妊娠中の緑地(自然の多さ)と子どもの認知の働き:へその緒の血液中のIGF1を介した関係(ENVIRONAGE出生コホート)
Prenatal green space exposure and child's cognition: mediation by cord blood IGF1 in the ENVIRONAGE birth cohort.
どんな研究?
01 — Summaryベルギーの出生コホート(317組の母子)で、妊娠中に住まいの周りにどれくらい緑(とくに背の低い草など)があったかと、生まれた赤ちゃんのへその緒の血液中にあるIGF1という成長に関わるたんぱく質、そして4〜6歳時点での認知の働き(注意力や手の動きの速さなど)との関係を調べたものです。妊娠中の緑が多いほど赤ちゃんのIGF1が高い傾向があり、そのIGF1が高いことが、子どものときの注意力・反応の速さの良さと関連していました。緑の多さが、このIGF1を介して子どもの認知によい関連を持つ可能性が示されました。
要点
02 — Key points- 01ベルギーの317組の母子を対象にした出生コホート研究
- 02妊娠中の緑(とくに背の低い植物)が多いほど、赤ちゃんのIGF1が高い傾向
- 03IGF1が高いことは、子どもの注意力や反応の速さの良さと関連
- 04緑の多さがIGF1を介して認知によい影響を与える可能性を示した
観察研究のため、緑の多さが認知を直接よくすると断定はできず、関連にとどまります。対象人数は約317組と多くなく、緑の多さは住所の周りで推定したものです。IGF1を介する経路は一つの可能性であり、効果の大きさも小さめでした。日本の状況にそのまま当てはまるとは限りません。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- 出生コホート研究(媒介分析)
- エビデンス強度
- コホート研究
- 掲載誌
- Environment International
- 発表年
- 2025
- DOI
- 10.1016/j.envint.2025.109849
- 出典
- Europe PMC
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — Related妊娠前・妊娠中・幼児期の緑地(自然の多さ)と、子どもの発達のつまずきのリスク(全国規模のコホート研究)
アメリカの公的医療保険(メディケイド)に入っている約184万組の母子を対象に、住まいの周りの緑の多さと、子どもの発達のつまずき(自閉スペクトラム症、ADHD、学習や言葉の遅れ、知的の遅れなど)との関係を調べたものです。妊娠前・妊娠中・生まれた後のいずれの時期でも、緑が多い場所に住む子は、こうした発達のつまずきが見られにくい関連がありました。この傾向は、都市部に住む子どもや黒人・ヒスパニックの子どもでより強く見られました。
妊娠中の高用量ビタミンD3と、10歳時点の認知の成績(ランダム化比較試験の事後解析)
デンマークで行われたランダム化比較試験(くじ引きで2グループに分ける研究)のデータを使い、妊娠中に高用量のビタミンD3を摂ったグループと標準量のグループで、子どもが10歳になったときの認知(記憶や考える力)の成績を比べました。高用量のグループで、ことばの記憶や見た物の記憶などの成績がやや良いという関連が見られました(一部は調整後に弱まりました)。
妊娠中のお茶・コーヒーと、子どもの認知の発達
中国の出生コホート研究で、1423組の親子を対象に、妊娠中のお茶・コーヒーの飲み方と、3歳ごろの子どもの認知(考える力など)の発達との関係を調べました。妊娠中によくお茶を飲んでいたお母さんの子どもで、認知の発達の点数がやや高いという前向きな関連が見られました。コーヒーについては、はっきりとした悪い影響は見られませんでした。