兄・姉がいることは言語発達に影響するか:日本での研究
The effect of older siblings on language development in Japan
どんな研究?
01 — Summary浜松母と子の出生コホート(HBC)の4〜5歳の子ども755人のデータを使い、上の兄弟・姉妹がいることが言語発達(言語IQ)に影響するかを調べた研究です。先行研究(フランス・シンガポール)と同様に、日本でも兄や姉がいる第二子以降の子どもは、きょうだいのいない第一子と比べて言語IQが低い傾向がありました。親の言語かけかけよりも、きょうだい間の相互作用が影響している可能性が示唆されています。
要点
02 — Key points- 01755人の4〜5歳児のデータで、兄・姉がいる子どもは言語IQ(WPPSI)が第一子より低い傾向があった
- 02この「きょうだい効果」は日本でも確認され、フランス・シンガポールの先行研究と一致した
- 03親の言語かけかけの影響よりも、きょうだい間の相互作用が言語発達に影響する可能性がある
観察研究のため、兄弟・姉妹の有無と言語発達の関連は確認されたが因果関係ではない。言語IQで測定しており、すべての言語能力を反映するものではない。また家庭環境・育て方・年齢差など交絡要因を完全に排除することは難しい。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- コホート研究
- エビデンス強度
- コホート研究
- 掲載誌
- Japanese Journal of Psychology
- 発表年
- 2025
- DOI
- 10.4992/jjpsy.96.24301
- 出典
- OpenAlex
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — Relatedコロナ前・禍中・禍後における子どもの言語・社会情緒発達:オランダYOUthコホートより
生後5か月〜4歳の子ども2,166人を対象に、コロナ前(2015〜2020年)・禍中(2020〜2022年)・禍後(2022〜2023年)に分けて言語・社会情緒発達を比べた大規模コホート研究(オランダ)です。禍中の子どもは語彙や社会情緒の発達スコアが低い傾向がみられましたが、禍後には一部の指標で回復がみられました。コロナ禍の社会的制限が幼児期の発達に影響を及ぼした可能性を示しています。
兄や姉の存在・産後の母親のストレス・家庭環境が2〜4歳の言語発達に与える影響
シンガポールの出生コホート(677〜855組の親子)を対象に、兄や姉の存在、母親のストレス、家族構成などが2〜4歳の言語発達にどう影響するかを調べました。兄や姉がいる子どもは言語発達がやや低い傾向がみられましたが、この効果は年齢差によって変わりました。一方、住居の広さや世帯人数との関連は確認されませんでした。
幼児のスクリーンタイム中における親のコミュニケーション戦略:共同メディア視聴のスコーピングレビュー
幼児がスクリーン(テレビ・タブレットなど)を見ている際に親が一緒に関わる「共同メディア視聴(JME)」について、26の研究を系統的にまとめました。親が社会的学習の考え方に基づいて子どもと対話しながら視聴する戦略が最も多く報告されており、子どもの言語・認知・社会情動的発達の改善と関連していました。ただし、研究の数やデザインにばらつきがあり、どの戦略が最も効果的かを確定するにはさらなる研究が必要です。