幼児期を過ぎて:かつて言葉が遅かった子どもたちのその後のことばと読み書きの状態
Beyond Toddlerhood: Rates of Impairment, Strengths, and Challenges in the Communication Outcomes of Former Late Talkers.
どんな研究?
01 — Summary2歳ごろに「言葉が遅い」とされた子ども40人を、3〜10歳の時点で詳しく調べた追跡研究です。標準化された検査を使って調べたところ、半数あまりにことばや読み書きの困難が残っていました。困難が残った子は、語彙や読みの力などで低めの傾向が見られました。一方で、約4割の子は明らかな困難が見られませんでした。
要点
02 — Key points- 012歳ごろに言葉が遅かった子の追跡で、3〜10歳時に半数あまり(約53〜56%)にことば・読み書きの困難が残っていた
- 02残らなかった子もおり、全員がそのまま困難を抱えるわけではない
- 03困難が残った子は語彙・音の認識・読みの理解・発音などで低めの傾向
- 04言葉の遅れは、後のことばや読み書きの困難の『目印(サイン)』になりうる
- 05標準化された検査で評価したため、過去の研究より高い割合が出たと著者は述べている
対象は英語圏の子ども40人と小規模で、日本の子どもに同じ割合が当てはまるとは限りません。追跡できた子だけを調べた観察研究であり、年齢の幅も広いため、ここで示されているのは関連であって因果関係を示すものではありません。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- 追跡(縦断)観察研究
- エビデンス強度
- コホート研究
- 掲載誌
- Journal of speech, language, and hearing research : JSLHR
- 発表年
- 2026
- DOI
- 10.1044/2025_jslhr-25-00117
- 出典
- Europe PMC
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — Related低所得世帯における言葉が遅い子の語彙の伸び方を調べる縦断研究
アメリカの低所得世帯の子ども199人を、生後8か月から30か月まで追いかけ、話す言葉の数の伸び方を調べた研究です。22〜30か月で言葉が遅いと判定された子は、語彙の伸びがゆるやかで、時間が経つほど語彙量の差が広がっていました。差が出はじめる時期は生後11か月ごろと早く、著者はより早い段階での見守りや支援の必要性を指摘しています。
言葉が遅い子は『ただ遅いだけ』?レイトトーカーが話す語彙の特徴を調べる
大規模な語彙データベースを使い、言葉が遅い子ども(202人)が実際に話す言葉の特徴を、同じ年齢の子や同じ語彙量の年下の子と比べた研究です。言葉が遅い子の語彙は、年齢は同じでも語彙量の近い年下の子とよく似た特徴を持っていました。著者は、言葉が遅い子は発達の道すじが『ずれている』のではなく、ゆっくりたどっている(遅れているが普通の順序)可能性があると述べています。
診療ガイドライン:発達性の言葉の遅れ・障害への支援
発達性の言葉の遅れ・障害への支援について、これまでの研究を体系的に調べてまとめたドイツの診療ガイドラインです。言葉の表出(話す力)が遅い子(レイトトーカー)には、保護者向けのトレーニングが役立つ傾向が報告されています。理解の遅れなどリスクが重なる子には言語療法がすすめられています。著者らは、早い時期からの保護者と子どもを中心にした関わりが支援の効果を高めうると述べています。