早期の言語経験だけでは不十分:継承語と現地語の習得軌跡の違いから見えること
Early experience is not enough: Evidence from differences between heritage and host language trajectories.
どんな研究?
01 — Summary移民家庭の子ども(スペイン語家庭、米国在住)147人を3.5〜12歳にわたり追跡した研究です。家庭での言語露出が少ない場合、継承語(スペイン語)の語彙は伸びにくい一方、英語はその後の学校環境などで補われるため、むしろ速く伸びる傾向がありました。早い時期の言語経験が後の発達に与える影響は、継続的な環境のサポートによっても大きく変わる可能性があることを示唆しています。
要点
02 — Key points- 01家庭での継承語(スペイン語)への露出が少ないと、その後の語彙の伸びも遅い傾向があった
- 02家庭での英語への露出が少なくても、学校外での英語環境で補われ、後から語彙が速く伸びた
- 03早期経験の影響は、その後の環境サポートの継続・不継続によって変わる可能性がある
米国のスペイン語移民家庭に限定した研究であり、他の言語・文化・移住背景への一般化には注意が必要。また観察研究のため、家庭環境や社会経済的要因など交絡要因の影響を完全には排除できない。
この研究の確からしさ
03 — Evidence書誌情報
04 — Reference- 研究デザイン
- 縦断コホート研究(縦断的媒介分析)
- エビデンス強度
- コホート研究
- 掲載誌
- Developmental Psychology
- 発表年
- 2026
- DOI
- 10.1037/dev0002216
- 出典
- OpenAlex
この研究が関わる疑問
05 — Questions関連する研究
06 — Related生後5か月では、一つの言語の子も二言語の子も顔の見方に違いはなかった
生後5か月の赤ちゃん約570人を対象に、人の顔の「目」と「口」のどちらをよく見るかを調べた研究です。一つの言語で育つ子(モノリンガル)と二つの言語で育つ子(バイリンガル)で、顔の見方に差はありませんでした。また、その後2〜3歳になったときの語彙の多さとも、目・口の見方ははっきり関係していませんでした。
二言語環境と性別が、乳児の言語音への脳の反応の育ち方を形づくる
二つの言語に触れる量の異なる乳児73人を対象に、生まれたとき・生後6か月・1歳の3回、言葉の音に対する脳の反応を測った研究です。脳が音をとらえる力は最初の6か月で大きく育ち、その後はゆるやかになりました。二言語に多く触れる子は声の高さの処理が6か月時点では低めでも1歳では高くなり、声の特徴をとらえる力は1年を通じて高い傾向がみられました。
幼児期の社会的注意の時間的な動きにみられる、経験による違い
一つの言語で育つ子と二つの言語で育つ子で、顔や口の見方にどんな違いがあるかを、視線を細かく追って調べた研究です。ロンドンの生後7〜34か月の子ども約880人のデータを分析したところ、二言語で育つ子は最初に顔を見たあといったん視線を外す傾向が強く、年長になると相手の口元をより長く見る傾向がみられました。年齢や言語環境によって、顔の見方の時間的な動きが変わることが示されました。