妊娠中の母親の心理的苦痛と新生児の低アプガースコアの関連:日本の大規模コホート研究
Association between maternal distress during pregnancy and lower 5-min-Apgar score of the offspring: the Japan Environment and Children's Study.
どんな研究?
01 — Summary妊娠後期(中後期)に中等度〜重度の心理的苦痛を経験した母親の赤ちゃんは、出生5分後のアプガースコアが低くなるリスクがやや高い傾向が、日本の約8万8千組の母子データから示されました。この関連は特に早産・低出生体重の赤ちゃんで観察されました。ただし関連の強さは小さく、因果関係の断定はできません。
要点
02 — Key points- 01妊娠中後期の中等度苦痛で低アプガースコアのリスクがOR 1.22、重度苦痛でOR 1.42
- 02早産・低出生体重の赤ちゃんでのみ関連がみられた
- 03正期産・正常体重の赤ちゃんでは有意な関連は見られなかった
観察研究であり因果関係は不明。心理的苦痛の評価は自己申告(K6スケール)に依存。交絡因子が残る可能性がある。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- コホート研究
- エビデンス強度
- コホート研究
- 掲載誌
- Environmental Health and Preventive Medicine
- 発表年
- 2025
- DOI
- 10.1265/ehpm.24-00305
- 出典
- Europe PMC
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — Related妊娠中の大気汚染・猛暑への曝露と子どものアウトカムの関連を緩和する公衆衛生介入:システマティックレビュー
妊娠中の大気汚染や猛暑への曝露は早産・低出生体重・神経発達への悪影響と関連することが知られていますが、緑地環境・栄養・母乳育児などの介入でその影響を和らげられるかを調べたシステマティックレビューです。21件の研究を分析した結果、緑地(公園・自然)への居住は早産リスクをわずかに下げる可能性を示す一定の根拠がありましたが、他の介入(栄養・母乳育児など)はそれぞれ単一研究のみで証拠は予備的なものに留まりました。
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妊娠中の喫煙・たばこへの曝露が、低出生体重・早産・子どもの認知・行動発達に悪影響を与えることが、複数の観察研究をまとめたシステマティックレビューで示されました。喫煙は重大な予防可能なリスク要因であり、妊娠前からの禁煙が推奨されています。ただし観察研究のまとめであり、因果関係の解釈には限界があります。
複数の高リスク因子を持つ妊娠:システマティックレビュー・メタアナリシス
83件の観察研究をまとめた総合解析で、妊娠中に複数の高リスク因子(身体的疾患・精神的問題・社会行動的問題・妊娠歴など)が重なる「多重高リスク妊娠(MHFP)」の有病率は全体で約12%で、増加傾向にあることが示されました。特に低・中所得国でその負担が大きく、MHFPを持つ妊婦では母親と子どもの双方に悪影響(早産・低出生体重など)が多い可能性があります。