吃音について今わかっていること、研究の課題、これから埋めるべき空白
Stuttering: Our Current Knowledge, Research Opportunities, and Ways to Address Critical Gaps.
どんな研究?
01 — Summary吃音(どもり)の研究者が集まった専門家会議の報告です。吃音は就学前の子どもの5%以上に見られますが、大人になっても続くのは約1%とされ、多くの子どもは育つ過程でおさまっていくことが整理されています。脳の仕組みや遺伝、発話の運動、心理・社会面への影響、支援のあり方など幅広い話題がまとめられ、今後どこを研究すべきかが話し合われました。年上の子どもや大人への支援では、どもりそのものを減らすことを目指すのか、どもっても自分らしく伝えられることを大切にするのか、という方針の議論も紹介されています。
要点
02 — Key points- 01吃音は就学前の子どもの5%以上に見られるが、大人になっても続くのは約1%程度とされる
- 02多くの子どもは成長とともに自然におさまっていく
- 03脳・遺伝・発話運動・心理社会面など、原因は一つではなく複雑だと考えられている
- 04支援では、どもりを減らすことだけでなく『どもっても自分らしく伝えられること』も重視する議論がある
- 05効果的な治療につながる基礎研究はまだ不足しており、今後の課題として挙げられている
これは専門家会議の内容をまとめた総説(レビュー)であり、新しい実験や治療の効果を検証した研究ではありません。書かれている割合や見解は参加者の知見の整理であり、確定した数値や結論として読むべきではありません。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- 総説(専門家会議の報告)
- エビデンス強度
- 総説・その他
- 掲載誌
- Neurobiology of language (Cambridge, Mass.)
- 発表年
- 2025
- DOI
- 10.1162/nol_a_00162
- 出典
- Europe PMC
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — Related学童期の吃音が子どもに与える影響を予測する要因
吃音のある9〜14歳の子ども306人を対象に、吃音がその子の生活にどれくらい大きな影響を与えるかが、何によって決まるのかを調べた研究です。どもりの目立つ程度(重さ)だけでなく、その子の気質や、不安・抑うつの程度との関係を分析しました。その結果、不安や抑うつの傾向が強い子や、外向的・活発さ(サージェンシー)が低い子、年齢が上の子ほど、また吃音が目立つ子ほど、吃音による影響が大きいと予測されました。気質や心の状態は、どもりの目立つ程度とは別に、影響の大きさに関係していました。
吃音のある就学前の子への、オンライン・グループでの間接的支援の効果
吃音のある就学前の子ども(3〜4歳)の保護者を対象に、オンラインのグループ形式で行う間接的な支援を試した小さな研究です。子どもに直接練習させるのではなく、保護者が吃音について学び、家庭での接し方や支え方を身につけることをねらいとしています。週1回のオンライン講座を6回、その後15週間の家庭での実践を行いました。参加した5家族では、保護者の知識や対応への自信が高まり、吃音が子どもや家族に与える負担がやわらぐ傾向や、吃音の程度が軽くなる傾向が見られました。変化の大きさは家庭ごとに差がありました。