母親の喫煙曝露と子どものぜんそく様喘鳴の型:日本環境と子どもの健査研究のコホート研究
Maternal exposure to smoking and wheezing phenotypes in children: a cohort study of the Japan Environment and Children's Study.
どんな研究?
01 — Summary日本の約7.3万人の母子を対象とした大規模コホート研究で、妊娠前・妊娠中の母親の喫煙が子どもの喘鳴(ぜーぜーという呼吸)のパターンに与える影響を調べました。妊娠中に喫煙していた母親の子どもは、「早期の一過性の喘鳴」や「持続性の喘鳴」のリスクが有意に高く、1日1〜10本の喫煙でも1.43〜1.64倍、11本以上では1.67〜2.32倍のリスク上昇がみられました。さらに、受動喫煙(タバコの煙を吸わされること)も早期喘鳴や持続性喘鳴のリスクを高めていました。禁煙していても妊娠前から喫煙歴があると非喫煙に比べてリスクが高い傾向があり、喫煙は妊娠前の段階から子どもに影響する可能性が示されています。
要点
02 — Key points- 01妊娠中の喫煙は、子どもの持続性の喘鳴リスクを約1.6〜2.3倍高める可能性がある
- 02受動喫煙も子どもの喘鳴リスクを有意に高めた
- 03禁煙は妊娠判明後でなく、妊娠前から行うことが望ましい可能性がある
本研究は観察研究であり、喫煙と喘鳴の関連はみられるものの、喫煙が直接の原因であるとは断定できません。また、自己申告による喫煙情報を用いているため、過少報告の可能性があります。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- 前向きコホート研究
- エビデンス強度
- コホート研究
- 掲載誌
- BMC Pediatrics
- 発表年
- 2024
- DOI
- 10.1186/s12887-024-05101-6
- 出典
- Europe PMC
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — Related妊娠中のビタミンA・C・E摂取と子どもの呼吸器健康:システマティックレビューとメタアナリシス
妊娠中の喫煙環境にいた場合、ビタミンCのサプリメント(500mg/日)が子どもの喘鳴を減らす可能性が2件のRCTで示されました。また観察研究では妊娠中のビタミンE摂取量が多いほど2歳時の喘鳴が36%少ない傾向がありました。一方でビタミンAについては子どもの呼吸器健康への明確な効果は示されませんでした。全体のエビデンスの確実性は低いです。
妊娠中の能動・受動喫煙と出産結果:九州沖縄母子保健研究
日本人妊婦1565人を対象に、妊娠中の喫煙(能動喫煙・受動喫煙)と低出生体重や早産などとの関係を調べました。能動喫煙は出生体重を有意に低下させる一方、受動喫煙の影響については検討されましたが、日本では妊娠中の能動・受動喫煙の影響を両方調べた研究として貴重です。
父親の喫煙・母親の受動喫煙が赤ちゃんに与える影響:EHF出生コホート
喫煙するパートナー(父親)を持つ非喫煙の妊婦の94%が受動喫煙にさらされていたことが示されました。母親の尿中コチニン(喫煙の指標)が高いほど赤ちゃんの出生体重が低い傾向があり、特に男児でより顕著でした。父親の喫煙をなくすことが、妊婦を受動喫煙から守るために重要です。