微生物のはじまり:新生児マイクロバイオームを決める要因と、その乱れ
Microbial beginnings: determinants and disruptions of the neonatal microbiome.
どんな研究?
01 — Summary生まれてすぐの時期に赤ちゃんの腸内などへ集まってくる細菌(マイクロバイオーム)について、何がその構成を決めるのかを整理した総説です。出産の方法、母乳かミルクか、母親側の細菌、抗生物質の使用などが影響し、ビフィズス菌などの定着につながると説明しています。帝王切開やミルク中心、抗生物質の使用は細菌のバランスの乱れと結びつき、免疫の育ち方や、その後のアレルギー・代謝・発達の傾向と関連する可能性があると述べています。
要点
02 — Key points- 01新生児の腸内細菌は、出産方法・授乳の種類・母親の細菌・抗生物質などで構成が変わる。
- 02母親の腸・産道・皮膚・母乳から細菌が伝わり、ビフィズス菌などの定着を助けると考えられている。
- 03帝王切開やミルク中心、抗生物質の使用は、細菌バランスの乱れと関連すると報告されている。
- 04細菌の状態は免疫の成熟や、その後の炎症・代謝・発達の傾向と関連する可能性がある。
- 05ただし「将来の病気の目印に使える」とまでは確認されておらず、研究段階にとどまる。
これは複数の研究をまとめて解説した総説(ナラティブレビュー)で、新たに比較実験を行ったものではありません。紹介されている多くは観察研究や基礎研究であり、細菌の状態と発達・免疫の結びつきは関連であって、因果関係(細菌が原因で結果が決まる)が証明されたわけではありません。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- 総説(ナラティブレビュー)
- エビデンス強度
- 総説・その他
- 掲載誌
- Frontiers in microbiology
- 発表年
- 2025
- DOI
- 10.3389/fmicb.2025.1672780
- 出典
- Europe PMC
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — Related赤ちゃんの腸を形づくる:母親と乳児期の栄養が腸内細菌と長期の健康にどう関わるか(総説)
母親の食事や妊娠中・乳児期の栄養が、赤ちゃんの腸内細菌(マイクロバイオーム)の育ち方とその後の健康にどう関わるかを整理した総説です。母乳や食物繊維・発酵食品は望ましい細菌を支える一方、脂肪や糖の多い食事などは細菌バランスの乱れと結びつく可能性があると述べています。腸内細菌の構成や多様性は免疫・代謝・発達と関連し、人生の最初の数年は細菌が変わりやすい時期なので、栄養を通じた予防の機会になりうると説明しています。
乳幼児期の細菌の移り変わり:子どもの腸内細菌と健康・病気との関わり
乳幼児期の腸内細菌(マイクロバイオーム)が、免疫・代謝・発達の育ちにどう関わるかを整理した総説です。出産後の早い時期に細菌が急速に定着していき、その様子は出産方法・授乳の種類・抗生物質・環境などで変わると説明しています。母乳は免疫の調整につながる細菌の育ちを支える一方、ミルクや早期の抗生物質は細菌の発達を乱す可能性があるとし、細菌の育ち方の乱れがアレルギーや肥満、発達の問題などのリスクと関連すると述べています。
妊娠中・乳幼児期の腸内細菌に影響する薬と、子どもの食物アレルギーのリスク(システマティックレビュー・メタアナリシス)
妊娠中や乳幼児期の抗菌薬・胃酸を抑える薬・プロバイオティクスの使用と、子どもの食物アレルギーとの関連を調べた研究をまとめたメタアナリシスです。約166万人の母親と約516万人の子どものデータを統合した結果、妊娠中や生後2年までの抗菌薬使用は、食物アレルギーのリスクの高さと関連していました。プロバイオティクスの使用には、食物アレルギーを減らす関連はみられませんでした。