授乳方法・授乳中の母親の行動と生後1年時の母子絆の関係:エコチル調査
Relationships among feeding method, maternal behavior during feeding, and mother-infant bonding at 1 year postpartum: the Japan Environment and Children's Study
どんな研究?
01 — Summaryエコチル調査の80,394組の母子データを分析したところ、授乳中に赤ちゃんに話しかけたり目を合わせたりしていた母親は、そうでない母親に比べて1年後に「絆が弱い」と感じるリスクが約21%低かった(調整リスク比0.79)という傾向が示されました。授乳方法(母乳か粉ミルクか)よりも、授乳中の相互作用のほうが母子絆により強く関連していた可能性があります。
要点
02 — Key points- 01授乳中に話しかけ・目合わせをした母親は、しない母親より母子絆の弱さリスクが低い傾向(調整RR 0.79)
- 02母乳育児単独では絆リスクの低下は境界域(RR 0.91)だった
- 03母乳育児と授乳中の相互作用を組み合わせると最もリスクが低かった(RR 0.72)
横断的なアンケートデータに基づく観察研究であり、因果関係は示せない。絆の評価は自己報告式であり、主観的バイアスが生じうる。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- コホート研究(横断解析)
- エビデンス強度
- コホート研究
- 掲載誌
- Attachment & Human Development
- 発表年
- 2025
- DOI
- 10.1080/14616734.2025.2609262
- 出典
- OpenAlex
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — Related母乳のヨウ素・成長因子・神経栄養因子と子どもの神経認知発達:二次解析
授乳中の母親122名と3歳の子どもを対象に、哺乳初期の母乳中ヨウ素濃度・BDNF・IGF-1と3歳時点の認知・運動・言語発達スコアの関連を調べました。予想に反して、母乳中ヨウ素濃度が高いほど認知スコアがわずかに低い傾向が見られました。母乳中のBDNFやIGF-1と発達スコアとの関連は認められませんでした。サンプル数が少なく解釈には慎重さが必要です。
母乳由来成分だけの食事を長く続けることと、極低出生体重児の脳の発達との関係(NEOVASC試験の付随解析)
とても早く生まれた赤ちゃん(在胎32週未満、出生体重500〜1250g)を対象に、母乳だけを使った食事(強化剤も母乳由来)を生後36週相当まで長く続けた場合と、32週相当で牛乳由来の強化剤やミルクに切り替えた場合を比べた、ランダム化比較試験の追加解析です。脳のMRI画像の指標や運動の発達を調べました。全体として、長く続けたグループとそうでないグループの間で、脳の発達や運動の成績にはっきりした差は見られませんでした。一部の時点の運動評価では差がありましたが、他の時点では差がありませんでした。
母乳が知能指数・脳の大きさ・白質の発達に与える影響
授乳の方法をランダムに割り付けた過去の試験の参加者50人について、青年期(平均約16歳)にMRIで脳を調べた研究です。母乳の割合が高いほど言語性の知能テストの点数が高い傾向がみられ、とくに男子では脳全体や白質の量との関連も観察されました。母乳が脳の発達、なかでも白質の成長を促す可能性を示すとしていますが、人数が少なく、さらなる研究が必要です。