妊娠中のインフルエンザ・百日咳ワクチン接種後の新生児・乳児の死亡:データを連結したコホート研究
Neonatal and infant mortality after maternal influenza and pertussis vaccination: Probabilistically linked cohort study.
どんな研究?
01 — Summaryオーストラリアの3地域で、母親と赤ちゃんの記録を連結し、妊娠中のインフルエンザ・百日咳ワクチンと、生後1年以内の死亡との関係を調べた観察研究です。約28万人の赤ちゃんを分析したところ、ワクチンを接種した母親から生まれた赤ちゃんで死亡が多くなる証拠は見られませんでした。むしろ、とくに生後7日以内の死亡が少なくなる方向の関連が見られたと報告しています。
要点
02 — Key points- 01母親252,924人・赤ちゃん277,979人の記録を連結して分析した。
- 02インフルエンザ・百日咳ワクチンの接種は、赤ちゃんの死亡が増えることとは関連しなかった。
- 03むしろ単独接種・併用接種ともに乳児死亡の減少と関連し、主に生後0〜7日の死亡の減少によるものだった。
- 04生後8〜28日の死亡とワクチン接種の間には関連は見られなかった。
- 05結果は妊娠中のワクチン接種の安全性を支持する内容だが、観察研究である。
これは観察研究のため、ワクチンと死亡の少なさは関連であり、因果関係を証明したものではありません。接種を受ける母親と受けない母親では健康状態や生活背景が異なる可能性があり、その影響を完全には取り除けません。オーストラリアの特定の時期・地域のデータで、日本にそのまま当てはまるとは限りません。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- コホート研究(観察研究)
- エビデンス強度
- コホート研究
- 掲載誌
- Human Vaccines & Immunotherapeutics
- 発表年
- 2025
- DOI
- 10.1080/21645515.2025.2587307
- 出典
- Europe PMC
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — Related妊娠中の百日咳ワクチンの有効性・免疫の付き方・安全性:メタアナリシス
妊娠中に百日咳を含むワクチン(Tdap)を接種した場合に、生後まもない赤ちゃんが守られるかを、複数の研究をまとめて調べたものです。生後3か月未満の赤ちゃんで百日咳にかかりにくくなる傾向が示され、母から赤ちゃんへ移る抗体も多く見られました。重い有害事象については、母親・赤ちゃんともに接種との明確な関連は見られなかったと報告しています。
受け継ぐ免疫の先に:母親のインフルエンザ未接種が関わった新生児3例
妊娠中にインフルエンザワクチンを受けていなかった母親から生まれた、生後2〜4週の新生児3人がインフルエンザにかかった例を報告したものです。3人とも発熱や呼吸の症状などで入院しましたが、早めの抗ウイルス薬などで全員回復しました。1例では百日咳との同時感染が見られ、症状が重くなりやすいことが示されています。著者は、生後まもない赤ちゃんは自分でワクチンを受けられないため、母親の妊娠中の接種で受け継ぐ抗体が大切だと述べています。
妊娠中の予防接種:現在の根拠・進展・課題
妊娠中に母親がワクチンを受けることで、母親自身と生まれてくる赤ちゃんを感染症から守ろうとする考え方をまとめた総説です。母親の抗体が胎盤を通じて赤ちゃんに移る仕組みや、インフルエンザ・百日咳(Tdap)・RSVなどのワクチンの安全性と効果の概要を整理しています。あわせて、誤った情報やためらい、医療へのアクセスの差といった、接種が広がりにくい背景についても触れています。