観察研究

母乳育児が子どもの知能に与える影響:前向き研究・きょうだいペア分析・メタアナリシス

Effect of breast feeding on intelligence in children: prospective study, sibling pairs analysis, and meta-analysis.

どんな研究?

01 — Summary

母乳と子どもの知能の関連に、母親の知能がどれだけ関わるかを調べた研究です。調整前は母乳で育った子の知能テストの点数が約4点高くみえましたが、母親の知能を考慮するとその差のほとんどが説明され、他の要因も調整するとごくわずかで差とは言えなくなりました。きょうだい同士の比較やメタアナリシスでも同様で、母乳が知能に与える影響はあってもごく小さいと結論しています。

要点

02 — Key points
  • 01米国の長期調査のデータ(子ども約5500人)を使い、母親の知能などの影響を詳しく調べました。
  • 02母親の知能は、母乳で育てるかどうかを最もよく予測する要因の一つでした。
  • 03調整前は母乳の子で約4点高くみえた差が、母親の知能を考慮するとほとんど消えました。
  • 04きょうだい同士の比較やメタアナリシスでも同じ結果で、母乳の知能への影響はあってもごく小さいとしています。
読むときの注意 / Limitations

観察研究のため因果関係を直接示すものではありません。ただしこの研究は、見かけ上の関連の多くが母親の知能などの交絡要因で説明できることを示したものです。知能以外の母乳の利点を否定するものではありません。

この研究の確からしさ

03 — Evidence
観察研究ある時点の関連を調べる研究。関連=原因とは限らない。

書誌情報

04 — Reference
研究デザイン
前向き研究・きょうだいペア分析・メタアナリシス
エビデンス強度
観察研究
掲載誌
BMJ (Clinical research ed.)
発表年
2006
DOI
10.1136/bmj.38978.699583.55
出典
Europe PMC

この研究が関わる疑問

05 — Questions

関連する研究

06 — Related
2011 · コホート間比較による因果推論研究観察研究

母乳育児はIQ・肥満・血圧に本当に影響するのか:高所得国と中所得国のコホート比較からの検証

母乳と社会階層の結びつきが異なる国(英国と中所得国)のデータを比べることで、母乳の影響が見かけ上のものか本当の影響かを見分けようとした研究です。血圧やBMIとの関連は社会階層の違いで説明できる見かけ上のものと考えられた一方、知能(IQ)との関連はどの集団でも一貫してみられました。著者は、母乳は知能には本当の影響を持つ可能性があるが、血圧やBMIへの関連は交絡によるものだろうと結論しています。

2010 · ランダム化授乳試験の追跡研究ランダム化比較試験

母乳が知能指数・脳の大きさ・白質の発達に与える影響

授乳の方法をランダムに割り付けた過去の試験の参加者50人について、青年期(平均約16歳)にMRIで脳を調べた研究です。母乳の割合が高いほど言語性の知能テストの点数が高い傾向がみられ、とくに男子では脳全体や白質の量との関連も観察されました。母乳が脳の発達、なかでも白質の成長を促す可能性を示すとしていますが、人数が少なく、さらなる研究が必要です。

2015 · 前向き出生コホート研究コホート研究

母乳育児と30歳時点の知能・学歴・収入との関連:ブラジルの前向き出生コホート研究

母乳で育った期間と、30歳になったときの知能テストの点数・学歴・収入との関連を調べた研究です。母乳の期間が長い人ほどこれらの値が高い傾向がみられ、12か月以上母乳を受けた人は1か月未満だった人より知能テストの点数や収入が高い傾向がありました。母乳と社会階層の結びつきが弱い地域で行われた点が特徴ですが、観察研究のため因果関係を示すものではありません。