植物中心の食事の家庭と雑食の家庭で、乳児の成長の経過を比べた研究
Growth Trajectories in Infants From Families With Plant-Based or Omnivorous Dietary Patterns.
どんな研究?
01 — Summaryイスラエルの乳幼児健診のデータを使い、約120万人の赤ちゃんの身長・体重・頭囲の伸びを、家庭の食事(ヴィーガン・ベジタリアン・雑食)ごとに2歳まで追って比べた研究です。身長や成長の指標の差はどのグループでもごく小さく、低身長(発育の遅れ)の割合もほぼ同じでした。ただし生後まもない時期はヴィーガン家庭の赤ちゃんで体重が少なめの子がやや多く(オッズ比1.37)、この差は2歳までに見られなくなりました。著者らは、栄養環境の整った国では結果はおおむね安心できる内容だとしています。
要点
02 — Key points- 01イスラエルの約120万人の乳児を2歳まで追ったコホート研究(ヴィーガン0.3%、ベジタリアン1.2%)
- 02身長・体重・頭囲の伸びは食事グループ間でごく小さな差にとどまった
- 03発育の遅れ(低身長)の割合はどのグループもほぼ同じだった
- 04生後まもない時期はヴィーガン家庭で体重少なめの子がやや多かったが、2歳までに差は消えた
- 05栄養環境の整った国ではおおむね安心できる結果と評価された
観察研究(コホート研究)のため、食事の違いが成長の差の直接の原因だとは断定できません(関連であり因果ではない)。ヴィーガン・ベジタリアンの家庭はごく少数で、家庭の食事から子どもの実際の食事内容を推定している点にも注意が必要です。イスラエルのデータで、食事の質や栄養指導の影響は十分に評価されていません。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- コホート研究(約120万人)
- エビデンス強度
- コホート研究
- 掲載誌
- JAMA Network Open
- 発表年
- 2026
- DOI
- 10.1001/jamanetworkopen.2025.57798
- 出典
- Europe PMC
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — Related妊娠初期・中期の母親のビタミンDと、生まれてから6歳までの子どもの成長の関連(中国のコホート研究)
中国の母子1,100組を追い、妊娠初期・中期の母親の血中ビタミンD濃度と、生まれてから6歳までの子どもの身長・体重の伸び方の関連を調べた研究です。母親のビタミンDが低い場合だけでなく高い場合にも、子どもの成長が不安定になりやすい傾向がみられ、関連は単純な右肩上がりではなく、ほどよい範囲があることが示唆されました。関連の出方は男女で異なりました。
授乳方法と日本の子どもの成長のパターン(全国調査の二次解析)
2023年の日本の全国調査データ(0〜5歳の子ども約8千人)を使い、赤ちゃんのときの授乳方法(母乳・ミルク・混合)によって、その後の身長・体重の伸び方に違いがあるかを調べた研究です。母乳で育った赤ちゃんは、最初の2年間は身長・体重がやや小さめでしたが、成長するにつれて差は縮まり、5歳ごろには授乳方法による体格の差はみられなくなりました。母乳だけでも長期的な成長に十分であることを示しています。
乳児・子ども・思春期のヴィーガン食と栄養状態(欧州小児消化器栄養学会の見解)
ヨーロッパの小児栄養の専門家グループ(ESPGHAN)が、子どものヴィーガン(完全菜食)について手順を決めて文献を集め直し、雑食の子と比べたときの成長・栄養・血液検査を整理したものです。約1500人のヴィーガンの子どもを含む研究を見たところ、身長やBMIの指標に雑食の子との大きな差は見られませんでした。一方で、ヴィーガンが子どもの成長を十分に支えられるかは今ある証拠だけでは結論できないとし、たんぱく質・オメガ3・カルシウム・鉄に気を配り、ビタミンB12などを必ず補うこと、成長と栄養状態を定期的に確認することをすすめています。