妊娠中のピレスロイド系殺虫剤曝露と子どものぜんそく・呼吸アレルギー:VHEMBEコホート研究
Maternal exposure to pyrethroid insecticides during pregnancy and respiratory allergy symptoms among children participating in the Venda Health Examination of Mothers, Babies and their Environment (VHEMBE).
どんな研究?
01 — Summary南アフリカのマラリア流行地域での751組の母子を対象に、妊娠中のピレスロイド系殺虫剤曝露と幼児(3.5〜5歳)のぜんそく・呼吸アレルギー症状の関連を調べました。ピレスロイド代謝物の濃度が高い母親から生まれた子どもでは、医師に診断されたぜんそくのリスクが2倍以上、喘鳴のリスクが約1.7〜1.8倍高い傾向がありました。
要点
02 — Key points- 01妊娠中のピレスロイド代謝物(cis-DCCA, trans-DCCA, 3-PBA)が高いと子どものぜんそく診断リスクが2倍以上
- 02喘鳴(ゼーゼー音)のリスクも約1.7〜1.8倍高い傾向
- 03季節性アレルギー性鼻結膜炎とも関連が見られた
観察研究であり、因果関係を示すものではありません。マラリア流行・殺虫剤散布地域(南アフリカ)という特殊な状況で、日本を含む他の地域への一般化は限られます。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- 前向きコホート研究
- エビデンス強度
- コホート研究
- 掲載誌
- Environmental Research
- 発表年
- 2024
- DOI
- 10.1016/j.envres.2023.117604
- 出典
- Europe PMC
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — Related胎児期のフタル酸塩曝露と乳幼児期から思春期までのぜんそく・肺機能:欧州コホートネットワークの個人参加データメタアナリシス
欧州6つのコホート研究(約3,745組の母子)をまとめた解析によると、妊娠中の母親の尿中フタル酸塩(プラスチック製品などに含まれる化学物質)の濃度が高いほど、子どもの肺機能の指標(気道の適応変化)と関連していた可能性があります。ただし、喘鳴(ぜんぜい)やぜんそくの発症リスクとの関連は、複数の検定補正を行うと一貫した結果は得られませんでした。
妊娠糖尿病の母親から生まれた子どものアレルギー疾患
妊娠糖尿病(GDM)にさらされた胎児は、生後の免疫システムの発達が変化し、アレルギー疾患(ぜんそく・アトピー・食物アレルギーなど)を発症しやすくなる可能性があるというエビデンスを系統的に整理したレビューです。腸内細菌や免疫細胞の発達に対するGDMの影響がメカニズムとして考えられています。
乳幼児期の抗菌薬と腸内細菌の変化、子どものアレルギーの関連(システマティックレビュー)
妊娠中から10歳までの抗菌薬の使用と、腸内細菌の変化、子どものアレルギー(ぜんそく・アトピー性皮膚炎・アレルギー性鼻炎)との関連を調べた研究をまとめたシステマティックレビューです。150万人以上を含む15件の研究の多くで、妊娠中や生後2年までの抗菌薬使用が、特にぜんそくやアトピー性皮膚炎のリスクの高さと関連していました。抗菌薬の種類・時期・期間が腸内細菌の乱れや発症に関わる要因として挙げられています。