幼児期の社会的スキルの発達軌跡と育て方の関連:日本の全国調査から
Developmental Trajectories of Social Skills during Early Childhood and Links to Parenting Practices in a Japanese Sample
どんな研究?
01 — Summary日本の全国調査データから1,000人以上の子どもを2〜5歳まで追跡し、社会的スキル(協調性・自制心・主張性)の発達パターンと2歳時の育て方の関連を調べた研究です。各スキルに「低・中・高」の3つの発達パターンがみられ、親の関わり方(認知・情緒的関与、制限の回避、社会的刺激)がそれぞれのスキルの発達と結びついていました。親の質の高い関わりが幼児期の社会性を支える可能性が示されています。
要点
02 — Key points- 01認知・情緒的な関わりが協調性と主張性の高い発達と関連した
- 02社会的刺激を与える育て方は自制心の発達と関連した
- 03育てへの社会的サポートが豊富でも、それ単独では社会的スキルの向上と関連しなかった
観察研究であり、育て方と社会的スキルの関連は相関であって因果ではありません。育て方の評価は親の報告に基づいており、客観性に限界があります。特定の社会的スキルの測定ツールの信頼性にも制約があります。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- 縦断的コホート研究
- エビデンス強度
- コホート研究
- 掲載誌
- PLoS ONE
- 発表年
- 2015
- DOI
- 10.1371/journal.pone.0135357
- 出典
- Europe PMC
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — Related幼児期の父親の育児参加が子どもの行動問題に与える影響——日本のコホート研究
日本のコホートデータを使い、幼児期(乳幼児期)に父親が育児に多く関わることが、その後の子どもの行動問題と関係するかを調べました。父親の育児参加が多いほど、子どものその後の行動問題(情緒的問題や行動的問題)が少ない傾向がみられました。特にお母さんが働いている家庭での父親の関わりの効果がみられました。
時間をかけた親の関わり方と子ども・青年の脳構造への影響
2つのコホート(計1,600人以上)を用いた縦断研究で、幼少期の親の関わり方(積極的な関与・肯定的育児)と子どもの脳構造の関連を調べました。幼少期の肯定的な育児は子どもの扁桃体の大きさと関連していましたが、成人期では逆の方向性が見られました。体罰(コーポラル・パニッシュメント)は子どもの前頭前野の厚みの低下と関連しており、育て方が脳の発達に影響する可能性が示されています。
ひとり親(母子)家庭の子どもにおいて、身体活動がレジリエンスを高める可能性:A-CHILD研究
東京・足立区の小学生3,076人を対象にした縦断研究(A-CHILD研究)で、ひとり親(母子)家庭の子どもの身体活動量とレジリエンス(逆境に対処する力)の関係を調べました。ひとり親家庭の子どもは身体活動量が少なく、6年生時点でのレジリエンス得点も低い傾向がありました。特に男児では、身体活動量の低さがレジリエンスの低さを約84%媒介していました。運動の機会を増やすことが、不利な環境下の子どものレジリエンス向上に役立つ可能性があります。