コホート研究

母子の愛着安定性とコルチゾール反応:母親のうつ症状と乳児の気質との縦断的関連

Infant-mother attachment security and cortisol reactivity during the strange situation procedure: Longitudinal associations with maternal depressive symptoms and infant temperament.

どんな研究?

01 — Summary

生後14か月の乳児82組の母子を対象に、愛着の安定性がストレスホルモン(コルチゾール)の反応パターンとどう関係するかを調べました。安定した愛着を持つ乳児は基礎コルチゾール値が低く、ストレス課題後に上昇する傾向があったのに対し、不安定な愛着の乳児は基礎値が高くストレス後に低下するパターンを示しました。母親のうつ症状が多いほど乳児のコルチゾール反応が高く、気質面では「粘り強さ」と「集中力」がコルチゾールの変化と関連していました。

要点

02 — Key points
  • 01安定した愛着(アタッチメント)の乳児は、不安定な愛着の乳児と比べてストレスに対するコルチゾール反応のパターンが異なっていた
  • 02母親のうつ症状が多いと、乳児のコルチゾール反応(HPA軸の活性化)が高まる傾向が示された
  • 03乳児の気質(粘り強さ・集中力)もコルチゾール変化と関連しており、愛着・気質・母の状態が複合的に影響し合う可能性がある
読むときの注意 / Limitations

観察研究のため因果関係は示せず、関連にとどまる。サンプル数が82組と限られており、文化的・社会経済的な多様性も限定的。コルチゾールの解釈は複雑で、上昇が必ずしも悪影響を意味するわけではない。

この研究の確からしさ

03 — Evidence
コホート研究多くの人を追跡する観察研究。因果関係の証明は限定的。

書誌情報

04 — Reference
研究デザイン
縦断的観察研究
エビデンス強度
コホート研究
掲載誌
Neurobiology of stress
発表年
2026
DOI
10.1016/j.ynstr.2026.100826
出典
Europe PMC

この研究が関わる疑問

05 — Questions

関連する研究

06 — Related
2026 · ランダム化比較試験ランダム化比較試験

早産児の母親によるマッサージ+声かけが愛着と運動発達に与える効果:ランダム化比較試験

NICUに入院中の早産児84人を対象に、母親が毎日15分間マッサージをしながら声をかけるケアの効果を調べるランダム化比較試験を行いました。マッサージ+声かけを行った群では、行わなかった群と比べて、母親の赤ちゃんへの愛着が高まり、赤ちゃんの運動能力も有意に改善しました。体重増加には差がありませんでした。

2026 · ランダム化比較試験(二次解析)ランダム化比較試験

妊娠・授乳期の少量脂質系栄養補助食品(SQ-LNS)が子どものコルチゾール濃度に与える影響

ガーナで行われたランダム化比較試験(iLiNS-DYAD)を用いて、妊娠・授乳中の母親と乳児期(6〜18か月)の子どもへの栄養補助食品(SQ-LNS)投与が、9〜11歳時のストレスホルモン(コルチゾール)に影響するか調べました。全体ではSQ-LNS群と対照群に差はありませんでしたが、母親の教育歴が低いグループでは、SQ-LNS群の子どものコルチゾールが有意に低く、栄養補充が社会経済的不利の一部を補う可能性が示されました。

2025 · 前向きコホート研究コホート研究

母子の絆(ボンディング)が子どもの強みと困難さに与える影響

日本の母子275組を対象にした前向きコホート研究で、生後10か月の母子ボンディング(愛着の絆)と母親のメンタルヘルスが5歳時の子どもの行動発達と関係することが示されました。潜在クラス分析により「社会性が低い」「適応良好」「行動困難が多い」の3タイプに分類され、ボンディングの弱さや母親のうつが困難さの多いタイプと関連していました。