妊娠中のアセトアミノフェン(パラセタモール)使用と4〜16歳の脳発達との関連:縦断的MRI研究
Associations between prenatal paracetamol exposure and brain development from ages 4–16: A longitudinal MRI study
どんな研究?
01 — Summary妊娠中に解熱鎮痛剤のアセトアミノフェン(パラセタモール)を使用した場合、子どもの4〜16歳の脳の構造的な発達や認知能力にどう影響するかを、905回のMRIスキャンをもとに調べた初の縦断研究です。妊娠中のアセトアミノフェン使用と、子どもの脳の構造発達・認知能力の間に関連が見られましたが、その意味の解釈には慎重さが必要です。
要点
02 — Key points- 01妊娠中のアセトアミノフェン使用と子どもの4〜16歳の脳構造発達・認知能力との関連を初めて縦断的MRIで調べた
- 02447人の子どもから905回のMRIスキャンを収集し、ノルウェーの大規模コホート(MoBa)を利用
- 03母体の使用量・使用時期との関係を詳細に検討
アセトアミノフェン使用は母親の自己申告であり、服用量・期間の把握に限界がある。アセトアミノフェン使用の理由(発熱・痛みなど)が結果に交絡している可能性がある。観察研究であり因果関係は示せない。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- 前向きコホート研究(縦断的MRI)
- エビデンス強度
- コホート研究
- 掲載誌
- Developmental Cognitive Neuroscience
- 発表年
- 2025
- DOI
- 10.1016/j.dcn.2025.101667
- 出典
- OpenAlex
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — Related妊娠中のパラセタモール(解熱鎮痛剤)使用と7歳時の子どものIQの関連:前向きコホート研究
デンマークのコホート研究(約2400人)で、妊娠中にパラセタモール(アセトアミノフェン)を使った母親の子どもは、7歳時のIQが統計的に有意ではないものの約1.3ポイント低い傾向がありました。尿中濃度が高く直近48時間以内に使用した群では約1.6ポイントの差が見られましたが、いずれも有意差には達しませんでした。パラセタモールは最も広く使われる妊娠中の薬ですが、現時点では注意深い経過観察が必要な段階です。
妊娠中のアセトアミノフェン(解熱鎮痛剤):神経発達以外のリスクも含めた広範な安全性評価の必要性
妊娠中のアセトアミノフェン(市販の解熱鎮痛剤に多く含まれる成分)は、神経発達への影響だけでなく、早産・低出生体重・ぜんそく・子どもの肥満など、さまざまな周産期・小児期の健康指標との関連が報告されています。ただし、これらの因果関係はまだ確認されていません。世界保健機関(WHO)など主要な医療機関は、「必要と判断されるときに推奨用量で最短期間使用する」という原則を現時点でも支持しています。
妊娠中の喘息治療薬曝露と神経発達障害・学習困難のリスク:システマティックレビューとメタアナリシス
約387万人を含む8つの研究のメタアナリシスで、妊娠中にβ2刺激薬(β2アドレナリン受容体作動薬、喘息の吸入薬)を使用すると、子どもの自閉スペクトラム症(ASD)リスクが約1.3倍高まる可能性が示されました。ただし残余交絡(母親の喘息自体の影響)が十分に除外できていない点など、重要な限界があります。