指しゃぶりをやめる:本人と家族の協力が大切という症例報告
Breaking the Thumb Sucking Habit: When Compliance Is Essential.
どんな研究?
01 — Summary長く続いた指しゃぶりによって前歯のかみ合わせが開く(開咬)状態になった子どもについて、装置を使って癖をやめさせた経過を報告した1例の症例報告です。癖がなくなると開いていたかみ合わせが改善しましたが、その後また指しゃぶりがぶり返し、協力が得られなくなると開咬が元に戻ってしまいました。著者は、装置だけでなく本人・家族の納得と協力が、うまくいくかどうかの鍵になると述べています。
要点
02 — Key points- 01長引いた指しゃぶりは、前歯のかみ合わせが開く(開咬)や奥歯のずれ(交叉咬合)と関係が深い。
- 02癖をやめると開いていたかみ合わせが改善した。
- 03癖がぶり返すと、かみ合わせも元に戻ってしまった。
- 04装置に頼るだけでなく、本人と家族の理解・協力が成功のカギになる。
これは1人の患者の経過を報告した症例報告で、効果を統計的に確かめた研究ではありません。同じ方法が他の子にも当てはまるとは限らず、一般化はできません。装置による介入は専門家の判断が必要で、家庭での自己判断の根拠にはなりません。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- 症例報告
- エビデンス強度
- 総説・その他
- 掲載誌
- Case Reports in Dentistry
- 発表年
- 2016
- DOI
- 10.1155/2016/6010615
- 出典
- Europe PMC
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — Related一卵性双生児で見た指しゃぶりの歯への影響:症例報告
遺伝も生活環境もほぼ同じ一卵性双生児のうち、一方だけに指しゃぶりの癖がある事例を比べた報告です。指しゃぶりを続けた子では、前歯のかみ合わせが開く(開咬)、上の前歯が前に出る、上あごの幅が狭いといった違いがみられました。遺伝の影響をそろえて比べているため、指しゃぶりそのものが歯並びに影響しうることを示す事例です。
授乳と「栄養を伴わない吸う癖」について知っておきたいこと
指しゃぶりなどの「栄養を伴わない吸う癖」と歯並びの関係を、これまでの知見からまとめた総説です。指しゃぶりは生後2〜3歳ごろまではよく見られる自然な行動で、子どもに安心感を与えるため、特に眠る前にみられると説明しています。3歳より前であれば歯への影響は小さく、前歯の位置が少し変わる程度にとどまることが多い一方、4歳ごろを過ぎても続くと、上の前歯が前に出る、かみ合わせが開く(開咬)、上あごが狭くなるといった変化につながりうるとしています。
小児クリニックを受診した指しゃぶりの子ども82人を調べた研究(スリランカ)
指しゃぶりで小児クリニックを受診した子ども82人の記録を振り返り、年齢や受診理由、家庭で試した対処法を調べた研究です。受診した子どもの多くは3歳未満で、生まれてからずっと癖が続いているケースが多く見られました。受診のいちばん多い理由は「将来の歯並びが心配」というもので、家庭では苦い液を塗る・おしゃぶりに替えるなどを試したものの、やめさせるのに成功した家庭はほとんどありませんでした。受診した子どもには、永久歯が生える前に癖は自然になくなることが多いと説明され、安心を促したと報告しています。