子どもの急性・遷延性の水様性下痢に対する亜鉛補充(システマティックレビューとメタアナリシス)
Zinc supplementation for acute and persistent watery diarrhoea in children: A systematic review and meta-analysis.
どんな研究?
01 — Summary10歳未満の子どもの下痢に亜鉛を補うことの効果を、ランダム化比較試験38件をまとめて検討した研究です。急性の下痢では、亜鉛を補った子の方が回復した割合がやや高く、下痢の続く時間も短くなる傾向がみられました(確実性は中程度)。長引く下痢でも回復が早まる可能性が示されました。一方で亜鉛を補うと吐き気・嘔吐が増えやすく、低めの用量の方が嘔吐は少ない結果でした。WHOの下痢治療の指針見直しのために行われた解析です。
要点
02 — Key points- 01ランダム化比較試験38件をまとめたメタアナリシス(10歳未満)
- 02急性の下痢では亜鉛補充で回復の割合がやや高く、続く時間が約13時間短縮(確実性:中)
- 03長引く下痢でも回復が早まる可能性(確実性:低)
- 04亜鉛で嘔吐が増えやすく、低用量の方が嘔吐は少ない
- 05WHOは下痢の子への亜鉛を引き続き推奨、ただし用量は低めにと提言
対象の多くは下痢や亜鉛不足の多い地域の子どもで、栄養状態の良い日本の子どもにそのまま当てはまるとは限りません。研究間のばらつき(異質性)が大きく、長引く下痢への効果の確実性は低めです。最適な用量・期間・副作用を確かめるには、さらなる比較試験が必要とされています。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- システマティックレビュー・メタアナリシス(ランダム化比較試験のまとめ)
- エビデンス強度
- メタアナリシス
- 掲載誌
- Journal of Global Health
- 発表年
- 2024
- DOI
- 10.7189/jogh.14.04212
- 出典
- Europe PMC
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — Related子どもの下痢を減らすための亜鉛の強化・補充(文献レビュー)
亜鉛の補充や食品への亜鉛強化が、子どもの下痢の予防・治療にどう役立つかを、2014〜2025年のシステマティックレビュー・メタアナリシス・ランダム化比較試験から整理した総説です。下痢のときに亜鉛を補うと、下痢の続く時間や重さがおおむね短く・軽くなる傾向が報告されています。長期に少量の亜鉛を続けると下痢や感染症の予防につながる可能性も示されました。低めの用量(5〜10mg)の方が嘔吐が少ないとされています。
亜鉛を強化した小麦粉が、パキスタン農村の子どもと思春期の女子の成長・病気に与える効果(クラスター・ランダム化比較試験)
パキスタンの農村で、亜鉛を多く含むように育てた小麦の粉を25週間食べてもらい、ふつうの小麦粉と比べた二重盲検の試験です。思春期の女子では身長や体重に差はみられませんでした。幼い子どもでは頭囲がわずかに大きくなりましたが、ほかの成長の指標には差がありませんでした。試験の終盤に呼吸器感染症がやや少ない時期もありましたが、下痢への効果は確認されませんでした。
乳児の急性呼吸器感染症と下痢を減らすための予防的な間欠的亜鉛補充(ランダム化比較試験)
インド東部の病院で、予防接種に来た乳児320人を、亜鉛を間欠的に補うグループと補わないグループに分けて比べた試験です。亜鉛のグループでは、1年あたりの呼吸器感染症と下痢の回数が少なく、身長・体重の伸びも大きい傾向がみられました。予防接種に合わせて亜鉛を加えるという、手軽な方法が乳児の感染症を減らす可能性が示されました。