母親の職業歴と子どもの自閉スペクトラム症診断との関連:デンマークの研究
Associations between maternal occupational history and autism spectrum disorder diagnosis in offspring in Denmark
どんな研究?
01 — Summaryデンマークで1,702人のASD診断を受けた子どもと11万人以上の対照群を比較した大規模研究です。母親が地上輸送業・行政・軍事・国防関連の職種に就いていた場合、子どものASD診断リスクがやや高い傾向が見られました。これらの職種では毒性物質や強いストレスへの暴露が多い可能性が指摘されています。
要点
02 — Key points- 01軍事・国防職従事の母親は子どものASDリスクが約1.6倍(地上輸送業では約1.2倍)高かった
- 02妊娠前・妊娠中・乳児期いずれの時期の職業暴露でも同様の傾向が見られた
- 03男児でより顕著な関連が見られた
観察研究であり、職業暴露の種類(化学物質・ストレスなど)を直接測定していないため、因果関係は不明です。職業情報は年金記録から取得しており、実際の暴露内容の詳細は不明です。ASD診断は時代とともに変化しており、診断バイアスの可能性もあります。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- 症例対照研究
- エビデンス強度
- 観察研究
- 掲載誌
- Occupational and Environmental Medicine
- 発表年
- 2026
- DOI
- 10.1136/oemed-2026-110912
- 出典
- OpenAlex
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — Related妊娠中の世帯収入・母親のアロスタティック負荷と子どもの自閉スペクトラム症:エコチル調査
日本のエコチル調査(59,998組の母子ペア)を用いた研究で、妊娠中の世帯収入が低いほど子どもの自閉スペクトラム症(ASD)診断リスクが高くなる傾向がありました。低収入の母親の子どもはASDリスクが58%高く、中程度収入でも37%高い傾向でした。ただし、慢性ストレスの指標(アロスタティック負荷)はこの関係を介在しませんでした。
自閉スペクトラム症の診断と関連する妊娠・出生前後の要因:出生コホート研究
自閉スペクトラム症(autism)の診断と関連する妊娠・出生前後の要因をコホート研究で網羅的に調べた研究です。母親の妊娠前の体格(BMI)・精神疾患・SSRI使用、受動喫煙・ビニール床ばく露、低社会経済状態がリスク増加と関連した一方、妊娠中の葉酸・マグネシウム・鉄の摂取量が多いほど、また適切な食事ガイドラインに沿った食事がリスク低下と関連しました。
妊娠糖尿病と子どもの自閉スペクトラム症リスク:人口ベースの後ろ向きコホート研究
妊娠糖尿病(GDM)の有無と重症度によって、子どもの自閉スペクトラム症(ASD)の発症率に違いがあるかを調べました。11万5000件以上の分娩データを解析したところ、交絡因子を調整しない単変量解析ではGDMの重症度が高いほどASD発症率も高い傾向が見られましたが、交絡因子を補正した多変量モデルでは統計的に有意な関連は認められませんでした。この研究は、妊娠糖尿病そのものが子どものASDの直接の原因とは言い切れない可能性を示しています。