コロナ禍最初の2年間における子どもの心の健康・対処行動・リスク因子:12カ国代表サンプルによる多波調査(COH-FIT研究)
Mental health, coping and related risk factors during the first 2 years of the COVID-19 pandemic in children: Nationally representative, multi-wave, cross-sectional results from 12 countries from the global COH-FIT study
どんな研究?
01 — Summary12カ国6,000人超の6〜13歳の子どもを対象に、コロナ禍前後の心の健康を追跡した大規模調査です。コロナ禍中に子どもの幸福感が低下し、うつ・不安などの精神症状が増加しましたが、流行後半には元の水準に近づく傾向が見られました。女子、学校閉鎖、既往の心身の病気がある子どもでリスクが高く、家族との交流や外遊びなどの対処行動がよく使われていました。
要点
02 — Key points- 01コロナ禍中、幸福感スコアが有意に低下し、うつスクリーニング陽性率が3.9%から8.3%へ倍増した
- 02女子・学校閉鎖・既往の心身疾患が悪化と強く関連しており、これらが重なると影響が大きくなった
- 03最もよく使われた対処行動は家族との交流(85%)、友人との交流(67%)、外遊び(54%)であった
横断調査の繰り返しのため個人の変化を追う縦断研究ではなく、因果関係の確定はできません。各国で測定タイミングや規制強度が異なり、国ごとの変化にばらつきがありました。自己報告・保護者報告による回答バイアスも考えられます。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- 多波横断調査(12カ国代表サンプル)
- エビデンス強度
- コホート研究
- 掲載誌
- European Neuropsychopharmacology
- 発表年
- 2025
- DOI
- 10.1016/j.euroneuro.2025.112741
- 出典
- OpenAlex
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — Relatedコロナ禍が子どもの心の健康に与えた影響:ABCDスタディコホートによる縦断調査
米国の大規模縦断研究(ABCD Study)の9〜12歳の子ども4,885人を対象に、コロナ禍前後の心の健康を比較しました。コロナ禍では、引きこもりや抑うつ、注意の問題が有意に悪化する傾向が見られました。一方、保護者の関わり(監督・支援)が高い場合、ルール違反行動の悪化を和らげる可能性が示されました。
日本における3年間のコロナ禍の学校制限と子ども・思春期の心の健康
コロナ禍3年間、日本の子どもたちは世界的な緩和後も給食中の黙食やマスク着用など厳しい制限が続きました。遠足などの学校行事がキャンセルされた経験は、うつ症状のリスク上昇と関連していました。特に女子や課外活動をしていない子どもで影響が大きい傾向がみられました。
COVID-19が幼い子どもの感情・認知発達に与えた影響:統合的レビュー
コロナ禍のロックダウンや社会的孤立が、幼稚園年齢の子どもの感情・認知発達に与えた影響を統合的にレビューした研究です。日常ルーティンの乱れや仲間との交流の減少が、感情調節・社会的スキル・言語発達・学習準備性に悪影響を及ぼした可能性が示されています。家庭環境や教育的サポートの充実が、こうした悪影響を和らげる重要な要因であったと報告しています。