integrated Analysis of Gut Microbiota and Metabolome Profiling Reveals the Effects of Feeding Approaches on Infants' Gut Microenvironment
どんな研究?
01 — Summary生後6か月の乳児44名を対象に、母乳育児(27名)と人工乳育児(17名)の腸内細菌叢と代謝産物を比較した研究です。母乳群ではエシェリキアやスタフィロコッカスが多く、人工乳群ではエンテロコッカスが多い傾向が示されました。また母乳群では炎症に関係するアラキドン酸代謝産物が少なく、炎症の少ない腸内環境が維持されている可能性があることが示唆されました。
要点
02 — Key points- 01母乳群と人工乳群で腸内細菌の構成が異なり、600種の代謝産物に有意差があった
- 02母乳群では炎症関連のアラキドン酸代謝産物(TXB2など)が少なかった
- 03現代の人工乳でも改善が進んでいるが、母乳独自の微生物・代謝環境は再現できていない
対象者数が44名と少なく、結果の一般化には限界がある。観察研究であり、授乳方法を直接割り付けていないため因果関係は確立されていない。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- 前向きコホート研究
- エビデンス強度
- コホート研究
- 掲載誌
- Food Science & Nutrition
- 発表年
- 2026
- DOI
- 10.1002/fsn3.71777
- 出典
- OpenAlex
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — Related母乳を介した抗菌薬の間接曝露が乳児の腸内細菌叢に影響する
授乳中の母親が抗菌薬を服用すると、母乳を通じて乳児の腸内細菌叢に変化が生じる可能性があることが、80組の母子を対象としたコホート研究で示されました。間接曝露を受けた乳児では善玉菌(バクテロイデスやビフィドバクテリウムなど)が減少し、薬剤耐性遺伝子の保有量が増加していました。また、一部の乳児ではBMIが高い傾向も確認されましたが、長期的な影響はまだ不明です。
母乳育児と人工乳育児の乳児における有害・必須微量元素への曝露比較:尿中バイオマーカー研究
生後約6週の462人の乳児を対象に、授乳方法(母乳・混合・人工乳)と尿中の有害・必須元素量を比較しました。人工乳で育てた乳児では、ヒ素・モリブデン・セレンの尿中濃度が母乳育児の乳児より高く、特にヒ素は約5倍でした。一方、ウラン・コバルトは母乳育児の方が高い傾向でした。また、水道水のヒ素濃度は授乳方法に関わらず乳児のヒ素曝露に影響しました。
生後1年間の赤ちゃんの口腔・腸内の嫌気性微生物叢と古細菌の変化
健康な赤ちゃん30人の口腔と腸内の微生物を生後1年間追跡したところ、母乳育児の赤ちゃんは生後4〜6か月ごろに微生物叢(腸内細菌のグループ)の構成が大きく変わる明確な移行期があることがわかりました。人工乳の赤ちゃんではこの変化が生後1〜3か月に早く起こりました。また、古細菌(アーキア)も乳児の口腔・腸内に存在することが確認されましたが、安定したパターンは形成されませんでした。