妊娠中の生物・心理・社会的要因と自閉スペクトラム症との関連:スコーピングレビュー
Biopsychosocial factors during pregnancy and their implications for autism spectrum disorder: a scoping review
どんな研究?
01 — Summary妊娠中のどのような要因が自閉スペクトラム症(ASD)のリスクに関係するかを、24件の研究を対象にまとめました。母親の栄養状態、在胎週数、出生体重などの生物学的要因が主に関連していたほか、妊娠高血圧症候群・糖尿病・産後うつ・喫煙・母親の教育歴なども影響する可能性が示されました。ASDの原因は多因子で複雑であることが確認されています。
要点
02 — Key points- 01母親の栄養状態、在胎週数、出生体重がASDと最も関連した生物学的要因だった
- 02妊娠高血圧症候群・糖尿病・産後うつ・喫煙もASDリスクに関係する可能性がある
- 03ASDは単一の原因ではなく、複数の生物・心理・社会的要因が重なって発症する多因子疾患と考えられる
スコーピングレビューであり、研究の質や効果量の定量的合成は行っていない。含まれた研究はデザインや対象集団が多様で、因果関係を示すことはできない。ASDの診断基準も研究によって異なる場合がある。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- スコーピングレビュー
- エビデンス強度
- 総説・その他
- 掲載誌
- BMC Pediatrics
- 発表年
- 2026
- DOI
- 10.1186/s12887-026-06794-7
- 出典
- OpenAlex
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — Related妊娠糖尿病と子どもの自閉スペクトラム症リスク:人口ベースの後ろ向きコホート研究
妊娠糖尿病(GDM)の有無と重症度によって、子どもの自閉スペクトラム症(ASD)の発症率に違いがあるかを調べました。11万5000件以上の分娩データを解析したところ、交絡因子を調整しない単変量解析ではGDMの重症度が高いほどASD発症率も高い傾向が見られましたが、交絡因子を補正した多変量モデルでは統計的に有意な関連は認められませんでした。この研究は、妊娠糖尿病そのものが子どものASDの直接の原因とは言い切れない可能性を示しています。
自閉スペクトラム症のリスク因子を特定する:臨床家向け実践ガイド
自閉スペクトラム症(ASD)に関連する出生前・周産期・出生後のリスク因子を系統的にまとめたレビューです。遺伝的要因に加え、母体の健康状態や周産期の合併症、早期の環境曝露が複合的に関与すると整理されています。現在の高品質な証拠(大規模メタアナリシスを含む)は、ワクチン接種がASDの原因とはならないことを一貫して示しています。
妊娠中の喘息治療薬曝露と神経発達障害・学習困難のリスク:システマティックレビューとメタアナリシス
約387万人を含む8つの研究のメタアナリシスで、妊娠中にβ2刺激薬(β2アドレナリン受容体作動薬、喘息の吸入薬)を使用すると、子どもの自閉スペクトラム症(ASD)リスクが約1.3倍高まる可能性が示されました。ただし残余交絡(母親の喘息自体の影響)が十分に除外できていない点など、重要な限界があります。