子宮内でのステロイドとβ2作動薬への曝露が子どもの神経発達に与える影響(日本環境子ども研究)
Neurodevelopmental Outcomes Among Offspring Exposed to Corticosteroid and B2-Adrenergic Agonists In Utero.
どんな研究?
01 — Summary日本の大規模出生コホート研究(JECS)のデータを用いて、妊娠中の喘息治療薬(コルチコステロイドとβ2刺激薬)への曝露が子どもの神経発達に影響するかを91,460組の親子で調べました。コルチコステロイドは妊娠のどの時期に曝露されても、6〜36か月の神経発達指標(コミュニケーション・粗大運動・微細運動・問題解決・社会性)との関連はみられませんでした。β2刺激薬も同様ですが、妊娠中後期の曝露は個人・社会スキルの遅延と弱い関連が示されました(調整OR 1.48)。
要点
02 — Key points- 01妊娠中のステロイド吸入薬使用は、3歳までの神経発達指標との有意な関連はみられなかった
- 02β2刺激薬の妊娠中後期使用は個人・社会スキルの軽度の遅延と関連する可能性があるが、効果は小さい
- 03喘息の妊婦がこれらの薬を使うことの神経発達への安全性を示す大規模データ
観察研究であり因果関係ではなく関連性を示すものです。曝露者数が少なく(β2刺激薬は0.2〜0.4%)、統計的検出力に限界があります。神経発達の評価は保護者報告であり、主観的要素が含まれます。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- 前向きコホート研究
- エビデンス強度
- コホート研究
- 掲載誌
- JAMA network open
- 発表年
- 2023
- DOI
- 10.1001/jamanetworkopen.2023.39347
- 出典
- Europe PMC
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — Related妊娠中の喘息治療薬曝露と神経発達障害・学習困難のリスク:システマティックレビューとメタアナリシス
約387万人を含む8つの研究のメタアナリシスで、妊娠中にβ2刺激薬(β2アドレナリン受容体作動薬、喘息の吸入薬)を使用すると、子どもの自閉スペクトラム症(ASD)リスクが約1.3倍高まる可能性が示されました。ただし残余交絡(母親の喘息自体の影響)が十分に除外できていない点など、重要な限界があります。
妊娠中の新型コロナ感染と乳幼児期の神経発達:約7万人の前向きコホート研究
アメリカ・北カリフォルニアの約7万人の子どもを対象に、妊娠中に新型コロナ(PCR検査で陽性)に感染した母親の子どもで、2〜4歳ごろの神経発達症(自閉スペクトラム症・ことばの遅れ・運動の遅れ)が増えるかを調べた大規模な研究です。母親の感染と、これらの発達の遅れの増加との間に関連は見られませんでした。
妊娠中の母体の炎症・酸化ストレスと幼児期の神経発達との関連
プエルトリコのコホート研究(PROTECT)で193〜247組の母子を対象に、妊娠中の炎症バイオマーカーや酸化ストレス指標を測定し、子どもの1〜3歳時点での発達(適応・認知・コミュニケーション・社会性・運動)との関連を調べました。妊娠中の酸化ストレスの一部指標が特定の発達領域と関連する傾向がみられましたが、炎症マーカーとの関連は一貫していませんでした。