腸内細菌叢がワクチン応答に与える影響:系統的レビュー
Systematic review of the impact of intestinal microbiota on vaccine responses.
どんな研究?
01 — Summary腸内細菌叢(腸内フローラ)の構成がワクチンへの免疫応答に影響する可能性を調べた30件の研究(うち乳幼児対象14件)をまとめました。ビフィズス菌などの善玉菌が多いとワクチンの効果が高まりやすく、一部の悪玉菌が多いと逆の傾向がある可能性があります。ただし研究の方法や対象が大きく異なるため、現時点ではまだ確定的な結論は出ていません。
要点
02 — Key points- 01ビフィズス菌(Bifidobacterium)などActinomycetota門の菌が多いとワクチン応答が良好な傾向がある
- 02Pseudomonadota門(特にGammaproteobacteria)が多いと応答が低下する傾向がみられた
- 03乳幼児を対象にした14件の研究でも同様のパターンが観察されたが、研究の異質性が高く確定的ではない
研究間でワクチンの種類・評価方法・便の解析法が大きく異なり、統合解析は困難です。因果関係はまだ示されていません。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- 系統的レビュー
- エビデンス強度
- メタアナリシス
- 掲載誌
- npj Vaccines
- 発表年
- 2024
- DOI
- 10.1038/s41541-024-01000-0
- 出典
- Europe PMC
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — Related母乳育児は、腸内細菌を通じて家庭環境による健康差をやわらげるかもしれない
カナダの出生コホート(約2,752組)とデンマークのコホートで、家庭の経済状況・母乳育児・赤ちゃんの腸内細菌と子どもの健康との関係を調べた観察研究です。母乳育児を受けた赤ちゃんは腸内細菌が安定しやすく、とくにビフィズス菌の一種が育ち、経済的に不利な家庭でも健康面の不利がやわらぐことと関連していました。
微生物のはじまり:新生児マイクロバイオームを決める要因と、その乱れ
生まれてすぐの時期に赤ちゃんの腸内などへ集まってくる細菌(マイクロバイオーム)について、何がその構成を決めるのかを整理した総説です。出産の方法、母乳かミルクか、母親側の細菌、抗生物質の使用などが影響し、ビフィズス菌などの定着につながると説明しています。帝王切開やミルク中心、抗生物質の使用は細菌のバランスの乱れと結びつき、免疫の育ち方や、その後のアレルギー・代謝・発達の傾向と関連する可能性があると述べています。
妊娠中の体重増加は赤ちゃんの腸内細菌に影響する?(観察研究15件のまとめ)
妊娠中の体重増加と赤ちゃんの腸内細菌の関係を調べた観察研究15件をまとめたシステマティックレビューです。母親の体重が増えすぎた場合、赤ちゃんの腸内細菌の多様性が下がりやすく、その影響が生後1歳ごろまで続く傾向がみられました。良い菌が減り、好ましくない菌が増える方向の変化も報告され、妊娠糖尿病が重なるとより目立つとされています。