母乳由来成分だけの食事を長く続けることと、極低出生体重児の脳の発達との関係(NEOVASC試験の付随解析)
Effects of a Prolonged Exclusive Human Milk-Based Diet on Structural and Functional Brain Maturation in Very Preterm Infants: An Ancillary Analysis of the NEOVASC Trial.
どんな研究?
01 — Summaryとても早く生まれた赤ちゃん(在胎32週未満、出生体重500〜1250g)を対象に、母乳だけを使った食事(強化剤も母乳由来)を生後36週相当まで長く続けた場合と、32週相当で牛乳由来の強化剤やミルクに切り替えた場合を比べた、ランダム化比較試験の追加解析です。脳のMRI画像の指標や運動の発達を調べました。全体として、長く続けたグループとそうでないグループの間で、脳の発達や運動の成績にはっきりした差は見られませんでした。一部の時点の運動評価では差がありましたが、他の時点では差がありませんでした。
要点
02 — Key points- 01対象は54人と少なく、探索的な追加解析という位置づけ。
- 02母乳由来の食事を長く続けても、脳のMRI指標や運動発達にはっきりした差は出なかった。
- 03もともと両グループとも母乳を多く与えられており、差が小さくなった可能性がある。
- 041つの時点の運動評価では介入群が高かったが、一貫した差ではなかった。
- 05結論を確かめるにはもっと大規模で長期の研究が必要。
参加した赤ちゃんが54人と少なく、探索的な解析のため、偶然による差や見逃しが起きやすい点に注意が必要です。両グループとも母乳の摂取量が多かったため、もともとの差が出にくかった可能性があります。とても早く生まれた赤ちゃんが対象で、一般の赤ちゃんにそのまま当てはめることはできません。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- ランダム化比較試験の付随解析(探索的)
- エビデンス強度
- ランダム化比較試験
- 掲載誌
- Nutrients
- 発表年
- 2026
- DOI
- 10.3390/nu18091321
- 出典
- Europe PMC
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — Related母乳が知能指数・脳の大きさ・白質の発達に与える影響
授乳の方法をランダムに割り付けた過去の試験の参加者50人について、青年期(平均約16歳)にMRIで脳を調べた研究です。母乳の割合が高いほど言語性の知能テストの点数が高い傾向がみられ、とくに男子では脳全体や白質の量との関連も観察されました。母乳が脳の発達、なかでも白質の成長を促す可能性を示すとしていますが、人数が少なく、さらなる研究が必要です。
とても早く生まれた赤ちゃんの母乳と、脳の発達・7歳時の発達
妊娠30週未満などでとても早く生まれた赤ちゃん180人を対象に、生後28日間にどれだけ母乳を多く飲んだかと、その後の脳や発達との関連を7歳まで追って調べた研究です。母乳を多く飲んだ日が多い子ほど、生まれた頃の脳の一部(深部の灰白質)の体積が大きく、7歳時のIQ・算数・記憶・運動の成績がやや良い関連がみられました。著者らは、新生児期に母乳を中心に与えることが発達に関わる可能性を示すとしています。
母乳と、乳幼児の脳(白質)の発達の関連
母乳が幼い子どもの脳の発達に関わるかを調べるため、生後10か月〜4歳の健康な子ども133人の脳をMRIで撮影し、母乳・ミルク・混合のグループで脳の白質(神経のつながり)の育ち方を比べた研究です。母乳で育った子は、思考や学習に関わる脳の領域で白質の発達がより進んでいる関連がみられ、母乳を与えた期間が長いほどその傾向が強い領域もありました。著者らは、母乳の成分が脳の成長を助ける可能性を示すとしています。