コロナ禍に生まれた幼い子どもの育ち:家庭のストレスと社会的な支えが、その後の発達や問題行動にどう関わるか
Pandemic-related stressors and social resources differentially predict competence and problem behavior trajectories of young children born during the pandemic.
どんな研究?
01 — Summaryコロナ禍に生まれた407人の子どもを、生後15か月ごろから3回にわたって追いかけた研究です。家庭がコロナ禍で受けたストレスが強いほど、初期の問題行動が多く、社会性や感情の力(コンピテンス)の伸びがゆっくりになる傾向がみられました。一方で、妊娠中に母親が周囲から支えを得られていたことは、子どもを守る要因として働いていました。
要点
02 — Key points- 01コロナ禍に生まれた子どもを生後15か月ごろから追跡した観察研究
- 02家庭が受けたストレスが強いほど、初期の問題行動が多かった
- 03社会性・感情の力の伸びは、ストレスがあるとゆっくりになる傾向
- 04妊娠中に母親が支えを得られていたことが守りになっていた
- 05経済的・社会的に不利な家庭ほど影響が出やすかった
観察研究のため、家庭のストレスと子どもの発達の関連を示すにとどまり、原因と結果の関係を証明するものではありません。対象は米国の1つの集団で人数も限られ、行動は保護者の報告にもとづくため、結果をそのまま日本にあてはめるには注意が必要です。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- コホート研究(追跡観察)
- エビデンス強度
- コホート研究
- 掲載誌
- Child development
- 発表年
- 2026
- DOI
- 10.1093/chidev/aacaf041
- 出典
- Europe PMC
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — Related新型コロナの流行が、就学前の子どもの発達と心の健康に与えた影響(システマティックレビュー・メタアナリシス)
新型コロナウイルスの流行(2020〜2023年)が、0〜6歳の就学前の子どもの発達や心の健康にどう影響したかを、流行前後を比べた研究からまとめたものです。16か国・約22,000人のデータを統合したところ、発達や心の健康への影響は見られたものの、その大きさは全体として小さい範囲にとどまりました。
新型コロナに関連する発達のリスクをもつ赤ちゃんにみられる、母子の免疫の特徴
妊娠中に新型コロナに感染した母親から生まれた子どもの発達を追った研究です。妊娠中に感染した子ども(172人)では、感染していない子どもにくらべて発達の遅れがみられる割合が約10倍(11.6%対1.6%)、自閉スペクトラム症の疑いの割合も約2倍と報告されました。さらに一部の母子の血液を調べると、発達のリスクに関わるとされる免疫のはたらきの乱れが見つかったとしています。
そこなわれた出発点:コロナ禍のロックダウンが乳幼児の発達に与えた影響(総説)
0〜5歳の子どもを対象にした2020〜2025年の研究をまとめた総説です。コロナ禍のロックダウンによる生活の乱れ(保育や交流の減少、養育者のストレス増加)と関連して、感情や行動の難しさがやや増えたと報告されています。ことばや認知、実行機能への影響はばらつきが大きく、刺激や学びの機会が減った状況でとくに出やすいと示されました。影響は、もともと不利な状況にある家庭の子どもに偏って大きいと指摘しています。