母親と子どもの低栄養が、大人になってからの健康と能力に与える影響
Maternal and child undernutrition: consequences for adult health and human capital.
どんな研究?
01 — Summary低・中所得国の長期追跡コホート5件のデータをもとに、母親や乳幼児期の低栄養が、その後の育ちや大人になってからの健康とどう関わるかを整理した研究です。生まれたときや幼少期の栄養状態が良くないと、大人になってからの身長が低く、学校に通えた年数や収入が少なくなりやすいと報告されています。とくに2歳時点の身長が、その後の能力をよく予測する指標とされています。
要点
02 — Key points- 01母親・乳幼児期の低栄養は、大人の低身長・少ない就学年数・低い収入と関連
- 022歳時点の身長が、その後の能力をもっともよく予測する指標とされた
- 03早い時期に受けた影響は元に戻りにくく、次の世代にも及びうると考察
- 04対象は主に低・中所得国で、日本の現状とは前提が異なる
- 05出生体重や乳児期の栄養が将来の発達・健康に関わることを示す背景研究
中心となるのは観察研究で、関連が見られても因果関係とは言えません。対象が低・中所得国であり、栄養状態が大きく異なる日本の読者にそのまま当てはまるとは限りません。複数のコホートとレビューをまとめており、研究ごとの方法の違いによる偏りもありえます。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- 総説・複数コホートの解析
- エビデンス強度
- 総説・その他
- 掲載誌
- Lancet (London, England)
- 発表年
- 2008
- DOI
- 10.1016/s0140-6736(07)61692-4
- 出典
- Europe PMC
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — Related妊娠中の軽度の甲状腺機能低下の治療と、子どもの発達(ランダム化比較試験)
妊娠中に軽度の甲状腺機能の低下(潜在性甲状腺機能低下症・低サイロキシン血症)が見つかった女性を、甲状腺ホルモン薬で治療するグループと偽薬のグループにランダムに分け、子どもの発達を5歳まで追った研究です。どちらのグループでも、子どものIQに差はありませんでした。妊娠中の軽度の甲状腺の問題を治療しても、子どもの発達は改善しないことを示しています。
母親の病気と赤ちゃんの発達の関係における、早産の橋渡しの役割
中国の病院で母子2,000組を対象に、妊娠中の母親の病気(妊娠糖尿病や妊娠高血圧など)と、赤ちゃんの体格や発達との関係を調べた観察研究です。母親の病気が赤ちゃんの発達に影響する経路に「早産」が間に入って働いている可能性を、統計的な手法(媒介分析)で調べました。妊娠糖尿病は早産を介して赤ちゃんの体格(BMI)に、妊娠高血圧は早産を介して新生児の神経・行動の評価に関連していました。
妊娠中の母親の食物繊維の摂取と、子どもの発達(日本のエコチル調査)
妊娠中の母親の食物繊維の摂取量と、子どもの3歳での発達との関係を、日本のエコチル調査の約7万6千組で調べた研究です。食物繊維の摂取が最も少ないグループの母親の子どもは、最も多いグループに比べて、コミュニケーションや手先の動きなどの発達の遅れがみられるリスクが高めでした。野菜・果物・全粒穀物など食物繊維を含む食事の大切さを示しています。