妊娠中の百日咳ワクチンの有効性・免疫の付き方・安全性:メタアナリシス
Efficacy, Immunogenicity, and Safety of Pertussis Vaccine During Pregnancy: A Meta-Analysis.
どんな研究?
01 — Summary妊娠中に百日咳を含むワクチン(Tdap)を接種した場合に、生後まもない赤ちゃんが守られるかを、複数の研究をまとめて調べたものです。生後3か月未満の赤ちゃんで百日咳にかかりにくくなる傾向が示され、母から赤ちゃんへ移る抗体も多く見られました。重い有害事象については、母親・赤ちゃんともに接種との明確な関連は見られなかったと報告しています。
要点
02 — Key points- 017件のランダム化比較試験と10件の症例対照研究をまとめた解析。
- 02生後3か月未満の赤ちゃんで、百日咳に対する有効性は85%(95%信頼区間78〜89%)と推定された。
- 03ワクチンを受けた母親から生まれた赤ちゃんでは、百日咳に対する抗体(臍帯血)が高かった。
- 04母親・赤ちゃんともに、重い有害事象とワクチン接種との明確な関連は見られなかった。
- 05結果は妊娠中の百日咳ワクチン接種を支持する内容だが、地域や時期により事情は異なる。
赤ちゃんを守る効果の中心的な根拠は症例対照研究などの観察研究によるため、関連が示されても完全な因果の証明ではありません。研究が行われた国や時期はさまざまで、日本の状況にそのまま当てはまるとは限りません。接種の判断は必ず医師に相談してください。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- メタアナリシス(ランダム化比較試験と観察研究をまとめたもの)
- エビデンス強度
- メタアナリシス
- 掲載誌
- Vaccines
- 発表年
- 2025
- DOI
- 10.3390/vaccines13070666
- 出典
- Europe PMC
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — Related妊娠中のインフルエンザ・百日咳ワクチン接種後の新生児・乳児の死亡:データを連結したコホート研究
オーストラリアの3地域で、母親と赤ちゃんの記録を連結し、妊娠中のインフルエンザ・百日咳ワクチンと、生後1年以内の死亡との関係を調べた観察研究です。約28万人の赤ちゃんを分析したところ、ワクチンを接種した母親から生まれた赤ちゃんで死亡が多くなる証拠は見られませんでした。むしろ、とくに生後7日以内の死亡が少なくなる方向の関連が見られたと報告しています。
ハイリスクの妊婦と赤ちゃんを対象にしたRSウイルスワクチン(RSVPreF3-Mat)の安全性・免疫の付き方を調べたランダム化比較試験(第3相)
持病などのある(リスクの高い)妊婦を対象に、RSウイルスのワクチンとプラセボ(偽薬)を割り当てて比べたランダム化比較試験です。接種により母親に十分な中和抗体ができ、胎盤を通じて赤ちゃんへ移ることが確認されました。重い有害事象でワクチンが原因と判断されたものはなく、早産の割合はワクチン群とプラセボ群でほぼ同じでした。
受け継ぐ免疫の先に:母親のインフルエンザ未接種が関わった新生児3例
妊娠中にインフルエンザワクチンを受けていなかった母親から生まれた、生後2〜4週の新生児3人がインフルエンザにかかった例を報告したものです。3人とも発熱や呼吸の症状などで入院しましたが、早めの抗ウイルス薬などで全員回復しました。1例では百日咳との同時感染が見られ、症状が重くなりやすいことが示されています。著者は、生後まもない赤ちゃんは自分でワクチンを受けられないため、母親の妊娠中の接種で受け継ぐ抗体が大切だと述べています。