とても早く生まれた赤ちゃんの母乳と、脳の発達・7歳時の発達
Breast Milk Feeding, Brain Development, and Neurocognitive Outcomes: A 7-Year Longitudinal Study in Infants Born at Less Than 30 Weeks' Gestation.
どんな研究?
01 — Summary妊娠30週未満などでとても早く生まれた赤ちゃん180人を対象に、生後28日間にどれだけ母乳を多く飲んだかと、その後の脳や発達との関連を7歳まで追って調べた研究です。母乳を多く飲んだ日が多い子ほど、生まれた頃の脳の一部(深部の灰白質)の体積が大きく、7歳時のIQ・算数・記憶・運動の成績がやや良い関連がみられました。著者らは、新生児期に母乳を中心に与えることが発達に関わる可能性を示すとしています。
要点
02 — Key points- 01妊娠30週未満などで早く生まれた赤ちゃん180人を7歳まで追跡
- 02生後28日間に母乳を多く飲んだ日数を調べた
- 03母乳が多い子ほど新生児期の脳の一部の体積が大きい関連
- 047歳時のIQ・算数・記憶・運動の成績が良い関連がみられた
- 05年齢・性別・家庭の状況・病気の重さを考慮して分析
観察研究のため、母乳が原因で発達が良くなったとは断定できません(関連であり因果ではない)。対象はとても早く生まれた赤ちゃんに限られ、満期で生まれた子にそのまま当てはまるとは限りません。人数が比較的少なく、母乳を選ぶ家庭の背景の違いが結果に影響している可能性もあります。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- 前向きコホート研究(追跡研究)
- エビデンス強度
- コホート研究
- 掲載誌
- The Journal of Pediatrics
- 発表年
- 2016
- DOI
- 10.1016/j.jpeds.2016.06.045
- 出典
- Europe PMC
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — Related母乳由来成分だけの食事を長く続けることと、極低出生体重児の脳の発達との関係(NEOVASC試験の付随解析)
とても早く生まれた赤ちゃん(在胎32週未満、出生体重500〜1250g)を対象に、母乳だけを使った食事(強化剤も母乳由来)を生後36週相当まで長く続けた場合と、32週相当で牛乳由来の強化剤やミルクに切り替えた場合を比べた、ランダム化比較試験の追加解析です。脳のMRI画像の指標や運動の発達を調べました。全体として、長く続けたグループとそうでないグループの間で、脳の発達や運動の成績にはっきりした差は見られませんでした。一部の時点の運動評価では差がありましたが、他の時点では差がありませんでした。
母乳が知能指数・脳の大きさ・白質の発達に与える影響
授乳の方法をランダムに割り付けた過去の試験の参加者50人について、青年期(平均約16歳)にMRIで脳を調べた研究です。母乳の割合が高いほど言語性の知能テストの点数が高い傾向がみられ、とくに男子では脳全体や白質の量との関連も観察されました。母乳が脳の発達、なかでも白質の成長を促す可能性を示すとしていますが、人数が少なく、さらなる研究が必要です。
母乳とIQに遺伝子型(FADS2)は関わらない? 大規模データでの再検証
「母乳とIQの関連は脂肪酸代謝の遺伝子(FADS2)の型で変わる」という2007年の有名な報告を、約33万人という非常に大きなデータ(UKバイオバンク)で検証し直した研究です。さまざまな認知テストなどで調べた結果、遺伝子型と母乳の組み合わせによる影響(相互作用)はみられませんでした。著者らは、以前の陽性の報告は集団構造の偏りなどによる見かけ上のものだった可能性が高いとしています。