低所得世帯における言葉が遅い子の語彙の伸び方を調べる縦断研究
Examining Early Vocabulary Growth Trajectories in Late Talkers in a Low-Income Longitudinal Sample.
どんな研究?
01 — Summaryアメリカの低所得世帯の子ども199人を、生後8か月から30か月まで追いかけ、話す言葉の数の伸び方を調べた研究です。22〜30か月で言葉が遅いと判定された子は、語彙の伸びがゆるやかで、時間が経つほど語彙量の差が広がっていました。差が出はじめる時期は生後11か月ごろと早く、著者はより早い段階での見守りや支援の必要性を指摘しています。
要点
02 — Key points- 01低所得世帯の子を生後8〜30か月まで追跡し、語彙の伸び方を比較
- 02言葉が遅い子は語彙の伸びがゆるやかで、差は時間とともに広がった
- 03語彙量の差が出はじめる時期は生後11か月ごろと早かった
- 04より早い時期からの見守り・支援が役立つ可能性を示唆
- 05低所得は言葉が遅くなりやすさと関連する背景として挙げられている
対象はアメリカの低所得世帯の子どもに限られ、日本の一般的な家庭にそのまま当てはまるとは限りません。言葉が遅くなる原因(家庭での声かけや養育環境など)を切り分けたものではなく、観察研究のため関連を示すもので因果関係を示すものではありません。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- 追跡(縦断)観察研究
- エビデンス強度
- コホート研究
- 掲載誌
- Infancy : the official journal of the International Society on Infant Studies
- 発表年
- 2025
- DOI
- 10.1111/infa.70036
- 出典
- Europe PMC
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — Related言葉が遅い子は『ただ遅いだけ』?レイトトーカーが話す語彙の特徴を調べる
大規模な語彙データベースを使い、言葉が遅い子ども(202人)が実際に話す言葉の特徴を、同じ年齢の子や同じ語彙量の年下の子と比べた研究です。言葉が遅い子の語彙は、年齢は同じでも語彙量の近い年下の子とよく似た特徴を持っていました。著者は、言葉が遅い子は発達の道すじが『ずれている』のではなく、ゆっくりたどっている(遅れているが普通の順序)可能性があると述べています。
幼児期を過ぎて:かつて言葉が遅かった子どもたちのその後のことばと読み書きの状態
2歳ごろに「言葉が遅い」とされた子ども40人を、3〜10歳の時点で詳しく調べた追跡研究です。標準化された検査を使って調べたところ、半数あまりにことばや読み書きの困難が残っていました。困難が残った子は、語彙や読みの力などで低めの傾向が見られました。一方で、約4割の子は明らかな困難が見られませんでした。
診療ガイドライン:発達性の言葉の遅れ・障害への支援
発達性の言葉の遅れ・障害への支援について、これまでの研究を体系的に調べてまとめたドイツの診療ガイドラインです。言葉の表出(話す力)が遅い子(レイトトーカー)には、保護者向けのトレーニングが役立つ傾向が報告されています。理解の遅れなどリスクが重なる子には言語療法がすすめられています。著者らは、早い時期からの保護者と子どもを中心にした関わりが支援の効果を高めうると述べています。