母乳バンクデータベースに登録された壊死性腸炎(NEC)症例の分析
Analysis of NEC cases registered in the human milk bank database
どんな研究?
01 — Summary日本の母乳バンクデータベースに登録された極低出生体重児1,324人のうち、ドナー母乳を受けていても1.58%(21人)が壊死性腸炎(NEC)を発症しました。NEC発症に関連する要因として、動脈管開存症(PDA)、感染症、人工乳への切り替え、眼科的処置などが挙げられました。著者らは、血行動態の管理、人工乳の導入を遅らせること、完全母乳由来の食事継続がNEC予防に重要と指摘しています。
要点
02 — Key points- 01ドナー母乳を受けた極低出生体重児でも約1.6%がNECを発症し、20人が手術を要した
- 02NEC発症には動脈管開存症・感染症・人工乳への切り替えが関連していた
- 03人工乳の導入を遅らせ、完全母乳由来の食事を維持することがNECリスク低減に重要
後方視的観察研究であり、因果関係の確立には限界がある。対象が日本の母乳バンク利用施設に限られ、一般化に注意が必要。NECの発症数が少なく、統計的検出力に制限がある。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- 後方視的観察研究
- エビデンス強度
- 観察研究
- 掲載誌
- Frontiers in Pediatrics
- 発表年
- 2025
- DOI
- 10.3389/fped.2025.1679676
- 出典
- OpenAlex
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — Related超低出生体重児への人工乳開始タイミングが短期予後に与える影響
日本の母乳バンクデータベースを用いた744人の超低出生体重児(1,500g未満)の分析では、人工乳の導入を34週以降に遅らせることで、慢性肺疾患(BPD)や在宅酸素療法、壊死性腸炎のリスクが低下する傾向が示されました。32〜34週に導入した場合は治療を要する未熟児網膜症リスクも低下しました。生後24時間以内から母乳(自分の母乳またはドナー母乳)による経腸栄養を開始することの重要性も確認されました。
早産児の壊死性腸炎予防におけるプロバイオティクス補充の有効性と安全性:システマティックレビュー・メタアナリシス
早産児を対象に51件のRCT(計10,664人)をまとめたメタアナリシスでは、プロバイオティクスの投与が壊死性腸炎(NEC)の発症、死亡リスク、遅発性敗血症を有意に減らすことが示されました。複数菌株の組み合わせが単一菌株より効果が高く、ラクトバチルス・ラムノサスGGやウシラクトフェリンとの組み合わせが最も効果的でした。プロバイオティクス関連の敗血症は報告されませんでした。
母乳由来成分だけの食事を長く続けることと、極低出生体重児の脳の発達との関係(NEOVASC試験の付随解析)
とても早く生まれた赤ちゃん(在胎32週未満、出生体重500〜1250g)を対象に、母乳だけを使った食事(強化剤も母乳由来)を生後36週相当まで長く続けた場合と、32週相当で牛乳由来の強化剤やミルクに切り替えた場合を比べた、ランダム化比較試験の追加解析です。脳のMRI画像の指標や運動の発達を調べました。全体として、長く続けたグループとそうでないグループの間で、脳の発達や運動の成績にはっきりした差は見られませんでした。一部の時点の運動評価では差がありましたが、他の時点では差がありませんでした。