出生前カドミウム曝露と子どもの発達:日本の子どもの健康と環境に関する全国調査(JECS)
Association between prenatal cadmium exposure and child development: The Japan Environment and Children's study
どんな研究?
01 — Summary日本の大規模コホート研究(JECS)を用いて、妊娠中の母親の血中カドミウム濃度と生後6か月〜2歳の子どもの発達遅延との関係を調べました。生後6か月・1歳・1歳半時点では、カドミウム濃度が高いほど発達遅延との関連が見られましたが、2歳以降は関連が消えることが示されました。
要点
02 — Key points- 01妊娠中の血中カドミウム濃度と子どもの発達遅延は、生後6か月・1歳・1歳半で有意な関連があった
- 022歳以降はカドミウムと発達遅延の関連は見られなくなり、影響は時間とともに小さくなる可能性がある
- 03カドミウムは土壌・食べ物・水に含まれ、日常生活での曝露低減が重要と考えられる
観察研究のため因果関係は確認できません。発達評価は「Ages and Stages(ASQ)」の問診票で行われており、精密な神経発達検査ではありません。また、カドミウム以外の重金属との交絡も考えられます。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- 前向きコホート研究
- エビデンス強度
- コホート研究
- 掲載誌
- International Journal of Hygiene and Environmental Health
- 発表年
- 2022
- DOI
- 10.1016/j.ijheh.2022.113989
- 出典
- OpenAlex
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — Relatedプエルトリコにおける出生前の金属曝露(複数媒体バイオマーカー)と子どもの神経発達の関連
プエルトリコの母子284組を追跡した研究で、妊娠中に尿・血液から測定した10種類の金属(カドミウム・マンガン・鉛など)の複合曝露と、1.5〜5歳の子どもの行動・情動問題との関連を調べました。複数媒体を統合したバイオマーカーを使うと、単一媒体より曝露の推定精度が向上する可能性が示されました。特定の金属の組み合わせが行動問題と関連する傾向が見られましたが、詳細な機序はまだ明らかではありません。
出生前カドミウム曝露と小児の行動・情動問題:INMAコホートからの知見
スペインのINMAコホート(母子1270組)で、妊娠中の尿中カドミウム濃度と子どもの行動・情動問題を4〜11歳にかけて追跡しました。出生前のカドミウム曝露と一部の行動・情動症状との関連が認められましたが、一貫性のある明確な関連は示されず結果はばらつきました。カドミウムは食品(穀物・野菜など)や喫煙から摂取されることがあります。
妊娠前後の食事の質と妊婦の血中重金属濃度の関連:日本環境と子どもの研究(JECS)
8万人超の妊婦を対象にした研究で、食事の質が高い(バランスの良い食事)とカドミウム・鉛の血中濃度が低い傾向がありましたが、水銀(Hg)は逆に高い傾向がみられました。野菜中心の健康的な食事は鉛やカドミウム曝露の軽減につながる可能性がある一方、魚を多く食べると水銀曝露が増える点に注意が必要です。