多言語(バイリンガル)環境は、子どもの言葉や考える力に影響する?
二つ以上の言語で育つ子どもは、はじめは言語が混ざったり片方の語彙が少なく見えたりすることがありますが、発達そのものが遅れるという確かな証拠はなく、多くは追いついていく傾向が報告されています。注意を切り替える脳の使い方に違いがみられたという報告もありますが、いずれも小規模・観察研究が中心で、確実なことはまだ言えません。
家庭の言語環境を人に割り当てて比べることは現実的にできず、根拠は観察研究が中心です。研究によって「差がない」「脳の使い方に違い」など結果がそろわず、規模も小さいものが多いため、確実性は低いと判断しました。なお、二言語環境が発達の遅れの原因になるという証拠は見られませんでした。
※ このテーマは、その要因を人に割り当てて比べること(ランダム化比較試験)が 倫理上・現実的にできないため、構造的に「質:高い」の研究は得られません。 観察研究が最良の証拠であり、確実性が「中」や「低い」にとどまるのはそのためです。
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絵本の読み聞かせは、子どもの言葉の発達によい?
保護者と一緒に絵本を読む取り組みは、子どもの言葉の理解や語彙によい影響をもたらす傾向が報告されていますが、研究の数が限られ結果にばらつきもあるため、効果の大きさははっきりしていません。
昼寝は、子どもの学びや発達によい?いつまで必要?
子どもの昼寝が学習や発達によいのか、いつまで必要なのかを調べた研究を集めました。昼寝は学んだことを記憶に定着させて学習を助けるという考え方があり、保育施設の幼児を比べた研究では昼寝をする子の方がワーキングメモリー(短い間、情報を覚えて使う力)の成績がよいという報告があります。一方で、2〜3歳児で昼寝をしても記憶や計画の力は高まらなかったとする研究や、乳児期に昼間の睡眠が特に長い子はのちの記憶力がやや低い傾向だったとする研究もあり、結果は割れています。多くは観察研究で因果は示せず、人数も少なめのため確実性は低いと考えられます。「昼寝の卒業」は発達の自然な一部で、必要な時期には個人差があります。
音楽・歌は、子どもの発達によい?
親子で一緒に楽しむ音楽やリズム遊びは、社会性や言葉の発達によい影響をもたらす可能性が報告されています。とくにリズムに合わせて体を動かすプログラムでは、社会性や行動面でのよい効果が信頼性の高い試験で示されています。一方で、言葉や認知への効果は関連の報告が中心で、結果にばらつきもあり、まだはっきりしていません。
運動・スポーツは、子どもの心や学び(認知)によい?
運動やスポーツは、子どもの注意力や実行機能(計画・自己コントロール)、心の健康や社会性によい影響をもたらすと報告されています。楽しく体を動かす習慣が、体だけでなく学びや心も支えると考えられます。
妊娠中のコリン(卵などに多い栄養素)は、子どもの発達によい?
コリンは脳や神経の発達に関わる栄養素で、多くの妊婦が推奨量に届いていないと指摘されています。ただし、妊娠中にコリンを増やすと子どもの発達がよくなるかについては、人を対象にした研究の数が少なく結果もばらついており、現時点ではよくなるともならないとも言い切れません。