二言語環境と性別が、乳児の言語音への脳の反応の育ち方を形づくる
Bilingual Exposure and Sex Shape Developmental Trajectories of Brain Responses to Speech-Sound Features in Infants.
どんな研究?
01 — Summary二つの言語に触れる量の異なる乳児73人を対象に、生まれたとき・生後6か月・1歳の3回、言葉の音に対する脳の反応を測った研究です。脳が音をとらえる力は最初の6か月で大きく育ち、その後はゆるやかになりました。二言語に多く触れる子は声の高さの処理が6か月時点では低めでも1歳では高くなり、声の特徴をとらえる力は1年を通じて高い傾向がみられました。
要点
02 — Key points- 01二言語に触れる程度が異なる乳児73人を、出生時・生後6か月・1歳まで追って脳の反応を測定した。
- 02言葉の音をとらえる脳の力は、最初の6か月で大きく育った。
- 03二言語に多く触れる子は、1歳時点で声の高さの処理が高くなる傾向がみられた。
- 04声の特徴(音色のような手がかり)をとらえる力は、二言語環境で1年を通じて高めだった。
- 05性別によっても育ち方に違いがみられた。
観察研究のため、二言語環境と脳の反応の関連が示されても因果とは言えません。対象は73人と少なく、脳の反応の違いが実際の言葉の発達や理解力にどうつながるかは、この研究だけでは分かりません。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- 観察研究(縦断・脳反応計測)
- エビデンス強度
- 観察研究
- 掲載誌
- Neurobiology of language (Cambridge, Mass.)
- 発表年
- 2026
- DOI
- 10.1162/nol.a.214
- 出典
- Europe PMC
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — Related生後5か月では、一つの言語の子も二言語の子も顔の見方に違いはなかった
生後5か月の赤ちゃん約570人を対象に、人の顔の「目」と「口」のどちらをよく見るかを調べた研究です。一つの言語で育つ子(モノリンガル)と二つの言語で育つ子(バイリンガル)で、顔の見方に差はありませんでした。また、その後2〜3歳になったときの語彙の多さとも、目・口の見方ははっきり関係していませんでした。
幼児期の二言語経験と、注意を切り替える脳のはたらき
二言語で育つ未就学児13人と、一言語で育つ未就学児13人を対象に、よけいな情報を抑えて課題に集中する力(注意の切り替え)を、脳の血流を測る装置(fNIRS)で調べた小さな研究です。課題の成績そのものには差がありませんでしたが、二言語の子では前頭前野の活動が少なめで、より効率的に処理しているような脳の使い方が見られました。日ごろ使わない方の言語を抑える経験が関係している可能性が考えられています。
幼児期の社会的注意の時間的な動きにみられる、経験による違い
一つの言語で育つ子と二つの言語で育つ子で、顔や口の見方にどんな違いがあるかを、視線を細かく追って調べた研究です。ロンドンの生後7〜34か月の子ども約880人のデータを分析したところ、二言語で育つ子は最初に顔を見たあといったん視線を外す傾向が強く、年長になると相手の口元をより長く見る傾向がみられました。年齢や言語環境によって、顔の見方の時間的な動きが変わることが示されました。