妊娠中の母親の心理的ストレスと子どものてんかん発症:日本環境と子どもの研究(JECS)
The impact of maternal prenatal psychological distress on the development of epilepsy in offspring: The Japan Environment and Children's Study.
どんな研究?
01 — SummaryJECSの97,484人のデータを用いて、妊娠中の母親の精神的なストレス(K6スコア)と子ども(1〜3歳)のてんかん診断の関連を調べました。妊娠前半・後半の両方でストレスが高かった(K6スコア5点以上)母親の子どもは、てんかんと診断される割合が高い傾向がありました。妊娠中の継続的なストレスが子どもの神経発達に影響する可能性が示唆されました。
要点
02 — Key points- 01妊娠前半・後半の両方でストレスが高い母親の子どもは、てんかん診断割合が高い傾向
- 0297,484人の大規模コホート(JECS)を使用した解析
- 03妊娠中の継続的なストレスが子どもの神経発達に影響する可能性
観察研究であり、関連であって因果関係を示すものではありません。てんかん診断の割合が低く(0.1〜0.2%)、絶対リスクは小さいです。母親のストレスの原因と子どものてんかんには、共通する遺伝的背景が影響している可能性(交絡)があります。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- 前向きコホート研究
- エビデンス強度
- コホート研究
- 掲載誌
- PLOS ONE
- 発表年
- 2024
- DOI
- 10.1371/journal.pone.0311666
- 出典
- Europe PMC
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — Related妊娠中の母親の心のストレスと、生後3年間の子どもの発達(システマティックレビュー)
妊娠中の母親が感じるストレスや不安・抑うつ(心のつらさ)が、生後3歳までの子どもの発達と関係するかを、44件の研究をまとめて整理した研究です。母親のストレスが強いほど、子どもの言葉や考える力の点数がわずかに低めだったり、行動や感情の困りごとが多めだったりする弱い関連がみられました。ただし他の要因を調整すると関連は弱まることが多く、研究著者は「原因と証明されたものではなく、状況に左右される関連」と慎重に結論づけています。
母体糖尿病への胎内曝露と子どものてんかん発症リスク:スウェーデン全国コホート研究
スウェーデンで1998〜2021年に生まれた230万人以上の子どもを追跡し、母親の糖尿病(1型・2型・妊娠糖尿病)が子どものてんかん発症リスクと関係するかを調べました。母体1型糖尿病・2型糖尿病への胎内曝露は、子どものてんかん発症リスクの上昇と関連していました。妊娠糖尿病との関連は1型・2型より小さかったです。早産・出生時仮死などが部分的にこの関連を媒介していました。
出生前カドミウム曝露と子どもの発達:日本の子どもの健康と環境に関する全国調査(JECS)
日本の大規模コホート研究(JECS)を用いて、妊娠中の母親の血中カドミウム濃度と生後6か月〜2歳の子どもの発達遅延との関係を調べました。生後6か月・1歳・1歳半時点では、カドミウム濃度が高いほど発達遅延との関連が見られましたが、2歳以降は関連が消えることが示されました。