一卵性双生児で見た指しゃぶりの歯への影響:症例報告
Dental Effects of Discordant Thumb-Sucking in Monozygotic Twins: A Case Report.
どんな研究?
01 — Summary遺伝も生活環境もほぼ同じ一卵性双生児のうち、一方だけに指しゃぶりの癖がある事例を比べた報告です。指しゃぶりを続けた子では、前歯のかみ合わせが開く(開咬)、上の前歯が前に出る、上あごの幅が狭いといった違いがみられました。遺伝の影響をそろえて比べているため、指しゃぶりそのものが歯並びに影響しうることを示す事例です。
要点
02 — Key points- 01遺伝・環境がほぼ同じ一卵性双生児で、指しゃぶりの有無による歯並びの違いを比べた。
- 02指しゃぶりを続けた子は前歯のかみ合わせが開く(開咬)傾向がみられた。
- 03上の前歯が前に出る、上あごの幅が狭い、口蓋が深いなどの違いもみられた。
- 04遺伝の影響をそろえた比較なので、癖が歯並びに影響しうることを支持する。
1組の双子だけの症例報告で、対象が非常に少なく、ここから一般的な結論を導くことはできません。あくまで個別の事例の観察であり、関連を確かめたものではありません。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- 症例報告
- エビデンス強度
- 観察研究
- 掲載誌
- Case reports in dentistry
- 発表年
- 2026
- DOI
- 10.1155/crid/8643566
- 出典
- Europe PMC
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — Related授乳と「栄養を伴わない吸う癖」について知っておきたいこと
指しゃぶりなどの「栄養を伴わない吸う癖」と歯並びの関係を、これまでの知見からまとめた総説です。指しゃぶりは生後2〜3歳ごろまではよく見られる自然な行動で、子どもに安心感を与えるため、特に眠る前にみられると説明しています。3歳より前であれば歯への影響は小さく、前歯の位置が少し変わる程度にとどまることが多い一方、4歳ごろを過ぎても続くと、上の前歯が前に出る、かみ合わせが開く(開咬)、上あごが狭くなるといった変化につながりうるとしています。
母乳育児と歯並び(かみ合わせ)の関係(システマティックレビュー)
母乳で育つことが、子どもの歯並び・かみ合わせ(咬合)の乱れと関係するかを、18件の研究をまとめて調べたシステマティックレビューです。母乳で育つことは、交叉咬合(上下の歯の横ずれ)などの一部の歯並びの乱れが少ないことと関連していました。母乳の期間が長いほどリスクが下がる傾向もみられました。
小児クリニックを受診した指しゃぶりの子ども82人を調べた研究(スリランカ)
指しゃぶりで小児クリニックを受診した子ども82人の記録を振り返り、年齢や受診理由、家庭で試した対処法を調べた研究です。受診した子どもの多くは3歳未満で、生まれてからずっと癖が続いているケースが多く見られました。受診のいちばん多い理由は「将来の歯並びが心配」というもので、家庭では苦い液を塗る・おしゃぶりに替えるなどを試したものの、やめさせるのに成功した家庭はほとんどありませんでした。受診した子どもには、永久歯が生える前に癖は自然になくなることが多いと説明され、安心を促したと報告しています。