親から子へ受け継がれる感情のコントロールの難しさ:妊娠中の親の心の柔軟さと、幼児期の落ち着いた応答的な関わりの役割
Understanding the Intergenerational Transmission of Emotion Dysregulation: The Role of Maternal and Paternal Psychological Inflexibility During Pregnancy and Mindful Parenting At Toddler-age.
どんな研究?
01 — Summary157組の親子を妊娠期から追いかけた研究です。妊娠中に母親が気持ちを切り替えにくい(心が硬くなりやすい)傾向があると、赤ちゃんが不機嫌になりやすく、それが幼児期の情緒や対人面の難しさにつながる流れがみられました。一方、父親が子どもの様子に気づいて落ち着いて応える関わり(マインドフルな子育て)をしていると、その流れが弱まる傾向がありました。
要点
02 — Key points- 01妊娠期から幼児期まで157組の親子を追跡した縦断研究。
- 02妊娠中の母親の気持ちの切り替えにくさが、赤ちゃんの不機嫌さを通じて幼児の情緒・対人面の難しさと関連していた。
- 03父親の落ち着いた応答的な関わりが、その関連をやわらげる方向にはたらいていた。
- 04親の心の柔軟さを支える関わりや、応答的な子育てを後押しする支援の可能性を示している。
観察(縦断)研究のため、関連がみられても因果関係を示すものではありません。参加者の多くが特定の人種・文化圏(米国の非ヒスパニック系白人が中心)で、規模も157組と小さいため、ほかの集団にそのまま当てはまるとは限りません。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- 縦断研究(前向き観察)
- エビデンス強度
- コホート研究
- 掲載誌
- Research on child and adolescent psychopathology
- 発表年
- 2025
- DOI
- 10.1007/s10802-025-01327-9
- 出典
- Europe PMC
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — Related母親の「今ここに寄り添う子育て」と、その後の幼児の情緒・認知の発達との関連
アメリカの低所得で多様な背景をもつ母親316人とその子どもを追跡し、子どもの今の様子に落ち着いて気づき寄り添う子育て(マインドフルな子育て)と、子どもの発達との関係を調べました。生後18か月のときにこうした関わりが多い母親では、その場で観察した応答的な関わりも多く、6か月後の子どもの情緒・行動・言葉の発達も良い方向と関連していました。母親の気分の落ち込みの影響を差し引いても、この関連は見られました。
親の応答的な関わり(敏感さ)と子どもの発達の関係を、過去のレビューをまとめて検証(アンブレラレビュー)
親が子どものサインに気づき、正しく読み取って、すばやくほどよく応えること(敏感な関わり)と、子どもの発達との関係を調べた研究です。過去に行われた17件のメタアナリシス(多くの研究をまとめた解析)をさらにまとめ直しました。その結果、親の敏感な関わりは、子どもの認知や言葉の力、愛着の安定とゆるやかに関連し、情緒や行動の問題とは弱く関連していました。研究者らは、応答的な関わりが幼児期の発達を支える大切な要素になりうると述べています。
家庭での学びの機会と応答的な関わりは、就学前の子どもの発達と関係するか(低・中所得国でのシステマティックレビュー)
東アジア・太平洋地域の低・中所得国を対象に、家庭での学びの機会(絵本やおもちゃ、語りかけなど)や、子どもに寄り添う応答的な関わりと、2〜5歳の子どもの発達との関係を調べた研究をまとめました。19件の研究のうち18件で、家庭での学びや関わりが豊かなほど、子どもの発達が良いという関連が報告されていました。ただし測り方が研究ごとにばらばらで、結果は慎重に読む必要があると著者らは述べています。