妊娠中の甲状腺の検査・治療と、子どもの知能(大規模ランダム化比較試験)
Antenatal thyroid screening and childhood cognitive function
どんな研究?
01 — Summary妊娠中に母親の甲状腺ホルモンを調べ、異常があれば治療(甲状腺ホルモン薬)することが、子どもの知能(IQ)を高めるかを、約2万2千人を対象に調べた大規模なランダム化比較試験です。検査・治療を行ったグループと行わなかったグループで、3歳の子どものIQに差はありませんでした(99.2 対 100.0)。妊娠中の軽度の甲状腺の問題を見つけて治療しても、子どものIQは改善しないことを示しています。
要点
02 — Key points- 01約2万2千人を対象にした大規模ランダム化比較試験
- 02妊娠中の甲状腺の検査・治療をするグループとしないグループを比較
- 033歳児のIQに差はなかった(99.2 対 100.0)
- 04軽度の甲状腺の問題を治療しても子のIQは改善しなかった
これは「軽度の甲状腺の問題を見つけて治療すること」の効果を見た研究で、明らかな甲状腺機能低下症の治療の必要性を否定するものではありません。甲状腺の異常が疑われる場合は主治医の指示に従ってください。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- ランダム化比較試験
- エビデンス強度
- ランダム化比較試験
- 掲載誌
- New England Journal of Medicine
- 発表年
- 2012
- DOI
- 10.1056/nejmoa1106104
- 出典
- Europe PMC
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — Related妊娠中の軽度の甲状腺機能低下の治療と、子どもの発達(ランダム化比較試験)
妊娠中に軽度の甲状腺機能の低下(潜在性甲状腺機能低下症・低サイロキシン血症)が見つかった女性を、甲状腺ホルモン薬で治療するグループと偽薬のグループにランダムに分け、子どもの発達を5歳まで追った研究です。どちらのグループでも、子どものIQに差はありませんでした。妊娠中の軽度の甲状腺の問題を治療しても、子どもの発達は改善しないことを示しています。
妊娠中のお母さんのヨウ素の摂取と、子どもの神経発達(エコチル調査)
日本の「エコチル調査」のデータで、妊娠中のお母さんのヨウ素(海藻などに多く、甲状腺ホルモンに必要なミネラル)の摂取量と、子どもの神経発達との関係を調べました。ヨウ素の摂取が少ないお母さんの子どもでは、手先の細かい動きや問題解決などの発達が遅れるリスクがやや高い傾向が見られました。妊娠中の適切なヨウ素の摂取が、子どもの発達に関わる可能性があります。
妊娠中のたばこの煙への曝露と、子どもの知能指数(IQ)との関係(複数コホートの分析)
妊娠中のたばこの煙への曝露を、尿に含まれる成分(コチニン)で正確に測る基準をつくり、それと子どものIQとの関係を、複数の研究のデータで調べました。妊娠中のたばこの煙への曝露が、4〜6歳の子どものIQの低さと関連する可能性が示されました。自分が吸う場合だけでなく、まわりの煙(受動喫煙)も区別して検討しています。