授乳と「栄養を伴わない吸う癖」について知っておきたいこと
Suckling and non-nutritive sucking habit: what should we know?
どんな研究?
01 — Summary指しゃぶりなどの「栄養を伴わない吸う癖」と歯並びの関係を、これまでの知見からまとめた総説です。指しゃぶりは生後2〜3歳ごろまではよく見られる自然な行動で、子どもに安心感を与えるため、特に眠る前にみられると説明しています。3歳より前であれば歯への影響は小さく、前歯の位置が少し変わる程度にとどまることが多い一方、4歳ごろを過ぎても続くと、上の前歯が前に出る、かみ合わせが開く(開咬)、上あごが狭くなるといった変化につながりうるとしています。
要点
02 — Key points- 01指しゃぶりは生後2〜3歳ごろまでは自然な行動で、安心感を得るためにみられる。
- 023歳より前の吸う癖が歯に与える影響は小さく、多くは前歯の位置が少し変わる程度。
- 03ふつうは2〜4歳の間に自然に卒業していく。
- 044歳ごろを過ぎても続くと、前歯が前に出る・開咬・上あごが狭くなるなどの変化につながりうる。
- 05授乳のしかたも口やあごの発達と関わると論じている。
これは個々の研究を統計的にまとめたものではなく、著者が文献を整理して論じた総説(ナラティブレビュー)です。書かれている関連は観察にもとづくもので、吸う癖が必ず歯並びの問題を起こすという因果関係を証明したものではありません。実際の影響は癖の強さや続く期間、個人差によって異なります。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- 総説(ナラティブレビュー)
- エビデンス強度
- 総説・その他
- 掲載誌
- Clujul Medical
- 発表年
- 2014
- DOI
- 10.15386/cjm.2014.8872.871.df1mg2
- 出典
- Europe PMC
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — Related一卵性双生児で見た指しゃぶりの歯への影響:症例報告
遺伝も生活環境もほぼ同じ一卵性双生児のうち、一方だけに指しゃぶりの癖がある事例を比べた報告です。指しゃぶりを続けた子では、前歯のかみ合わせが開く(開咬)、上の前歯が前に出る、上あごの幅が狭いといった違いがみられました。遺伝の影響をそろえて比べているため、指しゃぶりそのものが歯並びに影響しうることを示す事例です。
小児クリニックを受診した指しゃぶりの子ども82人を調べた研究(スリランカ)
指しゃぶりで小児クリニックを受診した子ども82人の記録を振り返り、年齢や受診理由、家庭で試した対処法を調べた研究です。受診した子どもの多くは3歳未満で、生まれてからずっと癖が続いているケースが多く見られました。受診のいちばん多い理由は「将来の歯並びが心配」というもので、家庭では苦い液を塗る・おしゃぶりに替えるなどを試したものの、やめさせるのに成功した家庭はほとんどありませんでした。受診した子どもには、永久歯が生える前に癖は自然になくなることが多いと説明され、安心を促したと報告しています。
おしゃぶり・指しゃぶり・口呼吸と、歯並びの乱れ(横断研究)
おしゃぶりや指しゃぶりなどの口のくせ、口呼吸が、子どもの歯並びの乱れ(不正咬合)と関係するかを、3017人の子どもで調べた研究です。これらの長く続くくせや口呼吸は、歯並びや、あごなど顔の骨の成長のパターンの乱れと関連していました。早めに気づいて対応することが、歯並びの予防・早期治療に役立つとされています。