子どもの体力と脳発達:行動・脳画像研究のナラティブレビュー
Childhood fitness and brain development: A narrative review of behavioral and neuroimaging studies
どんな研究?
01 — Summary子どもの体力(主に心肺持久力)と認知機能・学業成績・脳の発達の関係を検討した研究をまとめました。体力が高い子どもは、実行機能や学業成績が高い傾向があることが複数の研究で示されており、脳の海馬や前頭前皮質の発達とも関連する可能性が報告されています。ただし、メカニズムはまだ十分に解明されておらず、因果関係の確認には介入研究が必要です。
要点
02 — Key points- 01体力が高い子どもは実行機能や学業成績が高い傾向があるとの行動研究が多い
- 02脳画像研究では海馬や前頭前皮質の発達との関連が示唆されている
- 03因果関係の確認には、ランダム化した介入研究がさらに必要
ナラティブレビューであり、系統的なエビデンス統合ではない。採用研究の多くが横断的で因果関係は不明。体力の測定方法や認知指標が研究間で異なる。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- ナラティブレビュー
- エビデンス強度
- 総説・その他
- 掲載誌
- Japanese Journal of Physical Fitness and Sports Medicine
- 発表年
- 2020
- DOI
- 10.7600/jspfsm.69.239
- 出典
- OpenAlex
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — Related未就学児の体力と認知パフォーマンス:ELFITトライアルによる横断・縦断的検討
4〜5歳の未就学児99人を対象に、体力(心肺持久力・敏捷性・握力・跳躍力)と認知機能(記憶・語彙理解など)の関連を横断的および10週間の縦断的に検討した研究です。体力、特に心肺持久力が高い子ほど言語記憶や語彙能力が高い傾向が見られました。また10週間の介入後に体力が向上した子では、記憶力の改善も見られる傾向がありました。体力と認知機能の関連は一部のドメイン(記憶・言語)に限られており、一般的な関連とは言えない可能性があります。
放課後の身体活動・座位行動・体力と数学の成績の関連:カタールの学齢期の子どもにおける横断研究
カタールの約12歳の子ども98人を対象に、放課後の身体活動・座位行動・体力(バランス・筋力)と数学の成績との関連を調べた横断研究です。数学の成績が高いグループは座位行動が少なく、バランス能力(姿勢安定性)が優れている傾向がありました。座位行動は数学成績の分散の23.7%を説明しました。
スクリーンタイムと発達する脳:0〜12歳の子どもの神経画像所見に関するスコーピングレビュー
0〜12歳の子どものスクリーン使用と脳の発達の関係を調べた神経画像研究9件を集めたレビューです。ほとんどの研究で、スクリーン使用が多いほど脳の皮質の厚みの減少や白質・灰白質の質の低下など好ましくない変化と関連し、言語・注意・情動調節の困難とも結びついていました。一方で、ゲームなど構造化されたデジタル活動には作業記憶や空間認識の向上と関連する脳の変化も見られました。