幼児期の社会的注意の時間的な動きにみられる、経験による違い
Experience-Sensitive Effects on Temporal Profiles of Social Attention in Early Childhood.
どんな研究?
01 — Summary一つの言語で育つ子と二つの言語で育つ子で、顔や口の見方にどんな違いがあるかを、視線を細かく追って調べた研究です。ロンドンの生後7〜34か月の子ども約880人のデータを分析したところ、二言語で育つ子は最初に顔を見たあといったん視線を外す傾向が強く、年長になると相手の口元をより長く見る傾向がみられました。年齢や言語環境によって、顔の見方の時間的な動きが変わることが示されました。
要点
02 — Key points- 01二言語環境の子と一言語環境の子で、顔や口への視線の動きを時間を追って比べた観察研究。
- 02生後7〜34か月の約880人を二つの年齢グループに分けて分析した。
- 03二言語の幼い子は、最初に顔を見たあと視線を外す動きが強かった。
- 04年長の二言語の子は、相手の口元をより長く見る傾向がみられた。
- 05言語環境は発達の遅れではなく、注意の向け方の違いと関連していた。
観察研究のため、二言語環境と視線の動きの関連が示されても因果関係とは言えません。視線の動きの違いが言葉の習得や考える力にどう結びつくかは、この研究だけでは分かりません。対象はロンドン在住の子どもで、文化や言語が異なる地域に当てはまるとは限りません。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- 観察研究(視線計測)
- エビデンス強度
- 観察研究
- 掲載誌
- Infancy : the official journal of the International Society on Infant Studies
- 発表年
- 2026
- DOI
- 10.1111/infa.70077
- 出典
- Europe PMC
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — Related生後5か月では、一つの言語の子も二言語の子も顔の見方に違いはなかった
生後5か月の赤ちゃん約570人を対象に、人の顔の「目」と「口」のどちらをよく見るかを調べた研究です。一つの言語で育つ子(モノリンガル)と二つの言語で育つ子(バイリンガル)で、顔の見方に差はありませんでした。また、その後2〜3歳になったときの語彙の多さとも、目・口の見方ははっきり関係していませんでした。
二言語環境と性別が、乳児の言語音への脳の反応の育ち方を形づくる
二つの言語に触れる量の異なる乳児73人を対象に、生まれたとき・生後6か月・1歳の3回、言葉の音に対する脳の反応を測った研究です。脳が音をとらえる力は最初の6か月で大きく育ち、その後はゆるやかになりました。二言語に多く触れる子は声の高さの処理が6か月時点では低めでも1歳では高くなり、声の特徴をとらえる力は1年を通じて高い傾向がみられました。
二言語家庭では、親子が使う言語を自然とそろえている
二つの言語を使う家庭の親子のやりとりを、家庭での遊びの様子を録画して調べた研究です。カナダ(フランス語・英語)とアメリカ(スペイン語・英語)の18〜35か月の子ども39人を対象にしました。主に世話をする保護者と子どもは、会話の中で相手と同じ言語を選んでそろえる傾向が、偶然より高い割合で見られました。こうした言語のそろえ合いが、二言語の習得を支えている可能性が示されています。