ハイリスクの妊婦と赤ちゃんを対象にしたRSウイルスワクチン(RSVPreF3-Mat)の安全性・免疫の付き方を調べたランダム化比較試験(第3相)
Randomized, placebo-controlled phase 3 trial evaluating safety, immunogenicity, and reactogenicity of RSVPreF3-Mat in high-risk pregnant women and their infants.
どんな研究?
01 — Summary持病などのある(リスクの高い)妊婦を対象に、RSウイルスのワクチンとプラセボ(偽薬)を割り当てて比べたランダム化比較試験です。接種により母親に十分な中和抗体ができ、胎盤を通じて赤ちゃんへ移ることが確認されました。重い有害事象でワクチンが原因と判断されたものはなく、早産の割合はワクチン群とプラセボ群でほぼ同じでした。
要点
02 — Key points- 01持病やHIV感染、思春期の妊娠などリスクの高い妊婦169人を対象にした第3相試験。
- 02接種後に母親のRSウイルス中和抗体が増え、出産時まで高く保たれ、赤ちゃんへ抗体が移った。
- 03早産はワクチン群18.2%・プラセボ群19.7%とほぼ同程度だった。
- 04ワクチンが原因と判断された重い有害事象は、母親・赤ちゃんともになかった。
- 05別の試験で早産リスクの増加が見られたため、本試験は途中で組み入れを止め盲検を解除している。
対象は169人と少なく、主に安全性と免疫の付き方を調べたもので、赤ちゃんの感染を実際にどれだけ防ぐか(発症予防の効果)を確かめる規模ではありません。リスクの高い妊婦に限った結果で、一般の妊婦にそのまま当てはまるとは限りません。別の試験で早産リスクの懸念が示された経緯があり、接種の判断は必ず医師に相談してください。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- ランダム化比較試験(第3相)
- エビデンス強度
- ランダム化比較試験
- 掲載誌
- Human Vaccines & Immunotherapeutics
- 発表年
- 2026
- DOI
- 10.1080/21645515.2026.2613565
- 出典
- Europe PMC
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — Related妊娠中のRSウイルスワクチン:赤ちゃんの下気道感染を防ぐための効果・しくみ・公衆衛生上の意義
RSウイルスは乳児の重い呼吸器感染の主な原因の一つで、これまでの研究を整理した総説です。妊娠中に母親がRSウイルスのワクチンを接種すると、母親の抗体が胎盤を通じて赤ちゃんに移り、生まれて間もない時期の重い下気道感染を防ぐ方向に働くと報告しています。臨床試験では生後90日までの医療を要する重いRSウイルス感染に対して高い有効性(例として最大81.8%)が示された一方、安全性は接種後も引き続き注意して見ていく必要があるとしています。
妊娠中の百日咳ワクチンの有効性・免疫の付き方・安全性:メタアナリシス
妊娠中に百日咳を含むワクチン(Tdap)を接種した場合に、生後まもない赤ちゃんが守られるかを、複数の研究をまとめて調べたものです。生後3か月未満の赤ちゃんで百日咳にかかりにくくなる傾向が示され、母から赤ちゃんへ移る抗体も多く見られました。重い有害事象については、母親・赤ちゃんともに接種との明確な関連は見られなかったと報告しています。
妊娠中のインフルエンザ・百日咳ワクチン接種後の新生児・乳児の死亡:データを連結したコホート研究
オーストラリアの3地域で、母親と赤ちゃんの記録を連結し、妊娠中のインフルエンザ・百日咳ワクチンと、生後1年以内の死亡との関係を調べた観察研究です。約28万人の赤ちゃんを分析したところ、ワクチンを接種した母親から生まれた赤ちゃんで死亡が多くなる証拠は見られませんでした。むしろ、とくに生後7日以内の死亡が少なくなる方向の関連が見られたと報告しています。