日本における3歳児の吃音の疫学的多地域研究
Multiple-Community-Based Epidemiological Study of Stuttering among 3-Year-Old Children in Japan
どんな研究?
01 — Summary日本の複数地域で3歳児の健康診査を受けた2,055人を対象に、吃音(どもり)の有病率と関連要因を調べました。健診時点で吃音が見られた子どもは約6.5%、過去に吃音があった子どもを含めると約8.9%に上り、これは近年の他国の研究と同程度の割合でした。吃音のリスクが高くなる要因として、家族歴(3.27倍)、発達への心配(1.75倍)、疾患・障害の診断歴(2.13倍)が挙げられました。
要点
02 — Key points- 013歳時の吃音有病率は約6.5%、これまでの(または現在の)吃音経験を含めると約8.9%
- 02家族に吃音の人がいる子どもは吃音リスクが約3倍高い傾向があった
- 03保護者が発達への心配を持つ子どもでも吃音リスクが高かった
横断的な質問票調査であり、因果関係は示せない。吃音の判定に複数の方法を使っており、均一性に限界がある。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- 横断的疫学研究
- エビデンス強度
- 観察研究
- 掲載誌
- Folia Phoniatrica et Logopaedica
- 発表年
- 2024
- DOI
- 10.1159/000539172
- 出典
- OpenAlex
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — RelatedCOVID-19パンデミックが3歳児の発達と養育環境に与えた影響:神戸市の7年間の繰り返し横断研究
神戸市で2014〜2021年の約6万2000人の3歳児データを比較した研究で、コロナ禍(2020年4月以降)に生まれた子どもは、パンデミック前の子どもに比べて言語理解の遅れや語彙の少なさが多い傾向がありました。外出・保育施設への参加機会が減り、社会的なやりとりの機会が少なかったことが一因として考えられています。
学童期の吃音が子どもに与える影響を予測する要因
吃音のある9〜14歳の子ども306人を対象に、吃音がその子の生活にどれくらい大きな影響を与えるかが、何によって決まるのかを調べた研究です。どもりの目立つ程度(重さ)だけでなく、その子の気質や、不安・抑うつの程度との関係を分析しました。その結果、不安や抑うつの傾向が強い子や、外向的・活発さ(サージェンシー)が低い子、年齢が上の子ほど、また吃音が目立つ子ほど、吃音による影響が大きいと予測されました。気質や心の状態は、どもりの目立つ程度とは別に、影響の大きさに関係していました。
吃音のある就学前児への多職種連携と臨床管理:ノルウェーの実態調査
ノルウェーで吃音のある就学前の子どもへの支援について、専門職18人と保護者に対してインタビューと座談会を行いました。言語聴覚士と保育士の連携は機能していたものの、どの専門職がいつ・どのように対応するかは担当者によって異なり、サービスの不平等が生じている実態が明らかになりました。保護者が自ら積極的に情報を求めなければ支援につながりにくい場合もあり、より体系的な仕組みと専門知識の普及が必要と示唆されます。