モンゴルの伝統的なおくるみと発育性股関節形成不全:ランダム化比較試験
Traditional Mongolian swaddling and developmental dysplasia of the hip: a randomized controlled trial.
どんな研究?
01 — Summary足をまっすぐ伸ばして固くくるむモンゴルの伝統的なおくるみが、股関節の発育に問題(発育性股関節形成不全, DDH)を起こすかを調べたランダム化比較試験です。生まれつき股関節が未熟な赤ちゃん80人を、伝統的なおくるみをする群としない群に分けて1か月追跡しました。その結果、おくるみをした群では股関節の異常が大幅に多く(40%対7.5%)、おくるみをしない群には股関節形成不全が1件もなかったのに対し、おくるみをした群では8件みられました。長時間・長期間おくるみをするほど異常が増える関係もみられました。
要点
02 — Key points- 01足を伸ばして固くくるむおくるみは、股関節の発育に問題を起こすリスクを高めた
- 02股関節の異常はおくるみ群で40%、しない群で7.5%と差が大きかった
- 03おくるみをする時間が長いほど異常が増える関係がみられた
- 04おくるみをするなら、足や股関節は曲げて開ける『股関節にやさしい』方法が大切と示唆される
生まれつき股関節が未熟な赤ちゃんを対象にした、人数が80人の比較的小さな試験です。足を伸ばして固くくるむ伝統的な方法を調べたもので、足を自由に動かせる『股関節にやさしい』おくるみとは条件が異なる点に注意が必要です。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- ランダム化比較試験
- エビデンス強度
- ランダム化比較試験
- 掲載誌
- BMC pediatrics
- 発表年
- 2021
- DOI
- 10.1186/s12887-021-02910-x
- 出典
- Europe PMC
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — Relatedおくるみが赤ちゃんの睡眠と覚醒に与える影響:システマティックレビューと記述的統合
1歳までの健康な赤ちゃんを対象に、おくるみ(スワドリング)が睡眠に与える影響を調べた研究をまとめたレビューです。条件を満たした6件の研究をまとめたところ、おくるみをすると静かな眠りの時間が長くなり、まだおくるみに慣れていない赤ちゃんでは眠りの状態が変わる回数(浅い眠りと深い眠りの行き来)が減る傾向がみられました。一方で、目が覚めにくくなることは、これまでおくるみをしていなかった赤ちゃんでは乳幼児突然死のリスクを高めうると注意を促しています。
赤ちゃんの泣きと落ち着き反応:おくるみ・音・動きを使った、親による寝かしつけと機械による寝かしつけの比較
生後0〜6か月の赤ちゃん69人を対象に、おくるみ・音・揺れを組み合わせると赤ちゃんがすぐ落ち着くかを調べた実験です。親が抱いてあやす場合と、自動で揺らす特別なベッドの場合を比べました。どちらでもぐずりや心拍が下がり、赤ちゃんは落ち着きました。とくに月齢の低い赤ちゃんは、親によるあやしでより強く落ち着く傾向がみられました。
着るブランケット・おくるみ用ラップ・おくるみに関連した乳児の死亡と事故
アメリカの消費者製品安全委員会に2004〜2012年に報告された、おくるみや着るブランケットに関わる事故を振り返って調べた研究です。普通の毛布でのおくるみに関連した報告では、12件すべてが死亡で、その多くがうつぶせ寝による窒息でした。やわらかい寝具など他の危険な要因が重なっている場合がほとんどでした。研究者は、おくるみをした赤ちゃんが亡くなる例はまれだとしつつ、仰向けに寝かせること、寝返りの兆しが見えたらおくるみをやめること、やわらかい寝具を取り除くことでリスクを下げられると述べています。