生涯を通じた環境化学物質へのばく露と肥満:ヒト生体モニタリング研究のレビュー
Life-Time Environmental Chemical Exposure and Obesity: Review of Epidemiological Studies Using Human Biomonitoring Methods
どんな研究?
01 — SummaryビスフェノールA(BPA)、フタル酸エステル類、残留性有機汚染物質(POPs)などの環境化学物質への曝露と肥満の関連を、ヒトの血液・尿を用いた疫学研究106件でまとめたレビューです。BPA・DDE(農薬由来)・PFOA(フッ素系化合物)は肥満との正の関連が比較的一貫して示されていましたが、フタル酸類やその他のPOPsの結果は研究によって異なっていました。
要点
02 — Key points- 01BPA(ビスフェノールA)は様々な肥満指標と量反応的に正の関連が示された
- 02DDE(農薬の代謝物)とPFOA(フッ素系化合物)も肥満との正の関連が比較的一貫していた
- 03フタル酸類(一部の代謝物)は思春期・成人・高齢者で肥満促進的な役割を担う可能性があるが、証拠は不一致
観察研究のレビューのため、環境化学物質と肥満の因果関係は確立できません。研究ごとに測定した化合物・曝露時期・対象集団が異なり、直接比較は困難です。幼少期の曝露と後の肥満を結びつけた前向き研究は少なく、エビデンスは限定的です。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- システマティックレビュー(観察研究のまとめ)
- エビデンス強度
- メタアナリシス
- 掲載誌
- Frontiers in Endocrinology
- 発表年
- 2021
- DOI
- 10.3389/fendo.2021.778737
- 出典
- OpenAlex
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — RelatedPFAS(有機フッ素化合物)への曝露と、子どもの肥満(システマティックレビュー・メタアナリシス)
PFAS(水や食品を通じて取り込まれることがある「有機フッ素化合物」)への曝露と、子どもの肥満との関係を、24件の研究(うち19件はコホート)からまとめたメタアナリシスです。妊娠中の主な4種類のPFAS曝露と、子どものBMIや腹囲の変化との間に、統計的にはっきりした関連は見られませんでした。
妊娠中の33種類の内分泌かく乱物質への曝露と9歳時の思春期発達:スペインの研究
スペインの386組の母子を対象に、妊娠中の農薬(有機塩素系)・PFAS・フェノール・フタル酸など33種類の化学物質への曝露と9歳時点での性的成熟(タナー段階)の関係を調べました。一部の化学物質は、女児の乳房発育を早める・遅らせる方向両方に関連し、また男女でいくつかのフタル酸や農薬が陰毛発育や性ホルモンと関連していました。ただし、複合曝露の影響は全体的に不明確でした。
妊娠中・思春期前の有機塩素系化合物およびPFAS曝露と12歳時の思春期発達:PELAGIEコホート研究
フランスのPELAGIEコホートの502組の子ども(12歳時)を対象に、胎内および思春期前の有機塩素系化合物・PFAS曝露と思春期発達の関連を調べました。妊娠中の特定のPFAS(PFUdA)曝露が女児の乳房発達の遅れと関連し、思春期前の高HCB・PCB・PFAS曝露が女児の乳房発達遅延や初経の遅れと関連していました。男児では一部の化合物が思春期発達のタイミングと関連していました。