自閉スペクトラム症に関わるありふれた遺伝的変異の特定
Identification of common genetic risk variants for autism spectrum disorder.
どんな研究?
01 — Summary自閉スペクトラム症(ASD)の人と、そうでない人あわせて4万6千人あまりのゲノムを大規模に比べた解析です。ASDと関わるありふれた遺伝的変異の場所がいくつか見つかり、これらは統合失調症やうつ、学歴などにも関わる領域と一部重なっていました。生まれもった遺伝の要素がASDのなりやすさに大きく関わることを、改めて示した内容です。
要点
02 — Key points- 01ASDの人18,381人とそうでない人27,969人のゲノムを比べた、大規模な関連解析(メタアナリシス)。
- 02ASDと統計的に強く関わる遺伝的変異の領域が複数見つかった。
- 03見つかった領域は、神経のはたらきや脳の発達に関わる遺伝子の近くに多かった。
- 04ありふれた遺伝的変異が、ASDのなりやすさにかなりの割合で寄与すると推定された。
- 05一つの変異だけで決まるのではなく、多数の変異が少しずつ積み重なって関わる(多遺伝子性)。
見つかったのは「関連」であり、特定の遺伝子がASDを直接引き起こすと断定できるものではありません。一人ひとりのなりやすさを予測できるものでもなく、遺伝以外の要因も関わると考えられています。主に欧州系の集団のデータで、別の集団にそのまま当てはまるかは未確認です。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- ゲノムワイド関連解析(メタアナリシス)
- エビデンス強度
- メタアナリシス
- 掲載誌
- Nature Genetics
- 発表年
- 2019
- DOI
- 10.1038/s41588-019-0344-8
- 出典
- Europe PMC
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — Related自閉スペクトラム症に関係する、妊娠・出産・出生後の要因(メタアナリシス)
自閉スペクトラム症(ASD)に関係する、妊娠中・出産時・出生後の要因を、17件の研究(自閉症の子ども約3万8千人を含む大規模データ)からまとめたメタアナリシスです。両親の高年齢、妊娠高血圧・妊娠糖尿病、早産(在胎36週以下)、低出生体重、出産時のトラブルなどが、自閉症とゆるやかに関連していました。これらは「関連する要因」であり、原因と確定したものではありません。
大規模なエクソーム解析が示す、自閉症の脳の発達とはたらきの変化
これまでで最大級の規模(約3万6千人分、うちASDが約1万2千人)で、遺伝子の中でたんぱく質を作る部分(エクソーム)を読み解いた研究です。ASDのなりやすさに関わる遺伝子を102個特定しました。これらの多くは脳の発達の早い時期にはたらき、神経細胞どうしの情報のやり取りや遺伝子のはたらきの調節に関わっていました。ASDには生まれもった遺伝的要因が深く関わることを裏づける内容です。
自閉症で壊れている、神経のつなぎ目・遺伝子の読み取り・染色体に関わる遺伝子
自閉スペクトラム症のある約3,900人と、同じ集団の対照や親を比べ、遺伝子の中身(エクソーム)を網羅的に調べた研究です。まれに起こる遺伝子の変化を解析し、自閉症に関わると考えられる遺伝子を多数特定しました。見つかった遺伝子の多くは、神経どうしのつなぎ目(シナプス)づくりや、遺伝子の読み取りの調整にはたらくものでした。