分娩時の予防的抗菌薬と子どもの健康(観察研究のシステマティックレビュー・メタアナリシス)
B群溶連菌(GBS)の予防のために分娩中に抗菌薬を使った母親と、使わなかった母親の子どもを比べた観察研究をまとめたメタアナリシスです。16件の研究を統合した結果、分娩時の抗菌薬は子どもの自己免疫関連の病気のリスクの高さと関連し、特にアトピー性皮膚炎で関連が目立ちました。子どものBMIはわずかに高めでしたが、乳児の腸内細菌の多様性には差がみられませんでした。
妊娠中の食事や栄養が、胎児の発育や生まれた後の成長・発達にどう関わるかを扱う研究。
コリンは脳や神経の発達に関わる栄養素で、多くの妊婦が推奨量に届いていないと指摘されています。ただし、妊娠中にコリンを増やすと子どもの発達がよくなるかについては、人を対象にした研究の数が少なく結果もばらついており、現時点ではよくなるともならないとも言い切れません。
妊娠中の母親が複数の持病をもつことと、子どもの発達の遅れがやや関連すると日本の調査で報告されています。観察研究であり、関連であって因果とは言えません。
父親の年齢が高いことは、早産や帝王切開、また自閉スペクトラム症などとのわずかな関連が報告されています。ただし大半は観察研究で因果関係を示すものではなく、子ども一人ひとりにとっての絶対的なリスクは小さく、多くの子どもは健やかに育ちます。妊娠の計画は個人差をふまえ医師に相談を。
父親の妊娠前の体重や生活習慣と、赤ちゃんの出生体重との関連は、まだ研究が少なく、はっきりしたことは分かっていません(証拠が不十分)。母親側に比べて調べられておらず、今後の検証が必要な段階です。
妊娠高血圧症候群にさらされた子は、その後の血圧やBMIなど代謝の指標がやや高い傾向が、観察研究のまとめで報告されています。関連であって因果とは言えません。
赤ちゃんに保湿剤を塗るスキンケアだけで湿疹や食物アレルギーを予防できるとは、質の高いレビューでは言えませんでした。妊娠中にアレルゲンとなる食品を控えることの効果も、根拠は十分ではありません。これらの方法で「防げる」とは現時点で言いにくく、湿疹が出たら早めにケアするなど別の対応が大切と考えられます。
カルシウムの補給は、子どもの骨の量を増やしたり、血圧をやや下げたりする可能性が、ランダム化比較試験で示されています。ただし効果は小さめで、骨への効果は補給をやめた後も続くとは限らず、身長を伸ばす効果は確認されていません。
ランダム化試験やそのまとめでは、妊娠中のカルシウム補給は妊娠高血圧腎症や早産を減らす傾向がみられます。ただし効果は食事からのカルシウムが不足している人や高リスクの人で特にはっきりしており、十分に取れている人で同じ効果があるかははっきりしません。必要性は医師に相談を。
妊娠前から妊娠初期にかけての葉酸の摂取は、神経管閉鎖障害(二分脊椎や無脳症など、脳や脊髄のもとになる部分の異常)を防ぐのに役立つことがはっきりしています。これは過去のランダム化比較試験と、主食への葉酸添加で発生が減った各国のデータの両方に支えられた、予防の根拠が強いテーマです。神経管は妊娠のごく初期に作られるため、妊娠に気づく前(妊娠前〜初期)からの摂取が大切です。ただし葉酸を正しくとっても一部は起こりうるため、完全に防げるわけではありません。
妊娠中の食事・運動の工夫や栄養カウンセリングによって、体重が増えすぎず推奨範囲に収まりやすくなり、帝王切開が減ることも報告されています。質の高い研究もありますが、対象が妊娠糖尿病の人や海外の集団に偏るものが多く、自己判断ではなく主治医と相談しながら取り組むのが安心です。
鉛は子どもや胎児の発達に有害な金属で、曝露を減らすことは大切です。一方で、症状のない子どもや妊婦に対して血中の鉛を広く検査(スクリーニング)して健康がよくなるか、についての根拠は乏しく、米国予防医療作業部会のレビューでは有用性をはっきり判断できないと整理されました。これは「鉛が無害」という話ではなく、「広く検査することの有用性が不確か」という話です。心配がある場合は医師にご相談ください。
妊娠中に血糖が高かった母親の子どもは、子ども時代の体格がやや高めだったり、将来の糖尿病リスクが高めだったりする傾向が観察されています。ただし観察研究が中心で、母親の血糖が子どもの肥満や糖尿病を直接引き起こすと示すものではありません。遺伝や家庭の生活習慣など共通の要因も関わります。
日本の大規模な調査では、食物繊維をよくとる・朝食を規則正しくとる・バランスの良い食事といった食習慣が、子どもの発達のよさや出生体重とプラスに関連すると報告されています。ただしいずれも観察研究のため因果関係は示せず、特定の食品の効果を強調するものではありません。全体としてバランスの良い食事を心がける参考にしてください。
妊娠前に太りぎみ・肥満だった母親の子どもは、体格(BMI)や体脂肪がやや高めに推移する傾向があると、複数のコホート研究で報告されています。ただし関連の大きさは中くらいで、小規模な研究でははっきりしないこともあります。母親の体格を実験的に割り当てて比べることはできないため、これらは関連であって因果とは言い切れません。
これは研究をまとめた情報の整理であり、医学的な助言ではありません。妊娠中に母親が百日咳(Tdap)やインフルエンザのワクチンを受けると、母親の抗体が赤ちゃんに移り、生後まもない時期の感染や入院を防ぐ方向に働くと複数の研究が示しています。一方、赤ちゃんを守る効果の中心的な根拠は観察研究によるもので、確実性には限りがあります。接種を受けるかどうかは、必ずかかりつけの医師に相談してください。
妊娠中にオメガ3(魚油・DHAなど)を補給すると、早産、とくに34週より前の早い早産がやや減る可能性が、ランダム化比較試験をまとめた研究で示されています。効果はそれほど大きくなく、もともとオメガ3が足りている人では追加の補給で得られる利益は小さいとみられます。一方で、血を固まりにくくする働きから出産時の出血が増える可能性も指摘されており、量や時期(とくに妊娠後期)には注意が必要です。
妊娠中のカフェイン摂取が多いほど、低出生体重や小さく生まれる赤ちゃん(SGA)との関連がいくつもの研究でおおむね一貫して報告されており、目安の上限より少ない量でも関連が見られることがあります。一方で、もともと摂取量が少なめの集団を追った大規模な研究では明確な関連が出ないこともあり、根拠の多くは観察研究です。妊娠中のカフェインは控えめにという一般的な助言は変わらず、適量は個人差があるため医師に相談を。
妊娠中に十分で適度な睡眠をとっている母親では、赤ちゃんの低出生体重が少ない傾向や、妊娠糖尿病のリスクが低い傾向が日本の大規模調査で報告されています(短すぎても長すぎてもよくないという報告もあります)。睡眠教育で産前産後のうつを防げるかはまだ証拠が不十分です。いずれも観察研究や少数の試験が中心で、睡眠が原因と言い切ることはできません。
栄養不足による子どもの発育の遅れ(低身長=スタンティング)は、妊娠中や乳幼児期に栄養を補う対策である程度防げると考えられています。妊婦への栄養補給で赤ちゃんの出生体重が増えたランダム化比較試験や、乳幼児期の栄養対策で身長の伸びがわずかに改善し低身長が減ったとするまとめがあり、世界全体でも低身長は大きく減ってきました。ただしこれらの根拠の多くは、もともと栄養が不足しがちな低・中所得地域の研究で、栄養が足りている日本の子どもにそのまま当てはまるとは限りません。身長の伸びには遺伝や睡眠・運動など多くの要因が関わるため、栄養だけで決まるわけではなく、心配なときは専門家に相談してください。
甲状腺の働きと子どもの発達には関連が報告されていますが、大規模なランダム化比較試験では、軽度の甲状腺機能の異常を妊娠中に見つけて治療しても、子どものIQや発達は改善しませんでした。明らかな甲状腺の病気の治療は別で、これは「軽度の異常を広く検査して治療する」ことの話です。気になる場合は主治医にご相談ください。
妊娠中に大気中の微小な粒子(PM2.5など)にさらされることは、低出生体重や早産といった好ましくない出産の結果のリスクの高まりと関連すると、大規模な研究でまとめられています。妊娠中・乳幼児期の曝露は、子どもの認知発達の低さとも関連が報告されています。個人でできる対策は限られ、社会全体での取り組みが重要な問題です。
乳幼児期の抗菌薬の使用はアレルギー性鼻炎と関連するという報告がある一方、妊娠中・分娩時の抗菌薬と子どもの湿疹の関連は支持されていません。必要な抗菌薬は医師の判断で使うもので、自己判断で避けないでください。
妊娠中に魚やオメガ3をよく摂ったお母さんの子どもで、アレルギーがやや少ない傾向を示す研究があります。一方、感染症を防ぐ明確な効果は確認されていません。魚はバランスよく摂るとよいと考えられますが、種類や水銀への配慮も必要です。
葉酸は神経管の異常(二分脊椎など)を防ぐ効果がはっきりしており、妊娠前からの摂取が勧められています。ADHDや自閉スペクトラム症などへの効果は、リスク低下と関連する可能性はあるものの根拠は弱く、はっきりしていません。
妊娠中の体重が増えすぎると子どもの体脂肪の多さや帝王切開と、増えなさすぎると子どもの神経発達のリスクと関連すると報告されています。適切な範囲が大切ですが、ちょうどよい幅には個人差があります(※体重を食事や運動で管理できるかは別の問いで扱います)。
母体の年齢が高いことは死産、妊娠の間隔が短すぎることは早産のリスクの高まりと関連すると報告されています。ただし、多くの妊娠は無事に経過します。妊娠の計画は個人差を踏まえ医師に相談を。
妊娠前の肥満や、妊娠中の糖尿病・高血糖は、子どもの発達や神経発達障害のなりやすさとゆるやかに関連すると報告されています。妊娠前後の体重・血糖の管理は意味があると考えられますが、観察研究のため因果とは言えず、過度に心配する必要はありません。
肌と肌を触れ合わせるカンガルーケアや、光・音・痛みに配慮した「発達に配慮したケア」は、赤ちゃん(特に早産児)と家族のアウトカムを改善すると報告されています。安全で取り入れやすい方法とされています。
妊娠中に多くコーヒーを飲むことと子どものADHDのなりやすさとの関連を示す研究がある一方、はっきりした悪影響は見られない、むしろお茶は認知とプラスの関連という研究もあり、結論は一致していません。妊娠中のカフェインは控えめにという一般的な助言は変わらず、適量は個人差があるため医師に相談を。
妊娠中の高温(暑さ)への曝露や、睡眠の質の悪さ・短さが、早産や小さく生まれること(SGA)と関連すると報告されています。観察研究が中心で確実性は限られますが、妊娠中の体調・環境を整える大切さを示します。
妊娠中の適度な運動は安全とされ、妊娠糖尿病や早産のリスク低下、子どもの発達と関連する報告があります。一方で効果は限定的との試験もあります。内容や強度は安全のため医師に相談してください。
鉄の補充は血液中の鉄の値を改善しますが、症状のない妊婦への一律の検査や補充が、お母さんや赤ちゃんの健康を実際に改善するかは根拠が不十分とされています。貧血の診断・治療は別で、必要性は医師に相談を。
妊娠中のまとまった量の飲酒は、子どもの発達に明確な悪影響(胎児性アルコール・スペクトラム障害など)を及ぼすことが分かっています。少量〜中程度については研究結果が一致せず、『安全な量』は確立していません。妊娠中は飲まないのが無難とされています。
妊娠中のきのこやビタミンCなどの摂取が、子どもの社会性とプラスに関連するという報告があります。ただし単一の研究にもとづくものが多く、根拠は弱いため、特定の食品の効果を強調するものではありません。
フタル酸やビスフェノールは、子どもの発達やホルモンの変化と一部で関連が示される一方、PFASやPCBでははっきりした関連が見られないものもあります。物質ごとに結果が分かれ、確実性は低いのが現状です。神経質になりすぎる必要はありませんが、できる範囲で曝露を減らすのが無難と考えられます。
妊娠中に魚やオメガ3(DHAなど)をよく摂ると、子どもの発達の一部によい可能性が報告されています。ただし魚は水銀も含むため、種類や量のバランスが大切です。効果は大きくなく確実性は低めです。
鉛やヒ素などの金属、メチル水銀への妊娠中・乳児期の曝露は、子どもの知能や認知の低さと関連すると複数の研究で報告されています。関連の確実性は高くありませんが、方向はおおむね一致しているため、できる範囲で曝露を減らすのが無難と考えられます。
栄養が不足しがちな環境では、複数の微量栄養素(MMN)の補充が、低出生体重・早産・貧血などを減らすと報告されています。日本のように栄養状態のよい集団にそのまま当てはまるとは限らず、補充は医師に相談してください。
妊娠中のたばこの煙への曝露は、子どものIQの低さと関連すると報告されています。自分が吸う場合だけでなく、まわりの煙(受動喫煙)も避けることが勧められます。
妊娠中のビタミンDが、子どもの記憶などの認知や体の成長とよい方向で関連するという研究があります。ただし効果は大きくなく、はっきりしていません。自己判断での大量摂取は避け、摂取は医師に相談してください。
母体の甲状腺の働きの異常や、妊娠中のヨウ素の不足は、子どもの神経発達と関連しうると観察研究で報告されています。日本は海藻からヨウ素を摂りやすい一方、摂り過ぎも甲状腺によくありません。適量が望ましいと考えられます(※見つけた異常を治療して発達がよくなるかは別の問いで扱います)。
妊娠中の喫煙や受動喫煙は、子どもの成長の遅れ・ゼーゼー(喘鳴)・睡眠の問題と関連すると報告されています。早く禁煙するほど子どもの成長によく、子どもや妊婦のいる場では分煙・禁煙が勧められます。
妊娠中や産後のお母さんの気分の落ち込み・強いストレスは、子どもの発達の遅れやADHD・自閉スペクトラム症とゆるやかに関連すると報告されています。観察研究が中心で因果とは言えず、まわりの支えや相談が大切です。
B群溶連菌(GBS)の予防のために分娩中に抗菌薬を使った母親と、使わなかった母親の子どもを比べた観察研究をまとめたメタアナリシスです。16件の研究を統合した結果、分娩時の抗菌薬は子どもの自己免疫関連の病気のリスクの高さと関連し、特にアトピー性皮膚炎で関連が目立ちました。子どものBMIはわずかに高めでしたが、乳児の腸内細菌の多様性には差がみられませんでした。
母親の栄養状態が、大気汚染や有害金属などの環境要因による子どもの健康リスクを和らげるかを、60件の研究から地図づくり的に整理したレビューです。最もよく調べられていた栄養素は葉酸で、葉酸が大気汚染・有害金属・喫煙による神経発達などへの影響を和らげる可能性が示されました。ただし研究の多くは観察研究で、結論を出すための統合はしていません。
食料の値上がりが、低・中所得国の子どもの栄養状態や死亡とどう関係するかを調べた18件の研究(多くは繰り返し横断調査やパネル調査)をまとめたレビューです。18件中16件で、食料価格が高いほど低身長(スタンティング)ややせ、低出生体重などの悪い栄養状態が増える関連が報告されました。栄養のとれる食べ物を買えるかどうかが、子どもの発育に関わることを示唆しています。
大気汚染・金属・受動喫煙・環境ホルモンなどへの曝露が、自閉スペクトラム症やADHDをもつ子どもの脳にどう関わるかを、脳画像(MRI)研究14件から整理したスコーピングレビューです。たばこの煙への曝露は、小脳や前頭部の体積の減少や、神経のつながりの乱れと関連していました。
妊娠中や乳幼児期の抗菌薬・胃酸を抑える薬・プロバイオティクスの使用と、子どもの食物アレルギーとの関連を調べた研究をまとめたメタアナリシスです。約166万人の母親と約516万人の子どものデータを統合した結果、妊娠中や生後2年までの抗菌薬使用は、食物アレルギーのリスクの高さと関連していました。プロバイオティクスの使用には、食物アレルギーを減らす関連はみられませんでした。
妊娠中のコリン摂取が子どもの脳や発達によいかを、人を対象にした研究をまとめて調べたレビューです。コリンを補う4件のランダム化比較試験と5件の観察研究を集めて検討しました。結果は研究によってばらつきがあり、効果が見られた項目もありましたが、多くの項目では差がありませんでした。著者らは、現時点では妊娠中のコリンが子どもの発達をよくするとも、よくしないとも言い切れないと結論づけています。
妊娠中や乳幼児期の有害な重金属への曝露と、子どもの神経発達との関連を調べた研究68件(約21万人分)をまとめたレビューです。多くの研究が、妊娠中とくに早い時期の曝露で発達に悪影響が出やすいことを示していました。とくに鉛と水銀は認知・運動の面、鉛とヒ素は行動の面と関連がみられました。
新生児医療では、赤ちゃん本人と家族を中心にすえたケア(家族の参加、母子を引き離さない、発達に配慮するなど)が、赤ちゃん・親・医療システムによい影響をもたらすとして各国で推進されています。この研究は、こうしたケアがどのように定義され、どんなモデルや具体的な取り組みがあるのかを、91の文献から幅広く整理したものです。40の定義と28のケアモデル、51種類の介入が見つかり、多くは個別の新生児ケアと家族の力を支える取り組みに重点を置いていました。一方で、概念や用語がまだ統一されておらず、整理が必要だと指摘しています。
2018〜2023年に発表された栄養対策に関するシステマティックレビュー・メタアナリシス46件をまとめて整理した研究です。低身長(スタンティング)・低出生体重・貧血など栄養不足の改善に対し、栄養対策が効果を示すという比較的しっかりした根拠があると報告しています。ただし、根拠の多くは試験(介入研究)から得られたもので、それを実際に大規模に広め、続けていくことには課題が残るとしています。
妊娠中から10歳までの抗菌薬の使用と、腸内細菌の変化、子どものアレルギー(ぜんそく・アトピー性皮膚炎・アレルギー性鼻炎)との関連を調べた研究をまとめたシステマティックレビューです。150万人以上を含む15件の研究の多くで、妊娠中や生後2年までの抗菌薬使用が、特にぜんそくやアトピー性皮膚炎のリスクの高さと関連していました。抗菌薬の種類・時期・期間が腸内細菌の乱れや発症に関わる要因として挙げられています。
妊娠中や子ども時代のヒ素・カドミウム・鉛・水銀への曝露と、子どもの発達との関連を調べた前向きコホート研究77件をまとめたレビューです。これらの金属やその混合物への曝露が多いほど、認知・運動・行動・こころの健康によくない影響が出やすいことを、複数の国の研究が支持していました。影響の出方は子どもの性別で異なる可能性も示されています。
妊娠中・授乳期・幼児期に複数の微量栄養素(MMN)を補充すると、後の子どもの認知発達によい影響があるかを、ランダム化比較試験10件をまとめて調べたレビューです。多くの研究では明確な差は見られませんでしたが、一部の大規模試験では記憶や知能の指標がわずかに高まる可能性が示されました。研究の多くは栄養が不足しがちな低・中所得国で行われています。
妊娠中にオメガ3(魚油・DHAなど)を補給することが、赤ちゃんの体格や出産の経過にどう関わるかを調べた23件のランダム化比較試験をまとめた研究です。補給した約1万2千人と、しなかった約1万2千人を比べました。全体として、オメガ3を補給したグループでは早産になる割合がやや低く、生まれたときの体重・身長・頭囲がわずかに大きい傾向がみられました。ただし効果の大きさは小さく、解析の仕方によっては差がはっきりしなくなるものもありました。
バングラデシュでの神経管閉鎖障害の発生率を、複数の研究をまとめて推定し、予防策ごとにどれくらい減らせるかを試算した研究です。主食への葉酸添加が、二分脊椎などの発生をおよそ半分まで減らせると見積もられました。サプリでの摂取も、きちんと飲み続けられれば添加と同じくらいの効果が期待できると示されています。葉酸を増やす取り組みが予防に役立つ可能性を支持する内容です。
妊娠中のカルシウム補給について行われた臨床試験を集めて整理したレビューです。34件の研究(参加者は30人から約2万2千人まで)をまとめたところ、カルシウムを補給した妊婦では、妊娠高血圧や妊娠高血圧腎症が起こりにくく重症化しにくい傾向、早産が減る傾向、妊娠期間が長く赤ちゃんの出生体重が大きくなる傾向がみられました。効果は、食事からのカルシウムが足りない人や妊娠高血圧のリスクが高い人で特にはっきりし、1日1.5〜2gの多めの量で最も強くみられたとしています。
妊娠中に百日咳を含むワクチン(Tdap)を接種した場合に、生後まもない赤ちゃんが守られるかを、複数の研究をまとめて調べたものです。生後3か月未満の赤ちゃんで百日咳にかかりにくくなる傾向が示され、母から赤ちゃんへ移る抗体も多く見られました。重い有害事象については、母親・赤ちゃんともに接種との明確な関連は見られなかったと報告しています。
妊娠高血圧腎症のリスクが高い妊婦に、低用量アスピリンとカルシウムを併用した場合の効果を調べたランダム化試験7件をまとめた解析です。アスピリン単独と比べて、併用したグループでは妊娠高血圧腎症や妊娠高血圧、早産が起こりにくい傾向がみられました。著者は、高リスクの妊婦では併用を検討する価値があるとしています。
出生体重は赤ちゃんの育ちや将来の健康に関わる大切な指標です。母親の妊娠前の健康との関連はよく知られていますが、「父親」の妊娠前の健康との関連はあまり調べられてきませんでした。この研究は、父親の妊娠前の健康と赤ちゃんの出生体重に関する既存の研究を集めて整理し、まだ研究が少なく証拠が不十分であることを明らかにしました。
妊娠を「行動を変えるよい機会」ととらえ、妊婦への栄養教育(食事の知識や実践の指導)がどんな効果をもつかを、169件の研究を整理したレビューです。多くの健康・食生活の指標(妊娠中の体重増加、栄養状態、知識や行動など)で良い結果がみられました。一方で、妊娠糖尿病や妊娠高血圧の「予防」については、はっきりした効果は確認されませんでした。
妊娠中や生後2年までの大気汚染への曝露が、5歳までの子どもの認知発達と関係するかを、49件の研究をまとめて調べた研究です。微小粒子状物質(PM2.5)と鉛では、7割以上の研究で認知のスコアの低さとの関連がみられ、最も一貫した証拠でした。PM10や二酸化窒素では中くらい、オゾンなどでは限られた証拠でした。
妊娠中に、母親や赤ちゃんの睡眠を整えるための教育的なはたらきかけ(睡眠の知識やコツの提供)が、産前産後のうつの予防に役立つかを調べたシステマティックレビューです。条件に合う質の高い試験は2件しか見つからず、効果を結論づけるには証拠が不十分でした。睡眠と心の健康のつながりに注目した取り組みとして、今後の研究が期待されます。
自閉スペクトラム症(ASD)に関係する、妊娠中・出産時・出生後の要因を、17件の研究(自閉症の子ども約3万8千人を含む大規模データ)からまとめたメタアナリシスです。両親の高年齢、妊娠高血圧・妊娠糖尿病、早産(在胎36週以下)、低出生体重、出産時のトラブルなどが、自閉症とゆるやかに関連していました。これらは「関連する要因」であり、原因と確定したものではありません。
妊娠中のお母さんの甲状腺(のどにあり、代謝を整えるホルモンを出す臓器)の働きと、妊婦や子どもの好ましくないアウトカムとの関係を、複数のメタアナリシスをまとめて評価した「アンブレラレビュー」です。母体の甲状腺機能の異常は、妊婦や子どもの幅広い好ましくないアウトカムと関連していました。ただし、根拠全体の確実性は低いと評価されています。
妊娠中の運動や食事の改善(生活習慣の取り組み)が、妊娠糖尿病を防ぐかを、92件の試験(約3万2千人)の個人データを統合して調べたメタアナリシスです。生活習慣の取り組みによって、妊娠糖尿病になるリスクが約10%下がる傾向が見られました。
妊娠中の母親のヨウ素の足り具合が、子どもの神経発達と関係するかを、8つのコホート研究をまとめて調べた研究です。ヨウ素が不足ぎみだと、子どもの発達(とくに認知の面)がわずかに低い傾向がみられました。一方で、多ければ多いほどよいわけではなく、適量(おおよそ食事から150〜300µg/日くらい)が望ましいと示唆されています。
電子ごみ(e-waste)の処理・リサイクルは、鉛などの重金属を周囲の環境に放出し、近くに住む妊婦や胎児の健康リスクになりえます。このレビューは、e-waste由来の重金属への妊娠中の曝露と、妊娠・新生児のアウトカムとの関係を調べた研究をまとめたものです。曝露の多い地域では、母体の血液・胎盤・臍帯血などで重金属が高く、新生児の発達への悪影響を示唆する(限定的な)証拠が見られました。
妊娠中に血糖が高くなる「妊娠糖尿病」に対する治療(薬・食事・運動)が、母親と赤ちゃんの経過にどう役立つかを、17件の研究をまとめて調べた研究です。食事や運動による生活面のはたらきかけは、妊娠中の体重の増えすぎや帝王切開を減らすことにつながりました。一方で、血圧や血中の脂質への効果ははっきりせず、研究ごとのばらつきも大きいものでした。薬・食事・運動を組み合わせた、一人ひとりに合わせた管理が大切だと結論づけています。
前の出産から次の妊娠までの間隔(妊娠間隔)と、早産との関係を、多くの研究からまとめたシステマティックレビュー・メタアナリシスです。妊娠間隔が24〜29か月のときに早産のリスクが下がることが示され、家族計画や医療の目安になりうると整理されました。間隔が短すぎる場合は早産のリスクが上がる傾向です。
妊娠中や分娩時にお母さんが使った抗菌薬(抗生物質)と、子どものアトピー性皮膚炎(湿疹)との関係を、複数の研究からまとめたシステマティックレビュー・メタアナリシスです。現時点の証拠では、妊娠中・分娩時の抗菌薬の使用と子どもの湿疹の増加との関連は支持されませんでした。ただし研究間のばらつきが大きく、確実性は非常に低いと評価されています。
妊娠中の母親が感じるストレスや不安・抑うつ(心のつらさ)が、生後3歳までの子どもの発達と関係するかを、44件の研究をまとめて整理した研究です。母親のストレスが強いほど、子どもの言葉や考える力の点数がわずかに低めだったり、行動や感情の困りごとが多めだったりする弱い関連がみられました。ただし他の要因を調整すると関連は弱まることが多く、研究著者は「原因と証明されたものではなく、状況に左右される関連」と慎重に結論づけています。
妊娠高血圧症候群(妊娠中に血圧が高くなる状態)にさらされた子どもの、その後の代謝や血圧などの指標を、多くの研究からまとめたシステマティックレビュー・メタアナリシスです。妊娠高血圧症候群にさらされた子どもは、血圧やBMIがやや高めになりやすい一方、インスリンの効きにくさ(インスリン抵抗性)のリスクはむしろ低いなど、影響は一面的ではないことが示されました。
妊娠中にお母さん(おなかの中の赤ちゃん)が暑さ(高温)にさらされることが、子どものその後の健康や社会的なアウトカムにどう影響するかを、29件の研究からまとめたシステマティックレビューです。暑さへの曝露が増えるほど、さまざまな体の働きにわたって好ましくないアウトカムと関連していました。気候変動を背景に注目されているテーマです。
お母さんのうつ(妊娠中・産後)と、幼い子どもの睡眠の問題との関係を、22件の長期研究を統合して調べたメタアナリシスです。妊娠中のうつ(オッズ比1.82)も産後のうつ(同1.65)も、子どもの睡眠の問題が多いことと関連していました。お母さんの心の健康を支えることが、子どもの睡眠にもつながる可能性があります。
プラスチックなどに含まれることがあるビスフェノール類への妊娠中の曝露と、子どもの甲状腺の働き(甲状腺ホルモン)との関係を、複数の研究からまとめたメタアナリシスです。妊娠中のビスフェノール曝露は、特に女の子で甲状腺ホルモンの値の変化と関連していました。妊娠中の曝露を減らす対策が、子どもの健康のために望ましいとされています。
妊娠中の鉄不足や鉄欠乏性貧血について、検査(スクリーニング)や鉄のサプリの補充が、お母さんや赤ちゃんの健康にどう役立つかを、米国予防医療作業部会(USPSTF)のために最新のエビデンスから検討したシステマティックレビューです。鉄の補充は血液中の鉄の値を改善する一方、症状のない妊婦への検査や補充が、お母さんや赤ちゃんの health 上の結果を実際に良くするかは、まだ十分な根拠がないと整理されました。
屋外の大気汚染へのさらされ方と、早産・低出生体重・死産といった好ましくない出産の結果との関係を、49件の研究からまとめたものです。大気汚染にさらされることは、これらの好ましくない結果のリスクの高まりと関連していました。
魚介類を通じて取り込まれることがあるPCB(ポリ塩化ビフェニル)への妊娠・授乳中の曝露と、子どもの成長との関係を、複数の研究からまとめたメタアナリシスです。PCB曝露と子どもの成長との間には、ほとんど、あるいはまったく関連が見られませんでした(ただし確実性は低い)。魚の栄養面の利点を考えるうえでの安心材料の一つです。
妊娠中のPFAS(有機フッ素化合物)への曝露と、子どものぜんそくとの関係を、前向きコホート研究からまとめたシステマティックレビューです。基礎研究ではPFASがぜんそくに関わりうるとされる一方、人を対象にした疫学研究では、妊娠中の曝露と子どものぜんそくとの関連は一貫しては示されませんでした。
魚などに多いオメガ3系脂肪酸(DHAなど)を、妊娠・授乳中の母親や乳児に与えると、子どもの発達によいかを、ランダム化比較試験47件をまとめて調べた研究です。乳児に直接補給したグループでは、乳児期の精神発達の指標やのちの知能(IQ)がわずかに高い傾向がみられ、母親が妊娠・授乳中に補給した場合は子どもの言語の力が高い傾向がありました。一方で、全体としての認知能力や運動発達の指標でははっきりした差は出ませんでした。
妊娠中のお母さんが大気中の微小な粒子(PM2.5・PM10などの粒子状物質)にどれくらいさらされたかと、生まれた赤ちゃんの体重との関係を、61件の研究(15か国・約3450万人の出産)からまとめたものです。粒子へのさらされ方が多いほど、十分な週数で生まれても体重が軽い(正期産低出生体重)リスクがやや高くなる関連が見られました。
PFAS(水や食品を通じて取り込まれることがある「有機フッ素化合物」)への曝露と、子どもの肥満との関係を、24件の研究(うち19件はコホート)からまとめたメタアナリシスです。妊娠中の主な4種類のPFAS曝露と、子どものBMIや腹囲の変化との間に、統計的にはっきりした関連は見られませんでした。
親の物質使用(妊娠中・産後の飲酒、たばこ、その他)と、子どものADHDとの関係を、86件の研究からまとめたシステマティックレビュー・メタアナリシスです。特に妊娠中のアルコールやたばこへの曝露、親の物質使用障害は、子どものADHDと一貫して関連していました。
妊娠中の女性に、双方向のやりとりで行う栄養カウンセリング(一方的な指導ではなく対話形式)が、母子の健康によいかを、52件の研究をまとめて調べた研究です。カウンセリングを受けた妊婦は、食事のエネルギーやたんぱく質の摂取が増え、妊娠中の体重増加が推奨範囲に収まりやすく、出産直後の授乳開始も増えました。一方で、貧血や死産、帝王切開を減らす効果ははっきりしませんでした。
親のうつ、抗うつ薬の使用、強いストレスや不安などが、子どものADHD(注意欠如・多動症)のリスクとどう関わるかを、多くの研究からまとめたシステマティックレビュー・メタアナリシスです。これらの親の心の状態は、子どものADHDのなりやすさと関連していました。親の心の健康を支える取り組みが、子どもの長期的な健康にもよい影響を与えうると示唆されています。
低・中所得国を対象に、妊娠中のビタミン・ミネラルの補充が、お母さんや赤ちゃん、子どもの健康にどう影響するかを、72件の研究(約45万人)からまとめたシステマティックレビューです。特に複数の微量栄養素をまとめて摂る補充(MMN)は、お母さんの貧血、低出生体重、早産、小さく生まれること(SGA)、死産などの多くのアウトカムを改善しました。
受動喫煙(自分は吸わないが、まわりのたばこの煙にさらされること)と、子どもの成長との関係を、多くの研究からまとめたシステマティックレビューです。受動喫煙は、子どもの成長への好ましくない影響と関連しうることが示されました。子どもや妊婦と同居する喫煙者が、煙の影響を知ることが重要だと指摘されています。
米国政府プロジェクトの一環として、妊娠中の食事のパターンと、妊娠中の体重増加との関係を調べたシステマティックレビューです。野菜・果物・ナッツ・豆・魚が多く、加糖や赤身肉・加工肉が少ない食事パターンは、妊娠中の体重が増えすぎるリスクが低いことと関連する、という(限定的な確かさの)結論が示されました。
米国政府プロジェクトの一環として、妊娠前・妊娠中・授乳中のオメガ3(魚に多い脂肪酸)のサプリと、子どもの発達の節目(神経・認知の発達を含む)との関係を調べたシステマティックレビューです。妊娠中のオメガ3サプリは、子どもの認知の発達によい影響をもたらす可能性がある(限定的な確かさ)と整理されました。その他のアウトカムについては根拠が不十分でした。
米国政府プロジェクトの一環として、妊娠中・授乳中の母親の食事と、子どもの食物アレルギーやアトピー性の病気との関係を調べたシステマティックレビューです。妊娠中に牛乳などのアレルゲンになりうる食品を控える・制限することが、子どものアレルギーを減らすかどうかは、結論を出せるだけの十分な根拠がない(評価不能)と整理されました。
鉛はおなかの赤ちゃんの発達に有害な金属として知られています。このレビューは、症状のない妊婦に対して血中の鉛を調べる検査(スクリーニング)や、その後の対応が役立つかを、米国予防医療作業部会のために検討したものです。妊婦の鉛スクリーニングについての根拠は極めて限られ、健康上の結果を改善するかについての証拠はありませんでした。
妊娠前や妊娠中のお母さんの栄養(葉酸などのサプリや食事)と、子どもの神経発達障害(自閉スペクトラム症やADHDなど)との関係を、多くの研究からまとめたシステマティックレビュー・メタアナリシスです。葉酸など一部の栄養素は、神経発達障害のリスクの低さと関連していました(リスクが約4割低いという推計)。他の食事要因については、結論がはっきりしませんでした。
妊娠中に血糖が高かった母親(妊娠糖尿病や1型・2型糖尿病)から生まれた子どもが、その後に太りやすかったり血糖の調節に問題が出やすかったりするかを、20件の観察研究(子ども約2万6千人)をまとめて調べた研究です。妊娠糖尿病の母親の子どもは、子ども時代のBMI(体格の指標)がやや高めの傾向がありました。母親の妊娠中の血糖管理が、子どもの将来の体格や代謝にも関わる可能性を示しています。
妊娠中や生まれて間もない時期のビタミンDの状態が、子どものぜんそくやゼーゼーする症状(喘鳴)とどう関わるかを、3件のランダム化比較試験と33件のコホート研究からまとめたものです。ランダム化比較試験では、妊娠中のビタミンD補充がぜんそくを減らす明確な効果は見られませんでした。観察研究の結果は一致していませんでした。
妊娠中の鉄欠乏性貧血について、検査や鉄のサプリの補充の効果を、米国予防医療作業部会(USPSTF)のために検討した2015年のシステマティックレビューです。鉄の補充は貧血や鉄の値を改善する一方、症状のない妊婦への定期的な補充や検査が、お母さんや赤ちゃんの健康の結果を実際に改善するかについては、十分な根拠がないと整理されました。
母親の年齢が高いことが死産のリスクの高まりと関係するかを、多くの研究からまとめたシステマティックレビューです。研究によって方法が大きく異なるため数値を一つに統合することはできませんでしたが、全体として、高い母体年齢は死産のリスクの上昇と関連していました。ただし、リスクの大きさやその仕組みははっきりしていません。
妊娠中のお母さん(や父親)の気分の落ち込みや不安と、子どものADHD・自閉スペクトラム症などの神経発達障害との関係を、74件の研究をまとめて調べました。妊娠中にお母さんの気分や不安の問題があると、子どものADHDや自閉スペクトラム症のリスクがやや高くなる関連が見られました。
水銀は環境中にある物質で、胎盤を通って胎児にも届くことがあります。胎児期や乳児期の水銀への曝露と、子どものぜんそく・アトピー性皮膚炎などのアレルギーとの関係を、16件の観察研究をまとめて調べました。水銀の神経への影響はよく知られていますが、アレルギーとの関係はまだはっきりしていません。
妊娠前後に葉酸をとることと、子どものADHDや自閉スペクトラム症などの神経発達障害との関係について、これまでの系統的レビューやメタアナリシス23件をまとめて評価した研究です。全体としては、葉酸の摂取が神経発達障害のリスク低下と関連する可能性が示されました。ただし元になった研究の多くは質が高くなく、結論の確実性は低いと評価されています。
妊娠前から赤ちゃんの時期(いわゆる「最初の1000日」)に、その後の子どもの肥満につながりやすい要因を、たくさんの研究をまとめて調べた分析です。約188万人分のデータから59個の候補が挙がり、そのうち23個が肥満と一貫して関連していました。特に強かったのは、妊娠前のお母さんの体重が重いことなどでした。
妊娠中のお母さんのコーヒーの摂取と、子どものADHD(注意欠如・多動症)との関係を、エジプトでの調査と、これまでの研究をまとめた分析の両方で調べました。妊娠中によくコーヒーを飲むことが、子どものADHDのなりやすさと関連する可能性が示されました。
持病などのある(リスクの高い)妊婦を対象に、RSウイルスのワクチンとプラセボ(偽薬)を割り当てて比べたランダム化比較試験です。接種により母親に十分な中和抗体ができ、胎盤を通じて赤ちゃんへ移ることが確認されました。重い有害事象でワクチンが原因と判断されたものはなく、早産の割合はワクチン群とプラセボ群でほぼ同じでした。
WHOは食事からのカルシウムが少ない地域の妊婦に、妊娠高血圧腎症(妊娠中に血圧が上がり臓器に負担がかかる状態)の予防のため1日1500〜2000mgのカルシウム補給をすすめています。ただ服用量が多く飲みづらいため、インドとタンザニアで合わせて約2万人の初産の妊婦を対象に、1日500mgが1500mgに劣らないかを比べました。妊娠高血圧腎症の起こりやすさは両国とも少量と多量でほぼ同じで、少量でも劣らないという結果でした。早産については、インドでは少量でも劣りませんでしたが、タンザニアでは判定の基準を超えました。
妊娠中に軽度の甲状腺機能の低下(潜在性甲状腺機能低下症・低サイロキシン血症)が見つかった女性を、甲状腺ホルモン薬で治療するグループと偽薬のグループにランダムに分け、子どもの発達を5歳まで追った研究です。どちらのグループでも、子どものIQに差はありませんでした。妊娠中の軽度の甲状腺の問題を治療しても、子どもの発達は改善しないことを示しています。
妊娠中に母親の甲状腺ホルモンを調べ、異常があれば治療(甲状腺ホルモン薬)することが、子どもの知能(IQ)を高めるかを、約2万2千人を対象に調べた大規模なランダム化比較試験です。検査・治療を行ったグループと行わなかったグループで、3歳の子どものIQに差はありませんでした(99.2 対 100.0)。妊娠中の軽度の甲状腺の問題を見つけて治療しても、子どものIQは改善しないことを示しています。
動物性食品が少ない食事ではビタミンB12が不足しやすく、赤ちゃんの発達に影響しうると考えられています。インドとネパールで、菜食中心の妊婦を、B12を多め(1日250µg)に補給するグループと少なめ(50µg)のグループにランダムに分けて比べた研究です。多めに補給したグループの赤ちゃんは、生後9〜12か月の知的発達の指標がやや高く、母親のB12の状態も改善しました。
デンマークで行われたランダム化比較試験(くじ引きで2グループに分ける研究)のデータを使い、妊娠中に高用量のビタミンD3を摂ったグループと標準量のグループで、子どもが10歳になったときの認知(記憶や考える力)の成績を比べました。高用量のグループで、ことばの記憶や見た物の記憶などの成績がやや良いという関連が見られました(一部は調整後に弱まりました)。
ブラジルで行われたランダム化比較試験(PAMELA研究)で、妊娠中の運動プログラムが、お母さんや赤ちゃんの health にどう影響するかを調べました。運動プログラムは、妊娠高血圧腎症や早産を減らす効果は示しませんでしたが、赤ちゃんの健康に悪影響を与えることもありませんでした。
妊娠中の母親にカルシウムを補給するグループと偽薬のグループにランダムに分け、生まれた子どもが約7歳になったときの血圧を比べた追跡研究です。全体としてカルシウムを補給した母親の子どもは血圧がやや低めで、とくに体格が大きめの子どもでその差がはっきりしていました。妊娠中の栄養が、生まれた後の子どもの体の状態に長く影響しうることを示した古い研究です。
栄養が不足しがちな西アフリカ・ガンビアの妊婦を対象に、妊娠後期に高エネルギーの食べ物(ピーナッツのビスケット)を毎日とるグループと、出産後にとるグループにランダムに分けて比べた古典的な研究です。妊娠中に栄養を補給したグループでは、赤ちゃんの出生体重が増え、とくに食料の乏しい時期に効果が大きく、低出生体重や周産期の死亡も減りました。妊娠中の栄養が、赤ちゃんの育ちと生存に直接関わることを示した重要な研究です。
在胎週数のわりに小さく生まれた赤ちゃん412人を、2〜3歳ごろまで追った中国の観察研究です。母親が妊娠前にやせていたことや、妊娠中の体重増加が不足していたこと・増えすぎたことが、子どもの発達や社会性の遅れの多さと関連していました。とくに体重増加の不足との関連が目立ちました。
帝王切開のときに母親へ抗菌薬を投与する時間(赤ちゃんを取り出す前か、へその緒を切った後か)の違いで、子どもの5歳時点のぜんそく・湿疹・アレルギー性鼻炎に差が出るかを、英国の出生コホート約3,000人で調べた研究です。投与の時間による差はみられず、出産前に抗菌薬を受けた群でこれらのアレルギーのリスクが高まる証拠はありませんでした。
カナダ・ケベック州の子ども約127万人を最長17年追跡し、母親が入院を要する神経性やせ症(拒食症)であった場合に、子どもの心の不調や神経発達の問題が起こりやすいかを調べたコホート研究です。母親が神経性やせ症だった子どもは、心の病気での入院や、神経発達の問題、物質関連の問題が、他の子どもより多めにみられました。
米国の母子393組のコホートで、妊娠中のビスフェノールやフタル酸への曝露と、赤ちゃんの出生体重・胎盤の重さとの関連を調べました。これらの物質が高いほど胎盤の重さが小さくなる傾向がみられ、とくに女児で出生体重と胎盤重量の比が変化していました。出生体重そのものとの明確な関連はみられませんでした。
米国カリフォルニア州で生まれた約380万人の子どもを対象に、母親の妊娠前のBMIや妊娠中の体重増加と、子どものてんかんとの関係を調べた観察研究です。母親が妊娠前に太りぎみ・肥満だった場合は子どものてんかんがわずかに多い傾向がありましたが、妊娠中の体重増加が少なすぎ・多すぎだったことと、てんかんとのはっきりした関連は見られませんでした。
前回の出産から次の妊娠までの間隔(妊娠間隔)が、新生児の経過とどう関連するかを調べた後ろ向きコホート研究です(単胎の妊娠1194件)。母体年齢などを調整すると、間隔が24か月以上の場合は早産が起こりにくい傾向がみられました。一方、6〜11か月の短い間隔や60か月以上の長い間隔では、新生児集中治療室(NICU)に入る割合が高めでした。
妊娠32週より前に生まれた未熟な赤ちゃんを詳しく調べたコホート研究です。妊娠中に大気中の微小な粒子(PM2.5)に多くさらされていたことは、妊娠高血圧腎症(妊娠高血圧症候群の一つ)の起こりやすさや、出生体重のパーセンタイル(同じ週数の赤ちゃんの中での位置)の変化と関連していました。血管や代謝への影響が背景にある可能性が指摘されています。
日本の九州・沖縄の母子コホート研究で、妊娠中のお母さんの食物繊維の摂取量と、5歳になった子どもの行動・社会性との関係を約1200組の親子で調べました。食物繊維をよく摂っていたお母さんの子どもは、落ち着きのなさ(多動傾向)が少なく、思いやりのある行動が低くなりにくい傾向が見られました。一方で、感情面や友だち関係、素行の問題とははっきりした関係は見られませんでした。
双子を妊娠した女性919人とその新生児を対象に、妊娠中の体重増加と出産時の問題との関連を調べた中国の観察研究です。体重増加が不足していた場合は早産や赤ちゃんが小さく生まれること(SGA)と、増えすぎた場合は妊娠高血圧や赤ちゃんが大きく生まれること(LGA)と関連していました。双子では体重増加の幅にもきめ細かな配慮が必要だと示しています。
西アフリカで冬に吹く、砂ぼこりを多く含む乾いた季節風「ハルマッタン」にさらされた妊婦と、その赤ちゃんを調べたガーナの研究です。妊娠中にこの季節を経験したことは、赤ちゃんの頭囲(頭の周囲)が小さめであることと関連していました。妊娠の特定の時期での曝露がより影響しやすい可能性が示されました。一方、出生体重や身長との明確な関連は見られませんでした。
中国・広東省で約78万組の父・母・赤ちゃんの記録を調べ、父親の年齢と出産のアウトカムの関係を分析した大規模な研究です。父親が35〜44歳の場合、25〜34歳に比べて早産や帝王切開がやや多い傾向がみられ、年齢が上がるほど早産が増える関係も示されました。一方で、小さく生まれること(SGA)や赤ちゃんの死亡とは、はっきりした関連はみられませんでした。
中国の病院で母子2,000組を対象に、妊娠中の母親の病気(妊娠糖尿病や妊娠高血圧など)と、赤ちゃんの体格や発達との関係を調べた観察研究です。母親の病気が赤ちゃんの発達に影響する経路に「早産」が間に入って働いている可能性を、統計的な手法(媒介分析)で調べました。妊娠糖尿病は早産を介して赤ちゃんの体格(BMI)に、妊娠高血圧は早産を介して新生児の神経・行動の評価に関連していました。
オーストラリアの3地域で、母親と赤ちゃんの記録を連結し、妊娠中のインフルエンザ・百日咳ワクチンと、生後1年以内の死亡との関係を調べた観察研究です。約28万人の赤ちゃんを分析したところ、ワクチンを接種した母親から生まれた赤ちゃんで死亡が多くなる証拠は見られませんでした。むしろ、とくに生後7日以内の死亡が少なくなる方向の関連が見られたと報告しています。
妊娠中に子宮内輸血を受けた90組の母子を対象に、母親・へその緒・輸血用血液に含まれる水銀・カドミウム・鉛・ヒ素の量と、赤ちゃんの初期の発達との関連を調べた小規模な研究です。母親やへその緒の水銀・ヒ素が高めだと、対人や問題解決、運動の指標がわずかに低い傾向がみられました。差は小さく、予備的な結果です。
中国の複数の病院で約1万6千件の単胎の出産を追い、父親の年齢と妊娠・出産時のさまざまなアウトカムの関係を調べた研究です。母親の年齢など他の要因を考慮して分析すると、多くの項目では関連が小さくなりましたが、妊娠糖尿病・帝王切開・早産・大きく生まれること(巨大児)では、父親の年齢が高いほどやや増える傾向が残りました。父親の年齢も母親の年齢と同じように、妊娠前のカウンセリングで考慮するとよいと著者は述べています。
アメリカで初めて出産する妊婦さん約7,300人を対象に、妊娠の直前から初期にかけてのカフェイン摂取量と、出産時の好ましくない結果(早産、小さく生まれる赤ちゃん、妊娠高血圧、流死産など)との関係を調べた大規模なコホート研究です。1日200mg以上のカフェインをとっていたグループでも、年齢や生活習慣などの条件をそろえて比べると、これらの結果が増える明確な関連は見られませんでした。50mgずつ増やして調べても、リスクが上がる傾向ははっきりしませんでした。
妊娠前に太りぎみ・肥満だった母親と、その子どもの体重を、出産から4〜7年後に調べました。母親自身は太りすぎや肥満が続いている割合が高い傾向がはっきり見られました。一方、子どもの肥満については、太りぎみ・肥満だった母親の子どもで割合がやや高めでしたが、他の要因を考え合わせると統計的にはっきりした関連とは言えませんでした。
妊娠前に太りぎみ・肥満だった母親の子どもと、ふつうの体重だった母親の子どもで、生まれてから6歳までのBMI(体格の指標)の変化を約2万人のデータで比べました。妊娠前に太りぎみ・肥満だった母親の子どもは、0〜2歳でも2〜6歳でもBMIがやや高めに推移する傾向が見られました。一方、妊娠糖尿病があったかどうかでは、はっきりした差は見られませんでした。
母親が妊娠中に太りぎみだったことや妊娠糖尿病があったことが、子どもの体脂肪のつき方とどう関わるかを、約560組の母子を生まれてから9〜14歳ごろまで追って調べました。母親が太りぎみ、または妊娠糖尿病があった子どもは、皮下脂肪が早く増えていく傾向が見られ、両方あった場合にもっとも増え方が大きい傾向でした。
アメリカの公的医療保険(メディケイド)に入っている約184万組の母子を対象に、住まいの周りの緑の多さと、子どもの発達のつまずき(自閉スペクトラム症、ADHD、学習や言葉の遅れ、知的の遅れなど)との関係を調べたものです。妊娠前・妊娠中・生まれた後のいずれの時期でも、緑が多い場所に住む子は、こうした発達のつまずきが見られにくい関連がありました。この傾向は、都市部に住む子どもや黒人・ヒスパニックの子どもでより強く見られました。
ベルギーの出生コホート(317組の母子)で、妊娠中に住まいの周りにどれくらい緑(とくに背の低い草など)があったかと、生まれた赤ちゃんのへその緒の血液中にあるIGF1という成長に関わるたんぱく質、そして4〜6歳時点での認知の働き(注意力や手の動きの速さなど)との関係を調べたものです。妊娠中の緑が多いほど赤ちゃんのIGF1が高い傾向があり、そのIGF1が高いことが、子どものときの注意力・反応の速さの良さと関連していました。緑の多さが、このIGF1を介して子どもの認知によい関連を持つ可能性が示されました。
アメリカで初めて出産する約9千5百人を追った大規模研究のデータを使い、妊婦用ビタミンに加えてオメガ3サプリもとっていた人と、ビタミンだけの人を比べました。オメガ3も併せてとっていた人では、早産や、週数のわりに小さく生まれる赤ちゃんの割合が低めでした。背景の違い(収入や生活の状況など)を調整しても関連は残りましたが、グループ間の差が大きく、調整しきれない要因が結果に影響している可能性があります。
プラスチックなどに使われるビスフェノール類(BPAなど)への妊娠中の曝露が、早産・妊娠高血圧・妊娠糖尿病・低出生体重などと関係するかを、日本のエコチル調査の妊婦4523人で調べた研究です。日本の妊婦のBPA濃度は海外の報告より低く、今回の分析ではBPAの摂取量とこれらの好ましくない結果との間に、はっきりした関連はみられませんでした。
魚などに含まれる水銀(メチル水銀)への妊娠中の曝露が、子どもの発達と関係するかを、日本のエコチル調査でへその緒の血液中の水銀を測って調べた研究(約3千〜3800人)です。へその緒の血中水銀と、2歳・4歳の発達の指標との間に、はっきりした関連はみられませんでした。濃度が高いほど発達が悪いという傾向もありませんでした。
妊娠前後のバランスの良い食事が、血液中の有害金属(水銀・鉛・カドミウム)の濃度や低出生体重とどう関わるかを、日本のエコチル調査の妊婦7万2千人で調べた研究です。バランスの良い食事の母親は鉛・カドミウムが低めでした(魚を多く食べるため水銀は高め)。これらの金属は低出生体重のリスクと関連しましたが、バランスの良い食事がその関連を和らげる可能性が示されました。
妊娠中の母親の食物繊維の摂取量と、子どもの3歳での発達との関係を、日本のエコチル調査の約7万6千組で調べた研究です。食物繊維の摂取が最も少ないグループの母親の子どもは、最も多いグループに比べて、コミュニケーションや手先の動きなどの発達の遅れがみられるリスクが高めでした。野菜・果物・全粒穀物など食物繊維を含む食事の大切さを示しています。
妊娠前から妊娠初期にかけての朝食をとる頻度と、子どもの2歳・3歳半時点の発達との関係を、日本の三世代コホート7491組で調べた研究です。妊娠前〜初期に朝食をほとんど食べない(週0〜2回)母親の子どもは、毎日食べる母親の子どもに比べて、2歳での発達の遅れの割合がやや高めでした。規則正しい食生活が、子どもの発達の面でも望ましい可能性を示しています。
妊娠中と産後の両方で母親が心のつらさ(心理的苦痛)を抱えることが、子どものアトピー性皮膚炎の発症と関係するかを、日本の三世代コホート8377組で調べた研究です。1歳時点でアトピー性皮膚炎のなかった子どものうち、母親が妊娠中・産後の両方でつらさを抱えていた場合に、2歳での発症がみられやすい傾向がありました。
妊娠中に抗菌薬(抗生物質)を使うことと、3歳時点の子どもの肥満との関係を、日本のエコチル調査の大規模データで調べた研究です。全体ではわずかな関連にとどまりましたが、妊娠中期・後期に抗菌薬を使った場合、女の子で3歳時点の肥満との関連がみられました。腸内細菌への影響などが背景にある可能性が考えられます。
妊娠中の母親のビタミンD摂取量と、1歳時点の赤ちゃんのアレルギー(ぜんそく・食物アレルギー・アトピー性皮膚炎)との関係を、日本のエコチル調査の母子約8万3千組で調べた研究です。母親のビタミンD摂取量は日本の推奨量より少なめでしたが、摂取量とアレルギーの発症との間に、一貫したはっきりした関連はみられませんでした。
妊娠中の母親の睡眠時間と、赤ちゃんの出生体重との関係を、日本のエコチル調査の約8万2千組で調べた研究です。睡眠6〜8時間を基準にすると、9〜12時間とやや長めに眠っていた母親では、低出生体重やSGA(在胎週数に比べて小さい赤ちゃん)の割合がむしろ低い傾向がありました。妊娠中に十分な睡眠をとることの大切さを示す結果です。
有害金属カドミウムへの妊娠中の曝露と、2歳児の発達との関係を、日本のエコチル調査の母子3545組で調べた研究です。母親の血中カドミウム濃度が高いと、とくに男の子で運動の発達の指標がやや低い傾向がありました。妊娠中に喫煙していた母親の子どもでは、関連がより強くみられました。
妊娠中の母親自身の喫煙と、まわりのたばこの煙(受動喫煙)が、3歳時点の子どもの肥満とどう関わるかを、日本のエコチル調査の約2万4千組で調べた研究です。妊娠中に喫煙を続けた母親の子どもは、吸わなかった母親の子どもに比べて肥満のリスクが高めでした(約1.39倍)。受動喫煙が加わると、リスクはさらに高まりました。
妊娠中の母親の睡眠時間と、妊娠糖尿病(妊娠中に血糖が高くなる状態)との関係を、日本のエコチル調査の約4万9千人で調べた研究です。睡眠7〜10時間を基準にすると、5時間未満と10時間以上のどちらでも、妊娠中の血糖値が高めで、妊娠糖尿病のリスクが上がる傾向がありました(短すぎても長すぎてもよくないU字の関係)。
妊娠中のビスフェノールA(BPA)やフタル酸(プラスチックの可塑剤)への曝露と、5歳時点の子どもの行動の問題との関係を、日本の北海道スタディの458組で調べた研究です。フタル酸の一種(MECPP)の濃度が高いと、行動上の「素行の問題」のリスクが高い傾向がありました。一方、BPAについては行動の問題との関連はみられませんでした。
アメリカの出生コホート(イリノイ州)で、妊娠中に食事の質が改善した人ほど、妊娠中の体重増加が少ないかを調べた研究です。摂取エネルギーを考慮しても、妊娠を通じて食事の質が改善した人では、妊娠中の体重増加が少ない傾向が見られました。特に、肥満のある女性で関連がはっきりしていました。
北欧3つの大規模コホート(合計約7.7万組以上)を使い、妊娠中のお母さんの魚由来オメガ3(n-3)の摂取量と、3歳までの子どもの感染症との関係を調べました。下気道(肺など)の感染とのはっきりした関連は見られず、上気道(のど・鼻)の感染や胃腸炎ではごくわずかな減少が見られた程度でした。全体として、感染を防ぐ明確な効果は確認されませんでした。
韓国の全国データ(母子約350万組)で、妊娠糖尿病だった母親から生まれた子どもが、その後(最長14年)に1型・2型糖尿病になりやすいかを調べた研究です。妊娠糖尿病があった母親の子どもは2型糖尿病のリスクが高く、とくに妊娠中にインスリン治療を必要とした重めのケースでは、1型・2型ともにリスクが高い傾向がありました。
妊娠中にまとまった量のお酒にさらされた子どもと、さらされていない子どもを、生まれる前から追いかけ、6歳の時点で体つきや発達・心理面を詳しく調べた研究です。多めの飲酒にさらされた子どものうち、評価を完了した約4分の3(76%)が、胎児性アルコール・スペクトラム障害(FASD)の診断基準に当てはまりました。
中国・武漢の母子2773組を対象に、妊娠中の母親と、生後12・24か月の乳児の食事の「多様さ(いろいろな食品を食べているか)」が、2歳時点の発達と関係するかを調べた研究です。母親や乳児の食事が多様なほど、子どもの精神・運動の発達の指標が高く、認知の発達の遅れが少ない傾向がみられました。とくに全粒穀物・赤身肉・野菜・果物はよい方向と、甘いものは逆方向と関連していました。
日本の「エコチル調査」の母子約6万4千組を対象に、母親に心の病気(精神疾患)の既往があることと、生後3年間の子どもの発達との関係を調べた研究です。母親に心の病気の既往がある子どもは、体全体を使う運動(粗大運動)や問題解決の領域で、発達の遅れがみられる割合がやや高めでした。母親の心の健康への支援が、子どもの育ちを支えるうえでも大切なことを示しています。
中国の出生コホート研究で、1423組の親子を対象に、妊娠中のお茶・コーヒーの飲み方と、3歳ごろの子どもの認知(考える力など)の発達との関係を調べました。妊娠中によくお茶を飲んでいたお母さんの子どもで、認知の発達の点数がやや高いという前向きな関連が見られました。コーヒーについては、はっきりとした悪い影響は見られませんでした。
妊娠中の喫煙が子どもの発達に悪い影響を与えることは知られていますが、それが出生体重の低下やカドミウム(たばこに含まれる有害金属)への曝露を通じた間接的なものか、それとも直接的なものかを、日本の「エコチル調査」のデータで調べた研究です。妊娠中に喫煙していた母親の子ども、とくに男の子は、2歳・4歳時点の発達の指標が低めでした。分析の結果、出生体重などを介した影響だけでなく、喫煙そのものの直接的な悪影響も確認されました。
日本の「エコチル調査」の約72,000組の親子を対象に、妊娠中のお母さんの魚やオメガ3系脂肪酸(n-3)の摂取量と、3歳までの子どものアレルギーとの関係を調べました。魚やオメガ3をよく摂っていたお母さんの子どもで、医師に診断されたアレルギー性の鼻炎・結膜炎などが少ない傾向(逆の関連)が見られました。
日本の大規模調査「エコチル調査」の母子約9万2千組を対象に、妊娠中の母親の魚の摂取量と、子どもが3歳のときの発達の関係を調べた研究です。魚をよく食べていた母親の子どもは、コミュニケーション・手先の細かい動き・問題解決・人とのかかわりといった面で、発達の遅れがみられる割合が低い傾向がありました。一方、体全体を使う大きな運動(粗大運動)でははっきりした差はありませんでした。
日本の大規模調査「エコチル調査」の約10万組を対象に、妊娠中の母親が複数の慢性的な病気(持病)をもつことと、子どもの発達との関係を調べた研究です。持病が1つの母親の子どもは、持病のない母親の子どもと発達の遅れの割合が同じくらいでしたが、2つ以上の持病をもつ母親の子どもでは、発達の遅れがみられる割合がやや高めでした。
プラスチックの柔軟剤や化粧品などに含まれることがあるフタル酸エステル類(およびその代替物質)への妊娠中の曝露と、幼児期の発達との関係を調べた研究です。妊娠中のフタル酸類への曝露は、複数の発達の領域での遅れと関連していました。関連には、子どもの性別や年齢による差も見られました。
日本(東北メディカル・メガバンク)の出生コホート研究で、妊娠前・妊娠中のお母さんの加糖飲料(砂糖入りの飲み物)の摂取量と、生後1歳での子どもの体重との関係を調べました。妊娠中に加糖飲料を多く飲んでいたお母さんの子どもで、1歳時点の太りすぎが多い傾向が見られました。
日本の「エコチル調査」のデータで、妊娠中のお母さんのヨウ素(海藻などに多く、甲状腺ホルモンに必要なミネラル)の摂取量と、子どもの神経発達との関係を調べました。ヨウ素の摂取が少ないお母さんの子どもでは、手先の細かい動きや問題解決などの発達が遅れるリスクがやや高い傾向が見られました。妊娠中の適切なヨウ素の摂取が、子どもの発達に関わる可能性があります。
中国南西部の前向き出生コホート研究で、妊娠中の体重増加と帝王切開との関係を調べました。妊娠中に体重が増えすぎた場合、帝王切開になる割合が高い傾向が見られました。著者らは、その地域ではより慎重な体重増加の目安が必要であり、やせ気味の女性にも注意が必要だと述べています。
中国の農村で、妊娠中のお母さんのメチル水銀(魚だけでなく米からも取り込まれることがある有害な金属)への曝露と、子どもの神経発達との関係を、生まれる前から追って調べた研究です。出生前のメチル水銀曝露の指標が高いほど、12〜36か月の認知機能がやや低い傾向が見られました。
日本の「エコチル調査」の約8.7万組の親子を対象に、妊娠中のお母さんの魚の摂取量と、1歳の赤ちゃんの睡眠時間との関係を調べました。魚をよく食べていたお母さんの子どもほど、1歳で睡眠が11時間未満と短くなりにくい傾向が見られました。魚に含まれるオメガ3が、赤ちゃんの神経の発達を通じて睡眠に関わる可能性が示唆されています。
日本の「エコチル調査」の大規模データで、妊娠中のお母さんの体重増加が不足している場合と、1歳の子どもの神経発達との関係を調べました。妊娠中の体重増加が不足していたお母さんの子どもでは、1歳時点の神経発達に好ましくない影響が見られる可能性が示されました。妊娠中の適切な体重増加の大切さを示しています。
お母さんの妊娠中の体格(BMI)や妊娠中の体重増加が、子どもの1歳・7歳時点の健康とどう関わるかを調べた研究です。妊娠中期のBMIが高いことと、妊娠中の体重が増えすぎることは、どちらもそれぞれ独立して、7歳での子どもの体脂肪の多さと関連していました。
日本の「エコチル調査」の大規模データで、妊娠中のお母さんの魚やオメガ3系脂肪酸(PUFA)の摂取と、生後6か月・1歳の子どもの神経発達との関係を調べました。妊娠中に魚をよく食べていたお母さんの子どもでは、体を動かす発達(精神運動発達)の一部の領域で良好な傾向が見られ、その一部は魚に含まれるオメガ3で説明できる可能性が示されました。
日本の「エコチル調査」の約7.3万組の親子を対象に、妊娠中のお母さんの発酵食品(みそなど)の摂取と、1歳の赤ちゃんの睡眠時間との関係を調べました。妊娠中に発酵食品、特にみそをよく摂っていたお母さんの子どもほど、1歳で睡眠が11時間未満と短くなりにくい傾向が見られました。腸内細菌と体内時計の関わりが背景にあると考えられています。
妊娠中からの喫煙・受動喫煙への曝露と、幼児期のゼーゼーする症状(喘鳴)との関係を、生まれる前から追った前向き出生コホート研究です。妊娠中ずっと続いた母親の喫煙は、子どもの喘鳴のリスクの高まりと関連していました。妊娠中(出生前)と生まれた後の両方の煙への曝露が、リスクを上乗せする可能性も示されました。
日本の研究で、妊娠前や妊娠の初期にたばこをやめたお母さんの子どもの、胎児期から子ども時代にかけての成長を調べました。妊娠前または妊娠初期に禁煙したお母さんの子どもは、適切な(正常な範囲の)成長をしていました。早い時期の禁煙が、子どもの成長にとって望ましいことを示しています。
妊娠前のお母さんの体格(BMI)と、子どものてんかん・知的障害・自閉スペクトラム症・ADHDなどの神経発達障害との関係を、韓国の大規模な医療データで調べました。妊娠前のBMIが高いことが、子どもの神経発達障害のなりやすさと関連する可能性が示されました。
妊娠後期のお母さんの血液中のビタミンCの濃度と、生後6か月の赤ちゃんの社会性(人とのやりとりの力)との関係を、442組の親子で調べました。ビタミンCの濃度が高いほど社会性の発達がよい関連が見られ、ある一定の濃度までの範囲で特に関係が強い可能性が示されました。
妊娠中のたばこの煙への曝露を、尿に含まれる成分(コチニン)で正確に測る基準をつくり、それと子どものIQとの関係を、複数の研究のデータで調べました。妊娠中のたばこの煙への曝露が、4〜6歳の子どものIQの低さと関連する可能性が示されました。自分が吸う場合だけでなく、まわりの煙(受動喫煙)も区別して検討しています。
大豆に含まれるイソフラボンの妊娠中の摂取と、子どもの食物アレルギーとの関係を、日本のエコチル調査の約8万6千組の親子で調べました。イソフラボンの摂取量を4段階に分けて比べ、食物アレルギーとの関連を検討しています。
日本の九州・沖縄の母子コホート研究で、妊娠中のお母さんのきのこの摂取量と、5歳児の行動・社会性との関係を調べました。約1200組の親子を分析したところ、きのこをよく食べていたお母さんの子どもは、友だち関係の問題が少なく、思いやりのある行動(向社会的行動)が低くなりにくい傾向が見られました。
日本のエコチル調査のデータ約3万8千組の親子を使い、お母さんの妊娠前と妊娠中の運動量が、子どもの発達とどう関係するかを調べました。子どもの発達は、生後6か月から3歳まで半年ごとに、コミュニケーションや運動などの面を質問票で評価しました。
ビタミンDは成長や体づくりに関わる栄養素です。この研究では、生まれたときの血液中のビタミンD(8種類の形)を詳しく測り、10〜11歳になったときの身長・体重・体型との関係を調べました。出生時のビタミンDの状態が、その後の子どもの体格と関連する可能性が示されました。
妊娠中の抑うつ症状と、子どもの発達との関係を、2053人の妊婦さんを追って調べました。妊娠のどの時期でも抑うつ症状が強いと、赤ちゃんの発達がやや遅れる関連が見られました。また、抑うつ症状のある人では腸内細菌のバランスの変化が見られ、その仕組みを動物実験でも確かめています。
アメリカの出生コホート研究で、妊娠中から乳児期にかけての金属(ヒ素・鉛・亜鉛など)への曝露と、5歳のときの知能との関係を調べました。278組の親子について、爪に含まれる金属を時期ごとに測り、5歳のときに知能検査を行いました。体に必要な金属と、有害になりうる金属を、時期ごとにまとめて評価した点が特徴です。
妊娠中に血糖が高くなる妊娠糖尿病(GDM)と、子どもの発達との関係を、1438組の親子で調べました。妊娠糖尿病のお母さんから生まれた子どもは、生後6か月や1歳半のときに、手先の細かい運動の発達がやや遅れやすい関連が見られました。
妊娠中(中期〜後期)や出産1年後のお母さんの心のつらさ(強いストレス)と、幼児の発達の遅れとの関係を、日本のエコチル調査の約8万2千組の親子で調べました。心の状態と子どもの発達がたがいに影響し合うことも考えに入れて分析しています。お母さんの心のつらさが、子どもの発達の遅れと関連する可能性が示されました。
妊娠中のお母さんの睡眠の質や長さと、赤ちゃんが週数のわりに小さく生まれること(SGA)との関係を、1677人の妊婦さんで調べました。妊娠初期に睡眠が7時間以下と短い人は、小さく生まれる赤ちゃんのリスクがやや高い関連が見られました。睡眠の質が悪いことと短い睡眠が重なると、関連はさらに強くなりました。
インドネシアの全国調査データ(女性約1万7千人)を用いて、出産の間隔と周産期(出産前後)の赤ちゃんの死亡との関連を調べた横断研究です。前の出産から12か月未満で次を妊娠した場合や、逆に60か月以上空いた場合は、24〜35か月の場合と比べて周産期死亡の割合が高めでした。母体年齢が高いことや妊婦健診を受けていないことも、リスクの高さと関連していました。
妊娠糖尿病と診断された母子217組を、どの血糖値が高かったかでグループ分けして比べた二次解析です(ニュージーランド)。空腹時の血糖が高かった母親は、5年後に2型糖尿病・前糖尿病になっている割合が高めでした。その子どもは、生まれたときの体重が大きめで、5歳時点でも身長・体重がやや大きく、発達のスクリーニングで気になる結果が出る割合も高めでした。
妊娠初期に胎児の首のむくみ(NT)が大きく、染色体や遺伝子の異常が見つからなかった11例を追跡した、ごく小規模な研究です。母親の血液で葉酸の取り込みを妨げる自己抗体(FRAA)が陽性だった4例では、その子全員が後に自閉スペクトラム症と診断されました。著者らは、この抗体が早期の手がかりになり、葉酸(フォリン酸)の補充が予防につながる可能性があると述べています。
米国の全国調査(NHANES)のデータを使い、妊娠中に母親が喫煙したかどうかと、子ども・思春期の学習障害との関連を約5800人で調べた横断研究です。喫煙していた群では学習障害の割合が高く(18.9%対9.5%)、さまざまな統計手法でも一貫して関連がみられました。
二分脊椎の胎児手術を受けた女性198人を対象に、妊娠前の葉酸の摂取がどうだったかを調べた研究です。正しく葉酸をとっていた人は約3分の1にとどまっていました。一方で、葉酸を正しくとっていても二分脊椎が起きた例が半数ほどあり、葉酸だけで完全には防げないことも示されました。妊娠前からの正しい葉酸摂取の大切さと、原因が複数あることを示しています。
スコットランド全体のデータで、2000〜2021年の神経管閉鎖障害(無脳症・二分脊椎)の発生の推移を調べた研究です。小麦粉への葉酸添加が義務化される前のこの期間、発生率に明らかな減少はみられませんでした。サプリの摂取に頼るこれまでの取り組みだけでは、発生を十分には減らせていない可能性を示しています。今後、義務的な葉酸添加の効果を見ていく必要があるとしています。
妊娠中にインフルエンザワクチンを受けていなかった母親から生まれた、生後2〜4週の新生児3人がインフルエンザにかかった例を報告したものです。3人とも発熱や呼吸の症状などで入院しましたが、早めの抗ウイルス薬などで全員回復しました。1例では百日咳との同時感染が見られ、症状が重くなりやすいことが示されています。著者は、生後まもない赤ちゃんは自分でワクチンを受けられないため、母親の妊娠中の接種で受け継ぐ抗体が大切だと述べています。
妊娠後期の妊婦を2つのグループに分け、ビタミンD単独と、ビタミンD+カルシウム(1日500mg)を比べた試験です。カルシウムを加えたグループのほうが、妊娠高血圧腎症や新たに起こる妊娠高血圧、たんぱく尿が少ない傾向がみられました。新生児についても低出生体重などが少ない傾向が報告されています。
オメガ3には血を固まりにくくする働きがあることから、出産時の出血を増やさないかを、スウェーデンの病院の出産記録(約4万1千件)を使って調べた研究です。妊娠初期にオメガ3を使っていた人と使っていなかった人を比べたところ、使っていた人では出産時の多量出血の割合が約25%高く、とくに大量出血は2倍以上多くなっていました。著者は、妊娠後期にはオメガ3の使用を控えることを検討する根拠になりうるとしています。
脳の発達に重要とされるDHA(魚に多いオメガ3脂肪酸)が、母親の魚の摂取や授乳方法によって赤ちゃんの血中でどう違うかを、日本の生後5〜6か月の乳児268人で調べた研究です。母親が青魚・白身魚をよく食べているほど、また主に母乳で育っている赤ちゃんほど、血中のDHA濃度が高い傾向がありました。母親が魚を食べることが、母乳を通じて赤ちゃんのDHAに反映されることを示しています。
6501人の妊婦を対象に、妊娠中の運動と早産(予定より早く生まれること)のリスクとの関係を調べた研究です。早産の割合は4.38%で、妊娠中に運動していた人では早産のリスクが低い傾向が見られました(調整後のオッズ比0.74)。特に妊娠初期・中期に週2.5〜7時間の運動をしていた人で、リスクが低めでした。
日本の母乳研究の一環として、母乳に含まれるDHA(オメガ3の一種で、子どもの神経の発達に重要)の量が、お母さんの食事やサプリの利用とどう関わるかを、78人の授乳中のお母さんで調べた研究です。魚介類をよく食べる人やDHAサプリを使う人ほど、母乳のDHA濃度が高い傾向が見られました。日本の母乳のDHAは歴史的に高めとされています。
オスのマウスに葉酸の少ない餌を与え続けると、生まれた子に骨格や顔まわりの形成異常が増えたと報告した動物実験です。精子のDNAの働き方(メチル化)に違いがみられ、発達や病気に関わる遺伝子が含まれていました。父親側の栄養状態が精子を通じて子の育ちに関わりうるという仕組みを示した研究ですが、対象はマウスです。
妊娠する前(受胎前)の親の栄養や生活習慣が、その後の妊娠や子どもの健康とどう関わるかを整理した総説です。観察研究では、妊娠前の健康状態と母子の健康のあいだに強い関連があり、その影響は世代をこえて及びうると報告されています。父親側も含めた妊娠前の対策が大切だと指摘していますが、妊娠中の栄養補給だけでは子どもの健康への効果が乏しかったという結果にも触れています。
妊娠中の母親の肥満と、子どもが将来かかえる健康問題との関連を整理した総説です。観察研究では、母親の肥満が子どもの肥満や心臓病、2型糖尿病、ぜんそくのなりやすさと関連すると報告されています。さらに、認知の働きが伸びにくいことや、発達上の問題(脳性まひを含む)が増える可能性にも触れています。なぜそうなるのかの仕組みとして、DNAの働き方の変化(エピジェネティクス)などが想定されています。
低・中所得国の長期追跡コホート5件のデータをもとに、母親や乳幼児期の低栄養が、その後の育ちや大人になってからの健康とどう関わるかを整理した研究です。生まれたときや幼少期の栄養状態が良くないと、大人になってからの身長が低く、学校に通えた年数や収入が少なくなりやすいと報告されています。とくに2歳時点の身長が、その後の能力をよく予測する指標とされています。
RSウイルスは乳児の重い呼吸器感染の主な原因の一つで、これまでの研究を整理した総説です。妊娠中に母親がRSウイルスのワクチンを接種すると、母親の抗体が胎盤を通じて赤ちゃんに移り、生まれて間もない時期の重い下気道感染を防ぐ方向に働くと報告しています。臨床試験では生後90日までの医療を要する重いRSウイルス感染に対して高い有効性(例として最大81.8%)が示された一方、安全性は接種後も引き続き注意して見ていく必要があるとしています。
二分脊椎(神経管閉鎖障害の一種)の原因・予防・診断・治療について、最近の進歩を整理した総説です。著者らは、葉酸の摂取が広まったことで新たに発生する例が大きく減ったと述べています。あわせて、出生前の画像診断や子宮内手術などの治療の進歩についても紹介しています。
妊娠糖尿病(妊娠中に血糖が高くなる状態)と、生まれた子どもの肥満リスクの高まりとの関連を整理した総説です。これまでの研究をまとめると、妊娠糖尿病の母親の子どもは子ども時代に肥満になりやすい傾向があり、その影響は成長を通じて続きうると述べています。子どもの肥満の原因は多くの要因が重なるため、妊娠中からの管理や子どもの成長に合わせた対策が大切だとしています。
妊娠中や出生後早期のビスフェノール・フタル酸・PCBなどの環境ホルモンや残留性汚染物質への曝露が、子どもの脳や行動に与える影響を、動物実験と人の研究をもとにまとめた総説です。これらの曝露は、注意力の低下・衝動性・不安などの行動の変化と関連すると整理されています。人での長期的な追跡データはまだ限られています。
妊娠中に必要なヨウ素の量について、最近の知見を整理した総説です。ヨウ素は胎児の脳・神経の発達に欠かせず、妊娠中は必要量が増えます。ただしヨウ素は不足だけでなく摂り過ぎも甲状腺の働きや胎児の発達によくなく、ちょうどよい範囲がせまいことが指摘されています。
低・中所得国で標準的に行われている妊娠中の鉄・葉酸の補充を、複数の微量栄養素(MMS)に置きかえた場合の効果と費用を、25か国のデータをもとに試算した研究です。置きかえることで、低出生体重・死産・女児の新生児死亡を相当数減らせると見積もられました。費用も比較的小さく、費用に見合う効果が大きいと結論づけています。
口を閉じて出すハミング(鼻歌)が、赤ちゃんとケアをする人の体や心の状態を整える役割をもつかもしれない、という考え方を論じた論文です。ゆっくりした呼吸や胸・頭への振動を通じて、心拍や呼吸のリズムを落ち着かせ、親子のやりとりを生む助けになる可能性があると述べています。早産児へのカンガルーケア中に母親がハミングをすると、赤ちゃんの体の状態が安定し、赤ちゃん自身も声を出して応えやすくなるという研究を根拠として挙げています。
妊娠中と授乳中のコリンについて、近年のメタアナリシスやレビューをもとに整理した総説です。コリンは脳や神経の発達、肝臓の働きを支え、神経管の異常を減らす役割があると報告されています。一方で、多くの妊婦・授乳婦が推奨量に届いておらず、植物中心の食事が広がるとさらに不足しやすいと指摘しています。著者は、葉酸とあわせてコリンも食事の推奨に含めることを検討すべきだと述べています。
妊娠前から授乳期にかけて、複数の微量栄養素をまとめて補う複合サプリ(MMS)の効果と安全性を、30件の試験を集めて整理した総説です。微量栄養素の状態が改善し、妊娠初期では葉酸だけを補うよりも神経管閉鎖障害や先天性の異常を減らせる可能性があると報告しています。ただし著者がまとめて論じた総説であり、効果がすべての集団で確実というわけではありません。
オメガ3脂肪酸の一種であるDHAについて、妊娠期から小児期までの摂取状況と健康とのかかわりを、低・中所得国を中心に整理した総説です。これらの国々では妊婦や子どものDHA摂取が不足しがちで、摂取や補給が神経発達や免疫の働きと関連すると報告されています。ただしまとめられた研究は内容がさまざまで、効果がはっきり証明されたわけではありません。
ビスフェノール・PCB・PFASなどの環境ホルモンが、妊娠中の甲状腺ホルモンの働きを乱す可能性について、しくみを中心にまとめた総説です。甲状腺ホルモンは胎児の成長や脳の発達に重要で、その乱れが発達や行動の問題と関わる可能性が指摘されています。物質ごとに作用のしかたは異なります。
妊娠中の環境ホルモン(環境化学物質)への曝露が、妊娠の経過や赤ちゃんの発達に与える影響を、実験研究と観察研究をもとにまとめた総説です。曝露が早産・低出生体重や、子どもの身体・精神の発達の遅れと関連しうると整理されています。曝露をできる範囲で減らすことが勧められています。
東南アジアで今も課題となっている子どもの低身長(スタンティング)について、各国の政策や取り組みを整理した総説です。低身長は、生後1000日までの栄養不足や感染の繰り返しから起きるとし、母乳育児の推進や栄養補給など、栄養に直接働きかける対策と、生活環境を整える対策の両方が行われていると紹介しています。社会・経済の格差や、取り組みの調整・監視の難しさが課題として残るとしています。
妊娠を計画する時期から妊娠・授乳期にかけてのコリン摂取の大切さを解説した総説です。コリンは細胞膜づくりや神経の伝達、脳の発達に関わり、子どもの神経系の形成や認知の発達を支え、神経管の異常リスクを下げる可能性があると紹介しています。体内では十分に作れないため食事からとる必要がありますが、多くの女性が推奨量に届いていないと指摘しています。著者は、妊娠を考える女性への情報提供と意識づけの大切さを訴えています。
妊娠中のコリン摂取が子どもの脳の発達や神経発達障害にどう関わるかを整理した総説です。コリンは遺伝子の働きの調整や細胞膜づくりに関わり、動物の実験では脳の特定の部位(大脳皮質や海馬)の発達を助けることが示されてきました。レット症候群やダウン症などの神経発達障害との関連についても紹介していますが、適切な時期・量・しくみについてはまだ分かっていないことが多いと述べています。
父親になる年齢が世界的に上がっている背景をふまえ、父親の高齢と妊娠のしやすさ・子どもの健康との関係について、これまでの研究を幅広く整理した総説です。年齢とともに精子の質が下がりやすいことや、自閉スペクトラム症・統合失調症・一部の小児がんなどとの関連が報告されていることを紹介しています。ただし研究によって結果が食い違うことも多く、何歳から「高齢」とするかの定まった定義もないと述べています。
母親の食事や妊娠中・乳児期の栄養が、赤ちゃんの腸内細菌(マイクロバイオーム)の育ち方とその後の健康にどう関わるかを整理した総説です。母乳や食物繊維・発酵食品は望ましい細菌を支える一方、脂肪や糖の多い食事などは細菌バランスの乱れと結びつく可能性があると述べています。腸内細菌の構成や多様性は免疫・代謝・発達と関連し、人生の最初の数年は細菌が変わりやすい時期なので、栄養を通じた予防の機会になりうると説明しています。
妊娠初期にオメガ3が足りない人を検査で見つけて補給する取り組みが、34週より前に生まれる「早い早産」をどれだけ減らせ、費用にどう影響するかを、オーストラリアのデータを使ってシミュレーションした研究です。これまでの研究で、オメガ3が低い妊婦への補給が早産(とくに早い早産)を減らしうることをふまえています。試算では、対象の妊婦の約17.5%が補給の対象になり、現状と比べて早い早産を640件防ぎ、医療費も節約できると見込まれました。
妊娠中のカフェイン摂取と、好ましくない妊娠・出産の結果との関係について、これまでの症例対照研究・コホート研究・ランダム化試験・メタアナリシスを幅広く読み込んで整理したレビューです。カフェインは胎盤を通って胎児にも届き、摂取量が多いほど、流産・死産・低出生体重・小さく生まれる赤ちゃん(SGA)との関連が報告されています。こうした関連は、1日200mgという一般的な上限の目安よりも少ない量でも見られる場合があるとしています。
妊娠中に母親がワクチンを受けることで、母親自身と生まれてくる赤ちゃんを感染症から守ろうとする考え方をまとめた総説です。母親の抗体が胎盤を通じて赤ちゃんに移る仕組みや、インフルエンザ・百日咳(Tdap)・RSVなどのワクチンの安全性と効果の概要を整理しています。あわせて、誤った情報やためらい、医療へのアクセスの差といった、接種が広がりにくい背景についても触れています。
妊娠中のカフェイン摂取が、妊娠の経過や胎児の発育、生まれた後の子どもの健康にどう関わるかを、これまでの研究をまとめて整理したレビューです。最近のコホート研究やメタアナリシスでは、ほどほどの量であれば妊娠糖尿病や妊娠高血圧などとの明確な関連は見られない一方、摂取量が多い場合には早産や低出生体重との関連が一部の集団で報告されています。ただし、カフェインの量の測り方や研究の方法にばらつきがあり、影響の大きさや意味合いはまだはっきりしないとしています。
生まれてすぐの時期に赤ちゃんの腸内などへ集まってくる細菌(マイクロバイオーム)について、何がその構成を決めるのかを整理した総説です。出産の方法、母乳かミルクか、母親側の細菌、抗生物質の使用などが影響し、ビフィズス菌などの定着につながると説明しています。帝王切開やミルク中心、抗生物質の使用は細菌のバランスの乱れと結びつき、免疫の育ち方や、その後のアレルギー・代謝・発達の傾向と関連する可能性があると述べています。
葉酸が神経管閉鎖障害(二分脊椎や無脳症など、脳や脊髄のもとになる部分の異常)の予防にどう役立つかを、これまでの研究をまとめて整理した総説です。ランダム化比較試験では、妊娠前から初期にかけての葉酸の摂取で、この異常の発生が大きく減ったと報告されています。多くの国が主食への葉酸添加を進め、摂取量の増加とともに発生が減ったとされています。妊娠を計画する年齢の女性に1日400マイクログラムの葉酸が勧められています。
妊娠中のカフェイン摂取が胎児の発育にどう関わるかについて、これまでの臨床研究を整理したレビューです。カフェインは胎児の呼吸様運動や心拍を一時的に速める一方、摂取量によっては発育の遅れや低出生体重との関連が報告されています。妊娠期間の長さや妊娠高血圧との明確な関連は見られなかったとする一方、子宮の収縮を強めて流産につながる可能性も指摘されています。生まれつきの異常との関係はまだはっきりしていません。
早産で生まれた赤ちゃんに対する「発達に配慮したケア」(光や音の調整、痛みへの配慮、親の参加など、赤ちゃんの発達を支える新生児ケア)について、どんな方法があり、どんな効果があるかを幅広く整理したスコーピングレビューです。発達に配慮したケアは、早産児とその家族のアウトカムの改善につながると整理されました。
受精から2歳ごろまでの「最初の1000日」におけるDHA(オメガ3の一種で、脳や目の発達に重要)の役割をまとめた総説です。DHAはこの時期に欠かせない一方、実際の効果は、与える時期・量・もともとの栄養状態・早産かどうかなどによって変わると整理されています。DHA単独ではなく、別の脂肪酸(ARA)とのバランスが効果の鍵になりうると指摘されています。
妊娠中は禁酒が勧められますが、実際には少量〜中程度の飲酒がある妊娠も少なくありません。少量〜中程度の飲酒と子どもの発達との関係を調べた研究をまとめたところ、悪い影響を示すものもあれば、変化がない・むしろ良いとするものもあり、結果が一致していませんでした。研究の方法のちがいが、結果のばらつきの一因と考えられます。
ビスフェノールA(BPA)やフタル酸エステル類(プラスチックや製品に含まれることがある化学物質)への出生前後の曝露と、子どもの神経発達との関係について、最近の研究をまとめた総説です。明確な悪影響を示す証拠はまだ限られているものの、念のため(予防的に)、妊婦や幼い子どもをこれらの曝露から守ることが望ましいとされています。
子どもの「内在化の問題」(不安・抑うつなど)や「外在化の問題」(多動・かんしゃくなど)に関わる、生まれる前(妊娠中)のリスク因子について、これまでの研究を整理した総説です。お母さんの肥満、たばこ・アルコールなどの使用、環境中の有害物質への曝露、感染や炎症、心理社会的なストレスなどが、リスク因子として広く調べられてきたことが紹介されています。
妊娠中のお母さんの肥満が、子どもの神経発達や精神面の問題(発達障害や情緒の問題など)とどう関わるかを、これまでの研究からまとめた総説です。妊娠中の肥満は、子どもの神経発達・精神面のリスクの高まりと関連しうると整理され、その仕組みや、影響をやわらげる方法についても検討されています。