乳児・子ども・思春期のヴィーガン食と栄養状態(欧州小児消化器栄養学会の見解)
Vegan diet and nutritional status in infants, children and adolescents: A position paper based on a systematic search by the ESPGHAN Nutrition Committee.
どんな研究?
01 — Summaryヨーロッパの小児栄養の専門家グループ(ESPGHAN)が、子どものヴィーガン(完全菜食)について手順を決めて文献を集め直し、雑食の子と比べたときの成長・栄養・血液検査を整理したものです。約1500人のヴィーガンの子どもを含む研究を見たところ、身長やBMIの指標に雑食の子との大きな差は見られませんでした。一方で、ヴィーガンが子どもの成長を十分に支えられるかは今ある証拠だけでは結論できないとし、たんぱく質・オメガ3・カルシウム・鉄に気を配り、ビタミンB12などを必ず補うこと、成長と栄養状態を定期的に確認することをすすめています。
要点
02 — Key points- 01約1500人のヴィーガンの子どもを含む研究を、決まった手順で集めて整理した専門家の見解
- 02身長やBMIの指標は雑食の子と大きな差が見られなかった
- 03ただし成長を十分に支えられるかは今ある証拠だけでは結論できない
- 04たんぱく質・オメガ3・カルシウム・鉄に注意し、ビタミンB12などの補給が欠かせない
- 05ヴィーガンの子は成長と栄養状態を定期的に確認することがすすめられる
もとになっているのは観察研究や横断研究が中心で、質の高い試験は少なく、対象人数も限られています(関連であり因果は断定できません)。多くがヨーロッパの研究で、日本の子どもにそのまま当てはまるとは限りません。長期的な影響や、よく計画された前向き研究はこれからの課題とされています。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- システマティックな文献調査にもとづく専門家の見解(観察研究のまとめ)
- エビデンス強度
- メタアナリシス
- 掲載誌
- Journal of Pediatric Gastroenterology and Nutrition
- 発表年
- 2025
- DOI
- 10.1002/jpn3.70182
- 出典
- Europe PMC
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — Related子どものベジタリアン食と栄養のとり方・健康・栄養状態(システマティックレビュー)
高所得の国の子どもや思春期について、ベジタリアン食と雑食を比べた20件の研究を決まった手順で集めて整理したレビューです。ベジタリアンの子は食物繊維が多く、炭水化物からのエネルギーが多めで、ビタミンCやE・鉄・葉酸・マグネシウムのとり方が良い傾向がうかがえました。一方で、ビタミンB12とビタミンDのとり方が少なめになりやすいことが、注意すべき点として挙げられています。著者らは、長く追う前向きの研究がさらに必要だとしています。
植物中心の食事の家庭と雑食の家庭で、乳児の成長の経過を比べた研究
イスラエルの乳幼児健診のデータを使い、約120万人の赤ちゃんの身長・体重・頭囲の伸びを、家庭の食事(ヴィーガン・ベジタリアン・雑食)ごとに2歳まで追って比べた研究です。身長や成長の指標の差はどのグループでもごく小さく、低身長(発育の遅れ)の割合もほぼ同じでした。ただし生後まもない時期はヴィーガン家庭の赤ちゃんで体重が少なめの子がやや多く(オッズ比1.37)、この差は2歳までに見られなくなりました。著者らは、栄養環境の整った国では結果はおおむね安心できる内容だとしています。
ベジタリアン・ヴィーガン・雑食の子どものセレン・亜鉛・銅のとり方と体内の状態(VeChi Youth研究)
ドイツの6〜18歳の342人(ヴィーガン86人、ベジタリアン120人、雑食118人)を対象に、セレン・亜鉛・銅のとり方と血液中の値を調べた横断研究です。これらは主に動物性食品からとる栄養素のため、ヴィーガンとベジタリアンの子はセレンと亜鉛のとり方が少なめで、血液中のセレンと亜鉛の値も雑食の子より低い傾向が見られました。銅については食事や血液の値に大きな差はありませんでした。著者らは、菜食の子どもではこれらの栄養素の状態を見守る必要があるとしています。