父親の長時間労働が生後6か月の育児行動に与える影響(日本環境子ども研究)
Impact of longer working hours on fathers' parenting behavior when their infants are 6 months old: The Japan Environment and Children's Study.
どんな研究?
01 — Summary日本の大規模コホート研究(JECS)の43,159組の父母データを分析し、父親の週労働時間と生後6か月時点での育児参加(7種類の行動)との関連を調べました。週65時間超の長時間労働の父親は、標準的な40時間以下の父親に比べて、お風呂・おむつ交換・家での遊びなどすべての育児行動で参加度が低く、特にお風呂での参加が2倍以上少ない傾向がみられました。
要点
02 — Key points- 01父親の週労働時間が長いほど、すべての育児行動への参加度が低い傾向がみられた
- 02週65時間超の超長時間労働では、入浴補助・おむつ交換・遊びで低参加のオッズが2倍以上
- 03長時間労働が父親育児参加の大きな障壁であることを大規模データで示した
観察研究であり、労働時間と育児参加の因果関係ではなく関連性を示すものです。育児行動は母親の評価に基づく主観的指標であり、評価者バイアスの可能性があります。日本特有の長時間労働文化が背景にあり、他国への一般化には限界があります。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- 前向きコホート研究(横断解析)
- エビデンス強度
- コホート研究
- 掲載誌
- Frontiers in public health
- 発表年
- 2023
- DOI
- 10.3389/fpubh.2023.1100923
- 出典
- Europe PMC
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — Related社会経済的格差と育児習慣が乳児の神経発達に与える影響:中国の前向き出生コホート研究
中国の4791人の乳幼児を追跡した大規模コホート研究で、家庭の社会経済的地位(SES)と1歳時点の発達の関連を調べました。SESが低い家庭の子どもは、特に言葉を理解する力(受容性コミュニケーション)の遅れるリスクが約1.4倍高い傾向がありました。6か月以上の授乳・適切な睡眠・毎日の外遊び・スクリーンタイムなしという「健康的な育児習慣スコア」が高いほど発達リスクは低く、SESの格差の一部(約6%)を説明していました。高SESの家庭でも育児習慣が悪いと発達遅延リスクが30%近く上昇していました。
コロナ前・禍中・禍後における子どもの言語・社会情緒発達:オランダYOUthコホートより
生後5か月〜4歳の子ども2,166人を対象に、コロナ前(2015〜2020年)・禍中(2020〜2022年)・禍後(2022〜2023年)に分けて言語・社会情緒発達を比べた大規模コホート研究(オランダ)です。禍中の子どもは語彙や社会情緒の発達スコアが低い傾向がみられましたが、禍後には一部の指標で回復がみられました。コロナ禍の社会的制限が幼児期の発達に影響を及ぼした可能性を示しています。
父親の育児関与の軌跡と子どもの行動的アウトカム
日本の「21世紀出生児縦断調査」2010年コホートのデータを用いて、父親が1〜3歳の育児にどれだけ関与していたかの軌跡と、8歳時の子どもの行動との関連を調べました。父親の関与が「高い」グループでは、8歳時の子どもの情緒・行動上の問題が少ない傾向が示されました。継続的に関与が低い父親の子どもでは行動上の問題が多い傾向がありました。